ルカたん誕!

「ルカの成人式したい」

唐突にそう言い出したのは、マスターだった。
・・・珍しい事もあるもんねぇ。
「あ、あの、マスター?」
困ったように首を傾げるルカの肩をマスターが掴んだ。
「最近の振袖すげぇ可愛いのな。あれ見てたらルカに着せたくなってさぁ。丁度一月だし」
「・・・ルカたんの新曲、間に合わなかったんだね」
「だな」
こそこそと私の影でリンとレンがそう言い合う。
聞こえてんぞっとマスターから激が飛んだ。
「あら、いいじゃない。成人式」
「メイコ姉様」
「あたし、ルカちゃんの着物姿みたい!」
「ミク姉様まで・・・」
私の言葉にミクが賛同する。
物腰が柔らかでおっとり清楚なルカの振袖・・・。
うん、かなり『アリ』ね。
「いいんじゃないかな」
「・・・カイト兄様」
黒いエプロン着用でボールと泡だて器を持ってキッチンから顔を出したカイトをルカが振り仰ぐ。
・・・なんでもいいけど、この子、こういう格好似合うわねぇ。
「うちじゃあ成人式出来るの、ルカだけなんだから」
「そうよー。何でも経験しときなさい」
「ですが・・・」
「何遠慮なんかしてんだよ」
なおも言いよどむルカに言ったのはレンだった。
「レン兄様」
「今日はルカ姉ぇの誕生日じゃん」
「そうだよーー!!」
ばふっと音を立てそうな勢いでリンがルカに抱きつく。
ずるい!と声をあげるのはミク。
「えいっ」
「あーー!お姉ちゃんまでぇえ!!」
頬を膨らませたミクがルカにくっついてきた。
あら、私だってルカに抱きつきたいわよ?
「ミクのルカちゃんなんだからね!」
「いやいやいや、ミクさんちょっとそれ聞き捨てならないですけども?」
「・・・マスター大人げねぇ・・・」
「ねえ、レン、羨ましい?羨ましい?」
「はあ?!どこが!」
「あら、レンにはカイトがいるでしょう?」
「だって、レン。くる?」
「え、マジで?!」
「嘘だけど」
「嘘かよ!!!」


ぎゃーぎゃーわーわー騒いでいると、ルカがくすくす笑っている事に気づいた。
「メイコ姉様」
「ん?」
華の様な笑顔で、「私、幸せですわ」と囁くルカは・・・わが妹ながらやっぱり綺麗だと思った。


(皆に愛されている貴方を祝いたいと想う心は皆一緒なのよ?)

name
email
url
comment