ねねあん

「草薙さーーん!」
「…わっ、白石さん」
背後から聞こえる元気な声と、伝わる衝撃に驚きながらも寧々は彼女の名を呼んだ。
「おはよう。今日も元気だね」
「えへへ、おはよっ。まあ、元気が取り柄みたいなトコありますからー?」
「…なに、それ」
何故だか自信満々な杏に、くすくすと寧々は笑う。
明るくて元気で、まるで向日葵みたいだな、なんて思った。
最初は寧々の苦手なタイプかとも思ったのだけれど、何事にも真剣に取り組んで、何より歌に本気な彼女のことを、つい目で追ってしまうようになってしまったのである。
まあ、目で追うより先に杏が見つけて手を降ってくれるのだけれど。
「?草薙さん?」
「ううん、何も。それより今日は早いね?委員会だっけ」
首を傾げる寧々に、杏は手を叩いた。
「あ、そうそう!実は草薙さんに会うために早く来たんだよね」
「…えっ、わたし?」
屈託なく笑う彼女に、寧々はきょとんとする。
何かあったっけ、と思うより先に杏がカバンから何かを取り出した。
「はいっ、誕生日おめでと!草薙さん!!」
「…!あ、ありがとう…!」
何故か寧々より嬉しそうな杏からそれを受け取る。
「白石さん、覚えててくれたんだ…」
「あったり前じゃーん!だって草薙さんの誕生日だもんね!」
「何、それ…。…でも嬉しいな」
くす、と笑う寧々に、杏も嬉しそうだ。
「…それに、白石さんのタイプにちょっと近付いた気がするし」
「へ?」
目を丸くする杏に、寧々は首を傾げる。
「だって、白石さんのタイプって、大人のお姉さん、でしょ?」
「…待って、それ誰から……っ!!」
わー!と顔を紅くする杏に、寧々は内緒、と笑ってみせた。
「大人、はともかく…わたし、白石さんより一つお姉さんだからね」
「…1週間だけじゃーん!!」
ドヤ顔をして見せれば杏が不貞腐れた顔をする。
目が合って、思わずふは、と二人で笑ってしまった。
「これからもっと白石さんのタイプになるよ、わたし」
「あはは、何それー!…でも、楽しみにしてるね、草薙さん!」
向日葵みたいに眩しい笑顔の彼女に、寧々は目を眇める。

たかが1週間、されど1週間。


今日が誕生日で良かったな、と初めて思った。


(だって、貴女の理想に近づけるから)

「わわっ!」
「…っと、白石さん、大丈夫?…白石さん?」
「…私、これ以上格好良くなった草薙さんに耐えられるかな…」
「えっ」

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