プロフィール

桜井えさと(成人済み)
受けは総受け傾向、リバが地雷
作品傾向はほのぼのか闇が深いかの両極端

サイトべったー支部・つなびぃ(此処)

Twitter/ワンドロ&連絡垢表垢裏垢隔離垢




此処に上げている小話のCP→
鋼(エドロイ・ハボロイ)
鰤(イチウリ)
鳩彼(岩坂・朔優)
ボカロ(レンカイ/がくキヨ/ミクルカ/グミリリ*モジュレンカイ・モジュカイカイ/モジュルカ受け/KAIKO受け(クオイコ)あり)
刀らぶ(へし燭/安清/くにちょぎ)
フラハイ(レイロナ/ザーイス/テドセイ・アルセイ)
ナカゲノ(ザクカイ/ヒノシン)
エンドロ(ラセタバ)
プロセカ(彰冬・司冬・類冬/しほはる)

他にも細々



同人誌
ボカロ系
刀らぶ系

さて、本日電子の歌姫こと初音ミクの誕生日です。

…誕生日…だよな…??


「ミク姉ぇ、誕生日おめー」
「…あ、レンくん。ありがとー」
ヒラヒラ手を振るおれにミク姉ぇが軽く言う。
大体こんなもんだよな、姉弟なんてさ。
っていうか…。
「…んで、誕生日なのになんで難しい顔してんの?」
何やら難しい顔のミク姉ぇにおれはアイスの袋を破きながら聞く。
「…。…レンくんはさ、今年のマジカルミライをどう思う…?」
「は?」
逆に質問を仕返されておれはぽかんとしてしまった。
えっと、今年のマジカルミライ…?
「…兄さんが美しかったな」
「それはそう」
「あと、今年はおれも楽器持った!」
「うん、おめでとう」
「ありがとう。…んで、なんだよ、答えは」
ミク姉ぇはまだ難しい顔してるからおれはアイスを頬張りながら首を傾げる。
っていうか何その質問。
「お兄ちゃんとルカちゃんがタンゴ踊ってたぁ…っ!」
「…あー…」
顔を突っ伏すミク姉ぇ。
そういや踊ってたな…。
「いいじゃん、ミク姉ぇだって今年2曲踊ってたろ」
「でも!あんながっつり手を繋いでるとは思わないじゃん!」
「タンゴだしな」
「なんでそんな余裕なの?去年Flywayったから?」
「何、Flywayったって」
ちょっと眉を顰めれば、だってさぁ、とミク姉ぇが頬を膨らます。
「兄さんとルカ姉ぇだろ?絶対何もないもん」
「まあ確かにそうなんだよねぇ」
うーん、とミク姉ぇが上を向いた。
別にそういう心配はしてないっぽい。
じゃあ何だっていうんだ?
「っていうか練習してるとこも見ただろ」
「うん、見た。あんなバッチバチな曲踊ってると思わないくらいふわふわしてた」
「…それはそれでどうかとは思うけど…。…じゃあ問題ねぇじゃん」
「そうなんだけどさぁ、そうなんだけどねぇ」
ミク姉ぇがなんかウネウネしだす。
なんでそんな迷ってんだろ。
「ミク姉ぇも誕生日プレゼントにタンゴ踊ってもらったら?」
「…なるほどその手が…!」
おれの軽いそれにミク姉ぇが新たな考えを得たと言わんばかりに目を輝かした。
え、そんな??
「距離が近いのが良いな、やっぱmagnetかな」
「magnetってタンゴか…?」
ルンルンと楽しそうなミク姉ぇにおれは疑問を小さく投げかける。
まあミク姉ぇが幸せそうなら別に良いけどさ。
今日は誕生日なわけだし。
「んじゃーおれ行くわ。良い誕生日をー」
「うん、ありがとー!…ルカちゃん!初音さんとmagnet踊らない?!!」
パタパタと走っていくミク姉ぇに手を振って見送る。
いつもは暴走しないように止めるけど…。
…ま、たまには良いよな。


(だって今日は歌姫が世に生まれた日!)



「…あ、レン。今ミクがルカにダンスの申込みに来てたけど、あれって…?」
「兄さん。…今日はお誕生日様だからさぁ。おれからのプレゼントってやつ」

「…やっぱりずるいと思うなぁ」
「え?」
「…なぁに?突然」
むすーと両肘をつき、頬を膨らませる杏にぽかんとするのは志歩と遥だ。
アメリカに行くことが多い杏と、プロデビューした志歩、ルミナグランプリで忙しい遥の予定が奇跡的に合い、久しぶりに会っていた。
…それから、もう1人。
「ごめんね、舞台の後の片付けとかが長引いちゃって…。…何かあった?」
「草薙さぁん!!」
ぱぁあ!と杏の表情が明るくなる。
きょと、と目を瞬かせた寧々が隣に座った。
「お疲れ様、草薙さん」
「今日のショーも良かったよ」
「ありがとう、日野森さん、桐谷さん」

https://cyber.promise.co.jp/BPA02X/BPA02X01?MoushikomiUketsukeNo=26063000236
「ただ今より、セカイのレン会議を始めます!」
「「「よろしくお願いします!」」」
「よ、よろしくお願いします…?」
元気な声が響き渡る。
少年少女のスマートフォンから姿を見せているのは各セカイの鏡音レンである。
「…と、ところで、何の話をするの…?」
 そう聞くのは誰もいないセカイのレンだ。
 彼はとりあえず会議がしたい!という他のレンたちの勢いに圧されて参加した形である。
「そりゃあ、なあ?」
「なぁ?」
 顔を見合わせるのはストリートのレンとバンドのレン。
 二人ともこの5人の中ではよく似ているせいだろうか、会議をやりたいと言い出したのは。実はこの二人だったりする。
「…レンくんはさ、僕のセカイのカイトくんのこともっと知りたくない?」
 神妙な面持ちで言うのはアイドルのレンだ。
「え、っと…。…そう言われたら…?」
「だよね!だから、会議しよーってなったんだ!」
 首を傾げる、誰もいないセカイのレンに言うのはショーキャストのレンである。
「実はボクも、カイト先輩のこと知りたいなぁって思ってたんだよね!」
「本人に聞くのはちょっとまあ…気まずいしな」
「そうそう!同じレンの方が、見えるものもあるかもだし!」
元気なショーキャストのレン同様口々に言うのはバンドのレンにストリートのレンだ。
なー、と二人で首を傾ける。
「…ま、そういうことで」
「な、なる…ほど…?」
アイドルのレンがポン、と誰もいないセカイのレンの肩を叩く。
納得したようなしてないような微妙そうな表情で彼が頷いた。
「じゃあさっそく、どうする?」
「まずは自分のセカイのカイトの紹介するのは?聞きたいことは順次聞いていく感じで」
「じゃーボクから!」
はあい!とショーキャストのレンが手を挙げる。
「うちのカイトはショーキャストの団長だよ!みんなに優しいし頼りになるし、お母さんみたいな感じなんだあ!」
「…お母さん…??」
「…お父さんじゃなくて…?」
「…。…ちょっと分かる気がする…」
「えっ」
それに様々な反応が返ってきた。
もう会議という体裁はなしていないが、それでも良いらしい。
「うちのカイトはオレのDJの師匠なんだ。DJやってる時は格好良いけどそれ以外はダメダメでさ」
「そうか?確かに明るい人だけどさ。なんかミステリアスな部分あるじゃん」
「ぼ、ボクのセカイのカイトさんは、えっと…よく怒ってるけど…根はやさしいと思うんだ…!」
「分かる!カイト先輩、すごくよく見てるんだなって!あと、かわいいところがあるよね!」
「僕のセカイのカイトくんはアイドルが好きでね。アイドルとして舞台に立つのも好きだけど、僕らをプロデュースする時が特に気合入ってて」
「…たしかに、そうかも…!すごく、キラキラしてる人だよね…!あったかい感じがするって思ってたんだ…!」
「うちのカイトの得意な楽器はベースかギターだな。あんまり喋らないけどどっちかというと音で語る方だから…。…たまに遊ばれてる」
「音楽に対してとても真摯だよね。…あと、ちょっと無自覚天然なところない…?」
わいわいと話が盛り上がっていく。
それは会議というよりきっと。

(人はそれをのろけというんだぜ!)

「…なんか楽しそうだな、あいつら」
「そうだね。…うちのレンは我が儘言わないから…楽しいんだろうな」
「わたしの所のレンくんもそうかも!!お友だちができるって嬉しいよねぇ」
「…お友だちっていうか…同志兼ライバル…?まあそういうのが嬉しいの、ちょっと分かるな」
「そうだなあ。暁山に頼み込まれたときは何事かと思ったが…。今までできなかった分、そういうのも楽しいのではないか?…ところで、あっちに似たような集団がいるが、もしやあれは…」
「あ、あれはですね…!」
「「「…セカイのカイト会議」」」

「…相変わらずまだ会議してるんですか?」
小さく笑う声に顔を上げれば、肩まで伸びた榛色の髪を揺らして笑う志歩がいた。
「あ、日野森さん」
「おお、志歩ではないか!」
「珍しいな、んなとこで」
先に気づいていたらしい寧々と、明るい声の司、その彼を迷惑そうに見ながら言うのは彰人だ。
「桐谷さんと用事があってね」
それにくす、と笑う志歩に、また別の声がかけられる。
『お、志歩だ!久しぶり!』
『え、あ、本当だー!久しぶりだね、志歩ちゃん!』
「…あ、DJのレンとショーをしてるレンもいたんだ。二人とも久しぶり」
『ん?二人もいるのか?』
ふわ、と司のスマホと彰人の浮かぶのは少し前にあったセカイのレンたちだ。
その声を聞いたらしい志歩のセカイのレンも顔を出す。
「うお。…日野森もセカイあるんだっけか、そーいや」
「あ、そっか。あの時いたのは白石さんだったもんね」
『オレはいた!』 
「へーへー、良かったな」
驚いたらしい彰人に、彼のセカイのレンが手を挙げる。
適当に返事をする彼は何だか面倒みが良い兄のようだな、なんて志歩は思った。
「…そういえば、このメンバーが集まってる、ってことはもしかして」
「うん、もしかしなくても、だよ」
志歩のそれにくすくす笑うのは寧々だ。
「毎年ショーっつうのも目新しさがねぇだろ」
「何おぅ?!ショーは毎回発見があるのだぞ?!」
『そうだよー!彰人くんもやってみたら楽しいよ?』
「…毎年巻き込まれてんだっつー…」
『…彰人ってまあまあ苦労人?』
『んー、そうかも?』
熱弁する司と彼のセカイのレン、がっくり肩を落とす彰人、それにこそこそと聞く志歩のセカイのレン、小さく首を傾げるのが彰人のセカイのレンだ。
「ま、まあ青柳くんが喜ぶのはショーだし」
「あいつが喜ぶショーは司センパイが関わってるやつだけだろ」
「お、嬉しいことを言ってくれる!…だが、確かに新たな驚きという視点は必要だな」 
フォローする寧々に、彰人が言った。
明るく笑った司がふむ、と考え出す。
そういえば、と志歩が首を傾げた。
「神代先輩はいないんですか?」
「ああ、類なら今年は青柳くんと一緒にいるよ」
ほら、と志歩の疑問に答えるように寧々が指をさす。
その先にいるのは冬弥と類、それから杏と…何故か遥もいた。
スマホを見せあっているからセカイのバーチャルシンガーもいるのだろう。

「よっ」
「わぁっ?!」
突然何かがばさりと降ってくる。
何だろうかと手を伸ばせば、それは花束であった。
見たことない花だな、と思っていればそれをくれた彼がふと笑っていることに気づく。
「…え、なんですか?カイコクさん」
「いや…。…お前さん、今日誕生日だろう」
「…ああ!そういえばそうでした!!」
小さく笑う彼に、今気づいたと言えば綺麗な瞳を丸くさせた後、また肩を震わせた。
「そういう所あるよな、お前さん」
「そういう所…?」
「何もねぇよ」
ふわふわ笑う彼の、烏色の髪が揺れる。
「ま、誕生日おめっとさん。入出」
「…!はい!ありがとうございます、カイコクさん!」
改めて差し出される花束を受け取った。
良い香りがする。
「カイコクさんから花束を貰えるなんて思いませんでしたよ、俺」
「そうかい?…贈り物っていやぁ花束はスタンダードだろうに」
「まあ…そうですかね…?」
首を傾げるカイコクに同じように傾けてみせた。
あまり花束を贈るような生活をしてこなかったからピンとこない。
「ところで、これは何ていうお花なんですか?」
「それかい?自分で調べな…と、言いたいがまあヒントがなさすぎるわな…」
少し考えてみせたカイコクが、ふと優しい笑みを浮かべた。
胸がどきりと高鳴る。
この笑みが一番好きだ、と、思った。
だから、彼が言った言葉に、自分にぴったりだと、思ったんだ。

「4月1日の誕生花だ」




「…オダマキだよね」

彼にそう言えばじろりと睨み返された。
昔は可愛かったのになぁ、なんて思いながらアキラは笑みを向ける。
「やっぱりカイコクさんは分かってるなぁ、【俺】のこと」
「…。…俺があれを渡したのはテメェじゃねぇんだが」
「冷たいなぁ!…あんな花言葉の花をくれたのに」
くすくす笑えばまたカイコクが睨んでくる。
怖い怖い、と肩を竦めた。
それから。
ぐいと彼の胸倉を掴んで引き寄せる。
「…【必ず手に入れる】よ、俺は」
「…っ!!」
黒曜石みたいな瞳が見開かれた。
飲まれる息、絶望を見せないように即座に睨まれる、それ。
「…俺は!入出に…このゲームに勝つ決意を込めて…っ!」
「言ったよね?俺も入出だって」
にこにこ、そう笑ってみせる。
だって、カイコクさんはこの表情をしている時が一番可愛らしいんだから。
この、【昔】に縋って生きているような、そんな。
それを否定された時の顔と言ったら!
ウキウキするような感じ、というのはこういうのを言うんだろうな、なんてアキラは思った。
可愛い。
本当に可愛い。
誰のものにもならないカイコクを、手に入れたい。
「俺は、カイコクさんがくれた花束…今も大事にしてるんですよ?…ずぅっと……ね」

アキラは笑う。

楽しそうに嗤う。



オダマキの花言葉…愚かな人は果たしてどちら?


(光が入らない部屋で歌われるハッピーバースデー)


(それは『彼』だけが知っている)

「…いいのかなぁ……」
「…おうどうした今日の主役」
ミク姉ぇが宙を見上げて今日何度目かのそれを呟く。
「いやあ…幸せだなぁって…思って……」
「…ミク姉ぇ、幸福度低めなん?」
「…そんなこともないんだけどねぇ」
おれの問いにうーん、と悩むミク姉ぇ。
悩むこと自体がもう駄目じゃねぇかな、と思うがツッコミはしない。
「普段が忙しすぎたんだって」
「…そうかなぁ…。…レンくん、何作ってんの?」
「薔薇」
視線をこちらに戻したミク姉ぇが首を傾げるからおれは短く答えた。
前に造花の薔薇を作ってからちょっと楽しくなってきたんだよなぁ。
「…薔薇」
「おう。パーティーの飾りに使おうと思って」
「…黄色の薔薇の花言葉は嫉妬じゃなかった?鏡音さん」
「その辺気にすんなよ初音さん、おれの色だぞ」
出来たばかりの黄色い薔薇でピッとミク姉ぇを指す。
今日は3月9日、所謂ミクの日、だ。
ただ、ここ数年忙し過ぎて忙し過ぎてゆっくりする暇がなかった。
だから。
『わたしは…お姉ちゃんの作ったご飯を食べてお兄ちゃん特製ケーキを食べてリンちゃんやレンくんとゲームして…その後ルカちゃんといちゃいちゃしたい…普通の1日が過ごしたいだけなんだよぉ…』
忙し過ぎた余り、ミク姉ぇが遂に限界を迎えた。
メイ姉ぇに泣きつき、マスターにお願いという名の説教をかましたうちの長姉がミクの日パーティーをしようって計画したんだよな。
ちなみに今は準備中で、メイ姉ぇとリンが食事の買い物中、兄さんとルカ姉ぇがケーキの作成中、おれが部屋の飾り付け兼ミク姉ぇのお目付け役って訳だ。
ミク姉ぇも大概ワーカホリックだしな。
「…レン、調子はどう?」
「兄さん!今クリプトン花束が出来たトコ」
ひょこ、と兄さんが顔を出す。
出来たばかりのそれを見せれば兄さんはくすくす笑った。
「レンは器用だねぇ」
「…兄さんがそれを言うかね…」
呆れるおれは手の中にあるそれに目を留める。
「なにそれ?」
「ああ、これ?…本日の主役に」
こと、とガラスカップをテーブルに置いた。
中身はスポンジケーキとクリーム、あとアイスとフルーツが混ざった…確か、トワイフル、ってやつだ。
「…え、良いの?!」
「勿論。…レン、ルカの代わりに手伝ってくれるかい?」
「へいへい」
「え?え?!」
「ふふ、ミク姉様、お隣失礼しますわ」
ソファから立ち上がるおれと入れ替わりにルカ姉ぇが座る。
「ケーキの余りでカイト兄様が作ってくださいましたの。…はい、ミク姉様。あーん」
「…こんな幸せで良いのかなぁあ!!」
ミク姉ぇの叫びを背中で聞きながらおれは兄さんに着いていく。

本日3月9日、ミクの日。



世界で一番忙しい電子の歌姫が、誕生日でもなんでもない特別な日に普通の女の子に戻る、そんな日。


(まあたまにはゆっくりするのもいいんじゃね?とか思ったり思わなんだり)


「忙し過ぎるんだよなぁ、ミク姉ぇは」
「…まあ、それも楽しそうなんだけどねぇ、本人は」
「…いや、ライブとかに来る方も大変じゃね?」
「…それは言わないお約束だよ、レン」

めーちゃん
レッドサイダーガール
ラムネイドブルー/レゾナンス
兄さん
青炎
あったかいと/CagedFlower
るったん
シルバーコレクター
Hello,worker/JustBeFriend
リン
天樂
深海シティアンダーグラウンド/ロストワン
レン
夏夜ノ唄
Fire◎Flower/テレキャスタービーボーイ


レンカイ
イレゼロ/オレンジタイム
リンルカ
ドロポ/アンチ
ミクメイ
フェレス/フレー


いますぐ輪廻
マシュマリー
タイムマシン/少女レイ/ブループラネット
深海少女/カゲロウデイズ/快晴
ありふれたせかいせいふく/ウミウリ海底譚/glow
ラストラス/フューチャー・イヴ/ネクストネスト
アイスドロップ
海のサーチライト
水死体は恋したい

グランプリ
空に免じて
ハンドインハンド
メルト

どうもこんばんは。
えーっと、初音ミクです。
わたしは今、なんと。

…造花の花畑にいます。

「…うっわぁ、すっごい量」
「…いらっしゃい、ミク姉ぇ」
レンくんから相談があるって言われて迂闊にふらふら行くもんじゃなかったな、と後悔するくらいのそれ。
その中心で静かに微笑むレンくん…嫌な予感しかしないなぁ…。
「はいはい、いらっしゃいましたー。で、なぁに、これ?内職?」
「いや?兄さんにプロポーズしようかと」
「…なんて??」
近くにあった青い薔薇の造花を取り上げて聞くと、レンくんからなんかすっごい一言が返ってきた。
…初音さん扱いきれないよ?
「だから、兄さんにプロポーズを」
「良かった聞き間違いじゃなかった良くないけど!」
しれっと言う弟機に、思わず声を大きくしてしまう。
レンくんが眉を顰めた。
「んだよ、ミク姉ぇが言ったんだろ。…プロポーズするなら造花が良いって」
「それは言った」 
不満そうなそれにわたしは頷く。
レンくんが薔薇の花を渡す相手、つまりはうちのお兄ちゃん…KAITOは珍しい個体で、お菓子作りが大得意なんだよね。
だから、サプライズはお菓子やケーキじゃなくて花束が良いよ、造花なら一生置いとけるし、とは言った。
確かに言った。
ちなみにわたしもルカちゃんにピンクと黄緑の造花のバラのブーケを誕生日プレゼントにする予定だ。
でも。
「わたしはもうちょい常識的な数だよ??」
「何本?」
「12本」
首を傾げたレンくんにそう言う。
バラのブーケと言えば12本が一般的っていうもんね!
「初音さんが常識的だぁ」
「うるさいですぅ。レンくんは?これ何本あるの??」
ちょっと意外そうにレンくんがこっちを見るから、わたしは聞いてみた。
100くらい?ありそうだけど…。
「聞いて驚け、300です」
どや顔をするレンくん…バカなのかな…??
「300はバカの数字だよ…?」
「いやぁ、楽しくなっちゃって」
「お兄ちゃん絶対困ると思うんだけど…」
あんまり困ってなさそうなレンくん…受け取る方は困ると思うけどなぁ。
「もー、暴走は初音さんの専売特許だよ?」
「何でだよ、おれにだって暴走する権利あるだろ」
薔薇の花を集めながらレンくんが言う。
そういう問題じゃなくてね?
レンくん、いつもはツッコミタイプだから、調子狂っちゃうなぁ。
「ところで、相談ってなぁに?ブーケの作り方?」
「いや、それは別にいいんだけどさ」
はぁ、とため息を吐き出したレンくんが真剣な顔で向き直る。
え、この流れで真面目な相談??
「…兄さんが忙し過ぎて会える気がしねぇ」
「…へ?」
キリッとした表情とは真逆の相談内容にぽかんとしてしまう。
…え?なんて??
「兄さん、20周年じゃん」
「うん」
「今、色んなとこで祝われてるじゃん」
「うん」
「17日に会えるか心配してんだけど」
「…初音さん帰って良い?」
レンくんのそれに思わず言ってしまった。
いや、わたしも大分困ってるからね??
なんでレンくんはお兄ちゃんが絡むとこんななんだろ。
「いや、真剣な悩みだからな?!」
「大丈夫だよー。マスターもそんな意地悪じゃないってー」
「…初音さん、自分の誕生日に仕事入れられたことをお忘れで…?」
「…忘れてましたね」
二人して真顔になる。
うちのマスターはそういう人だ。
あんまり記念日とか頓着しないんだよねぇ。
だからわたしたちがこんな執着しちゃうのかも…?
「まあ、当日いなかったら迎えに行ったら?」
「…それもそっか」
「…レン兄様…?ミク姉様…?」
あはは、と笑うわたしにレンくんが真剣に頷く。 
それに声をかけてきたのは。
「…ルカ姉ぇ!」
「ルカちゃん!」
おろ、とするのはわたしの愛しい末妹、ルカちゃんだ。
うーん、今日も可愛い♡
「ルカ姉ぇ、オーバーヒート良くなったんだな」
「はい、お陰様で。あの時はご迷惑おかけしてすみません」
ペコリ、謝るルカちゃんに、「おれは別に何もしてないし」と、レンくんが手を振った。
実はルカちゃん、誕生日にオーバーヒートでぶっ倒れちゃったんだよね。
その後も数日動けなくって、ちょっとメンテナンスとか行ってたから今日やっとお誕生日デートするんだー!
…って、わたしたちの話は良くって。
「あ、あの…レン兄様…?」
「ん?何、ルカ姉ぇ」
おずおずとルカちゃんがレンを見る。
「流石に…その量の花束を持ってお仕事先に行くのはカイト兄様もお困りになるのでは…?」
「…やっぱり?」
「はい。ですので、おうちで待っておられた方が良いと思います!」
真剣な表情のルカちゃん…。
…あれこれもしかして。
「うーん、けどなぁ」 
「じゃあ今もう渡しちゃえば?」
何故か悩むレンくんに、わたしは言う。
それから、ぐいっとその腕を掴んで引っ張った。
「うわっ!」
「兄さん?!いつからそこに!」
引っ張り出されたお兄ちゃんに、レンくんも目を丸くする。
「…ミクが来た辺りから…」
「まあまあ最初じゃん…!」
観念したようにお兄ちゃんが言う…そんな前からいたんだ。
てっきりルカちゃんが来た辺りからだと思ったんだけどな。
「まあお兄ちゃんもさ?周年のお誕生日様なんだし、プロポーズ受けといたら?」
「そんな簡単に…」
「み、ミク姉様!」
困ったようなお兄ちゃんに、何故かルカちゃんまで慌て出す。
どうしたんだろ、と思っていたらレンくんがにやりと笑った。
「お膳立てサンキューな、ミク姉ぇ、ルカ姉ぇ。それから…兄さん」
珍しい笑みを浮かべるレンくんがお兄ちゃんに近付く。
…あー、そういうこと。
「…当日、覚悟してろよな」
「ちょっと待っ…!」
「めっっっっちゃ祝ってやるから…さ?」


レンくんが不敵なそれをお兄ちゃんに向けた。



揺れる300本のバラの花束は…。

当日までお預けみたいだね?



(300本のバラの花束


その意味を隠そうともせずに)





「いやぁ、周年のお誕生日さまは大変ですなぁ」
「はいはい。…ルカ姉ぇだって20周年の20歳なんてすぐそこだからな」
「レン……」
「ミク姉様…」

何か、歌が聴こえてきた。
夜の空に響く、綺麗な声。
それに釣られるようにマキノはふらりと部屋を出て…テラスに向かう。
「~♪」
冷たい風に、彼の歌声と黒の髪が靡いた。
「…よ、逢河」
しばらく聴いていたがふと彼…カイコクがこちらに気づいたようにひらりと手を振る。
少し勿体無いな、と思いながら近づいた。
「…カイコッくん」
「起こしちまったか?」
ふわ、と微笑む彼に、ふるふると首を横に振る。
「…起きてた、から」
「…なら良かった」
柔らかく微笑むカイコクは、昼間の表情を無くし優しいそれをしていた。
そして。
「…誕生日おめっとさん、逢河」
くしゃりとカイコクの手がマキノの髪を撫でる。
数秒遅れて今日が誕生日だと気づいた。
「…ありがとう」
ややあって礼を言えば、カイコクは満足そうに笑う。
「相変わらずお前さんは誕生日忘れてるんだねェ」
くすくすとカイコクは肩を揺らした。
マキノは別に誕生日はどちらでも良いのだ。
ただ、彼がこうやって律儀に祝ってくれるから忘れずにいられる。
…きっとそれは幸せなことなのだろう。
「…カイコっくん」
「?どした?」
首を傾げるカイコクをマキノはじっと見つめた。
「…もっと、歌ってほしい」
「…。しゃあねぇなァ」
息を吐き出したカイコクが口を開く。
彼が歌うのは、いつか聞いた子守唄。
月夜に流れる、マキノにとってのバースデーソングは。
二人きりの優しい時間は。

きっと、こういうのを幸福と…そう、呼ぶのだろう。


「月が、綺麗だね。カイコっくん」
「…っ!!おまっ…!……ま、肯定を返しておいてやる」