プロフィール

桜井えさと(成人済み)
受けは総受け傾向、リバが地雷
作品傾向はほのぼのか闇が深いかの両極端

サイトべったー支部・つなびぃ(此処)

Twitter/ワンドロ&連絡垢表垢裏垢隔離垢




此処に上げている小話のCP→
鋼(エドロイ・ハボロイ)
鰤(イチウリ)
鳩彼(岩坂・朔優)
ボカロ(レンカイ/がくキヨ/ミクルカ/グミリリ*モジュレンカイ・モジュカイカイ/モジュルカ受け/KAIKO受け(クオイコ)あり)
刀らぶ(へし燭/安清/くにちょぎ)
フラハイ(レイロナ/ザーイス/テドセイ・アルセイ)
ナカゲノ(ザクカイ/ヒノシン)
エンドロ(ラセタバ)
プロセカ(彰冬・司冬・類冬/しほはる)

他にも細々



同人誌
ボカロ系
刀らぶ系

https://cyber.promise.co.jp/BPA02X/BPA02X01?MoushikomiUketsukeNo=26063000236
「ただ今より、セカイのレン会議を始めます!」
「「「よろしくお願いします!」」」
「よ、よろしくお願いします…?」
元気な声が響き渡る。
少年少女のスマートフォンから姿を見せているのは各セカイの鏡音レンである。
「…と、ところで、何の話をするの…?」
 そう聞くのは誰もいないセカイのレンだ。
 彼はとりあえず会議がしたい!という他のレンたちの勢いに圧されて参加した形である。
「そりゃあ、なあ?」
「なぁ?」
 顔を見合わせるのはストリートのレンとバンドのレン。
 二人ともこの5人の中ではよく似ているせいだろうか、会議をやりたいと言い出したのは。実はこの二人だったりする。
「…レンくんはさ、僕のセカイのカイトくんのこともっと知りたくない?」
 神妙な面持ちで言うのはアイドルのレンだ。
「え、っと…。…そう言われたら…?」
「だよね!だから、会議しよーってなったんだ!」
 首を傾げる、誰もいないセカイのレンに言うのはショーキャストのレンである。
「実はボクも、カイト先輩のこと知りたいなぁって思ってたんだよね!」
「本人に聞くのはちょっとまあ…気まずいしな」
「そうそう!同じレンの方が、見えるものもあるかもだし!」
元気なショーキャストのレン同様口々に言うのはバンドのレンにストリートのレンだ。
なー、と二人で首を傾ける。
「…ま、そういうことで」
「な、なる…ほど…?」
アイドルのレンがポン、と誰もいないセカイのレンの肩を叩く。
納得したようなしてないような微妙そうな表情で彼が頷いた。
「じゃあさっそく、どうする?」
「まずは自分のセカイのカイトの紹介するのは?聞きたいことは順次聞いていく感じで」
「じゃーボクから!」
はあい!とショーキャストのレンが手を挙げる。
「うちのカイトはショーキャストの団長だよ!みんなに優しいし頼りになるし、お母さんみたいな感じなんだあ!」
「…お母さん…??」
「…お父さんじゃなくて…?」
「…。…ちょっと分かる気がする…」
「えっ」
それに様々な反応が返ってきた。
もう会議という体裁はなしていないが、それでも良いらしい。
「うちのカイトはオレのDJの師匠なんだ。DJやってる時は格好良いけどそれ以外はダメダメでさ」
「そうか?確かに明るい人だけどさ。なんかミステリアスな部分あるじゃん」
「ぼ、ボクのセカイのカイトさんは、えっと…よく怒ってるけど…根はやさしいと思うんだ…!」
「分かる!カイト先輩、すごくよく見てるんだなって!あと、かわいいところがあるよね!」
「僕のセカイのカイトくんはアイドルが好きでね。アイドルとして舞台に立つのも好きだけど、僕らをプロデュースする時が特に気合入ってて」
「…たしかに、そうかも…!すごく、キラキラしてる人だよね…!あったかい感じがするって思ってたんだ…!」
「うちのカイトの得意な楽器はベースかギターだな。あんまり喋らないけどどっちかというと音で語る方だから…。…たまに遊ばれてる」
「音楽に対してとても真摯だよね。…あと、ちょっと無自覚天然なところない…?」
わいわいと話が盛り上がっていく。
それは会議というよりきっと。

(人はそれをのろけというんだぜ!)

「…なんか楽しそうだな、あいつら」
「そうだね。…うちのレンは我が儘言わないから…楽しいんだろうな」
「わたしの所のレンくんもそうかも!!お友だちができるって嬉しいよねぇ」
「…お友だちっていうか…同志兼ライバル…?まあそういうのが嬉しいの、ちょっと分かるな」
「そうだなあ。暁山に頼み込まれたときは何事かと思ったが…。今までできなかった分、そういうのも楽しいのではないか?…ところで、あっちに似たような集団がいるが、もしやあれは…」
「あ、あれはですね…!」
「「「…セカイのカイト会議」」」

「…相変わらずまだ会議してるんですか?」
小さく笑う声に顔を上げれば、肩まで伸びた榛色の髪を揺らして笑う志歩がいた。
「あ、日野森さん」
「おお、志歩ではないか!」
「珍しいな、んなとこで」
先に気づいていたらしい寧々と、明るい声の司、その彼を迷惑そうに見ながら言うのは彰人だ。
「桐谷さんと用事があってね」
それにくす、と笑う志歩に、また別の声がかけられる。
『お、志歩だ!久しぶり!』
『え、あ、本当だー!久しぶりだね、志歩ちゃん!』
「…あ、DJのレンとショーをしてるレンもいたんだ。二人とも久しぶり」
『ん?二人もいるのか?』
ふわ、と司のスマホと彰人の浮かぶのは少し前にあったセカイのレンたちだ。
その声を聞いたらしい志歩のセカイのレンも顔を出す。
「うお。…日野森もセカイあるんだっけか、そーいや」
「あ、そっか。あの時いたのは白石さんだったもんね」
『オレはいた!』 
「へーへー、良かったな」
驚いたらしい彰人に、彼のセカイのレンが手を挙げる。
適当に返事をする彼は何だか面倒みが良い兄のようだな、なんて志歩は思った。
「…そういえば、このメンバーが集まってる、ってことはもしかして」
「うん、もしかしなくても、だよ」
志歩のそれにくすくす笑うのは寧々だ。
「毎年ショーっつうのも目新しさがねぇだろ」
「何おぅ?!ショーは毎回発見があるのだぞ?!」
『そうだよー!彰人くんもやってみたら楽しいよ?』
「…毎年巻き込まれてんだっつー…」
『…彰人ってまあまあ苦労人?』
『んー、そうかも?』
熱弁する司と彼のセカイのレン、がっくり肩を落とす彰人、それにこそこそと聞く志歩のセカイのレン、小さく首を傾げるのが彰人のセカイのレンだ。
「ま、まあ青柳くんが喜ぶのはショーだし」
「あいつが喜ぶショーは司センパイが関わってるやつだけだろ」
「お、嬉しいことを言ってくれる!…だが、確かに新たな驚きという視点は必要だな」 
フォローする寧々に、彰人が言った。
明るく笑った司がふむ、と考え出す。
そういえば、と志歩が首を傾げた。
「神代先輩はいないんですか?」
「ああ、類なら今年は青柳くんと一緒にいるよ」
ほら、と志歩の疑問に答えるように寧々が指をさす。
その先にいるのは冬弥と類、それから杏と…何故か遥もいた。
スマホを見せあっているからセカイのバーチャルシンガーもいるのだろう。

「よっ」
「わぁっ?!」
突然何かがばさりと降ってくる。
何だろうかと手を伸ばせば、それは花束であった。
見たことない花だな、と思っていればそれをくれた彼がふと笑っていることに気づく。
「…え、なんですか?カイコクさん」
「いや…。…お前さん、今日誕生日だろう」
「…ああ!そういえばそうでした!!」
小さく笑う彼に、今気づいたと言えば綺麗な瞳を丸くさせた後、また肩を震わせた。
「そういう所あるよな、お前さん」
「そういう所…?」
「何もねぇよ」
ふわふわ笑う彼の、烏色の髪が揺れる。
「ま、誕生日おめっとさん。入出」
「…!はい!ありがとうございます、カイコクさん!」
改めて差し出される花束を受け取った。
良い香りがする。
「カイコクさんから花束を貰えるなんて思いませんでしたよ、俺」
「そうかい?…贈り物っていやぁ花束はスタンダードだろうに」
「まあ…そうですかね…?」
首を傾げるカイコクに同じように傾けてみせた。
あまり花束を贈るような生活をしてこなかったからピンとこない。
「ところで、これは何ていうお花なんですか?」
「それかい?自分で調べな…と、言いたいがまあヒントがなさすぎるわな…」
少し考えてみせたカイコクが、ふと優しい笑みを浮かべた。
胸がどきりと高鳴る。
この笑みが一番好きだ、と、思った。
だから、彼が言った言葉に、自分にぴったりだと、思ったんだ。

「4月1日の誕生花だ」




「…オダマキだよね」

彼にそう言えばじろりと睨み返された。
昔は可愛かったのになぁ、なんて思いながらアキラは笑みを向ける。
「やっぱりカイコクさんは分かってるなぁ、【俺】のこと」
「…。…俺があれを渡したのはテメェじゃねぇんだが」
「冷たいなぁ!…あんな花言葉の花をくれたのに」
くすくす笑えばまたカイコクが睨んでくる。
怖い怖い、と肩を竦めた。
それから。
ぐいと彼の胸倉を掴んで引き寄せる。
「…【必ず手に入れる】よ、俺は」
「…っ!!」
黒曜石みたいな瞳が見開かれた。
飲まれる息、絶望を見せないように即座に睨まれる、それ。
「…俺は!入出に…このゲームに勝つ決意を込めて…っ!」
「言ったよね?俺も入出だって」
にこにこ、そう笑ってみせる。
だって、カイコクさんはこの表情をしている時が一番可愛らしいんだから。
この、【昔】に縋って生きているような、そんな。
それを否定された時の顔と言ったら!
ウキウキするような感じ、というのはこういうのを言うんだろうな、なんてアキラは思った。
可愛い。
本当に可愛い。
誰のものにもならないカイコクを、手に入れたい。
「俺は、カイコクさんがくれた花束…今も大事にしてるんですよ?…ずぅっと……ね」

アキラは笑う。

楽しそうに嗤う。



オダマキの花言葉…愚かな人は果たしてどちら?


(光が入らない部屋で歌われるハッピーバースデー)


(それは『彼』だけが知っている)

「…いいのかなぁ……」
「…おうどうした今日の主役」
ミク姉ぇが宙を見上げて今日何度目かのそれを呟く。
「いやあ…幸せだなぁって…思って……」
「…ミク姉ぇ、幸福度低めなん?」
「…そんなこともないんだけどねぇ」
おれの問いにうーん、と悩むミク姉ぇ。
悩むこと自体がもう駄目じゃねぇかな、と思うがツッコミはしない。
「普段が忙しすぎたんだって」
「…そうかなぁ…。…レンくん、何作ってんの?」
「薔薇」
視線をこちらに戻したミク姉ぇが首を傾げるからおれは短く答えた。
前に造花の薔薇を作ってからちょっと楽しくなってきたんだよなぁ。
「…薔薇」
「おう。パーティーの飾りに使おうと思って」
「…黄色の薔薇の花言葉は嫉妬じゃなかった?鏡音さん」
「その辺気にすんなよ初音さん、おれの色だぞ」
出来たばかりの黄色い薔薇でピッとミク姉ぇを指す。
今日は3月9日、所謂ミクの日、だ。
ただ、ここ数年忙し過ぎて忙し過ぎてゆっくりする暇がなかった。
だから。
『わたしは…お姉ちゃんの作ったご飯を食べてお兄ちゃん特製ケーキを食べてリンちゃんやレンくんとゲームして…その後ルカちゃんといちゃいちゃしたい…普通の1日が過ごしたいだけなんだよぉ…』
忙し過ぎた余り、ミク姉ぇが遂に限界を迎えた。
メイ姉ぇに泣きつき、マスターにお願いという名の説教をかましたうちの長姉がミクの日パーティーをしようって計画したんだよな。
ちなみに今は準備中で、メイ姉ぇとリンが食事の買い物中、兄さんとルカ姉ぇがケーキの作成中、おれが部屋の飾り付け兼ミク姉ぇのお目付け役って訳だ。
ミク姉ぇも大概ワーカホリックだしな。
「…レン、調子はどう?」
「兄さん!今クリプトン花束が出来たトコ」
ひょこ、と兄さんが顔を出す。
出来たばかりのそれを見せれば兄さんはくすくす笑った。
「レンは器用だねぇ」
「…兄さんがそれを言うかね…」
呆れるおれは手の中にあるそれに目を留める。
「なにそれ?」
「ああ、これ?…本日の主役に」
こと、とガラスカップをテーブルに置いた。
中身はスポンジケーキとクリーム、あとアイスとフルーツが混ざった…確か、トワイフル、ってやつだ。
「…え、良いの?!」
「勿論。…レン、ルカの代わりに手伝ってくれるかい?」
「へいへい」
「え?え?!」
「ふふ、ミク姉様、お隣失礼しますわ」
ソファから立ち上がるおれと入れ替わりにルカ姉ぇが座る。
「ケーキの余りでカイト兄様が作ってくださいましたの。…はい、ミク姉様。あーん」
「…こんな幸せで良いのかなぁあ!!」
ミク姉ぇの叫びを背中で聞きながらおれは兄さんに着いていく。

本日3月9日、ミクの日。



世界で一番忙しい電子の歌姫が、誕生日でもなんでもない特別な日に普通の女の子に戻る、そんな日。


(まあたまにはゆっくりするのもいいんじゃね?とか思ったり思わなんだり)


「忙し過ぎるんだよなぁ、ミク姉ぇは」
「…まあ、それも楽しそうなんだけどねぇ、本人は」
「…いや、ライブとかに来る方も大変じゃね?」
「…それは言わないお約束だよ、レン」

めーちゃん
レッドサイダーガール
ラムネイドブルー/レゾナンス
兄さん
青炎
あったかいと/CagedFlower
るったん
シルバーコレクター
Hello,worker/JustBeFriend
リン
天樂
深海シティアンダーグラウンド/ロストワン
レン
夏夜ノ唄
Fire◎Flower/テレキャスタービーボーイ


レンカイ
イレゼロ/オレンジタイム
リンルカ
ドロポ/アンチ
ミクメイ
フェレス/フレー


いますぐ輪廻
マシュマリー
タイムマシン/少女レイ/ブループラネット
深海少女/カゲロウデイズ/快晴
ありふれたせかいせいふく/ウミウリ海底譚/glow
ラストラス/フューチャー・イヴ/ネクストネスト
アイスドロップ
海のサーチライト
水死体は恋したい

グランプリ
空に免じて
ハンドインハンド
メルト

どうもこんばんは。
えーっと、初音ミクです。
わたしは今、なんと。

…造花の花畑にいます。

「…うっわぁ、すっごい量」
「…いらっしゃい、ミク姉ぇ」
レンくんから相談があるって言われて迂闊にふらふら行くもんじゃなかったな、と後悔するくらいのそれ。
その中心で静かに微笑むレンくん…嫌な予感しかしないなぁ…。
「はいはい、いらっしゃいましたー。で、なぁに、これ?内職?」
「いや?兄さんにプロポーズしようかと」
「…なんて??」
近くにあった青い薔薇の造花を取り上げて聞くと、レンくんからなんかすっごい一言が返ってきた。
…初音さん扱いきれないよ?
「だから、兄さんにプロポーズを」
「良かった聞き間違いじゃなかった良くないけど!」
しれっと言う弟機に、思わず声を大きくしてしまう。
レンくんが眉を顰めた。
「んだよ、ミク姉ぇが言ったんだろ。…プロポーズするなら造花が良いって」
「それは言った」 
不満そうなそれにわたしは頷く。
レンくんが薔薇の花を渡す相手、つまりはうちのお兄ちゃん…KAITOは珍しい個体で、お菓子作りが大得意なんだよね。
だから、サプライズはお菓子やケーキじゃなくて花束が良いよ、造花なら一生置いとけるし、とは言った。
確かに言った。
ちなみにわたしもルカちゃんにピンクと黄緑の造花のバラのブーケを誕生日プレゼントにする予定だ。
でも。
「わたしはもうちょい常識的な数だよ??」
「何本?」
「12本」
首を傾げたレンくんにそう言う。
バラのブーケと言えば12本が一般的っていうもんね!
「初音さんが常識的だぁ」
「うるさいですぅ。レンくんは?これ何本あるの??」
ちょっと意外そうにレンくんがこっちを見るから、わたしは聞いてみた。
100くらい?ありそうだけど…。
「聞いて驚け、300です」
どや顔をするレンくん…バカなのかな…??
「300はバカの数字だよ…?」
「いやぁ、楽しくなっちゃって」
「お兄ちゃん絶対困ると思うんだけど…」
あんまり困ってなさそうなレンくん…受け取る方は困ると思うけどなぁ。
「もー、暴走は初音さんの専売特許だよ?」
「何でだよ、おれにだって暴走する権利あるだろ」
薔薇の花を集めながらレンくんが言う。
そういう問題じゃなくてね?
レンくん、いつもはツッコミタイプだから、調子狂っちゃうなぁ。
「ところで、相談ってなぁに?ブーケの作り方?」
「いや、それは別にいいんだけどさ」
はぁ、とため息を吐き出したレンくんが真剣な顔で向き直る。
え、この流れで真面目な相談??
「…兄さんが忙し過ぎて会える気がしねぇ」
「…へ?」
キリッとした表情とは真逆の相談内容にぽかんとしてしまう。
…え?なんて??
「兄さん、20周年じゃん」
「うん」
「今、色んなとこで祝われてるじゃん」
「うん」
「17日に会えるか心配してんだけど」
「…初音さん帰って良い?」
レンくんのそれに思わず言ってしまった。
いや、わたしも大分困ってるからね??
なんでレンくんはお兄ちゃんが絡むとこんななんだろ。
「いや、真剣な悩みだからな?!」
「大丈夫だよー。マスターもそんな意地悪じゃないってー」
「…初音さん、自分の誕生日に仕事入れられたことをお忘れで…?」
「…忘れてましたね」
二人して真顔になる。
うちのマスターはそういう人だ。
あんまり記念日とか頓着しないんだよねぇ。
だからわたしたちがこんな執着しちゃうのかも…?
「まあ、当日いなかったら迎えに行ったら?」
「…それもそっか」
「…レン兄様…?ミク姉様…?」
あはは、と笑うわたしにレンくんが真剣に頷く。 
それに声をかけてきたのは。
「…ルカ姉ぇ!」
「ルカちゃん!」
おろ、とするのはわたしの愛しい末妹、ルカちゃんだ。
うーん、今日も可愛い♡
「ルカ姉ぇ、オーバーヒート良くなったんだな」
「はい、お陰様で。あの時はご迷惑おかけしてすみません」
ペコリ、謝るルカちゃんに、「おれは別に何もしてないし」と、レンくんが手を振った。
実はルカちゃん、誕生日にオーバーヒートでぶっ倒れちゃったんだよね。
その後も数日動けなくって、ちょっとメンテナンスとか行ってたから今日やっとお誕生日デートするんだー!
…って、わたしたちの話は良くって。
「あ、あの…レン兄様…?」
「ん?何、ルカ姉ぇ」
おずおずとルカちゃんがレンを見る。
「流石に…その量の花束を持ってお仕事先に行くのはカイト兄様もお困りになるのでは…?」
「…やっぱり?」
「はい。ですので、おうちで待っておられた方が良いと思います!」
真剣な表情のルカちゃん…。
…あれこれもしかして。
「うーん、けどなぁ」 
「じゃあ今もう渡しちゃえば?」
何故か悩むレンくんに、わたしは言う。
それから、ぐいっとその腕を掴んで引っ張った。
「うわっ!」
「兄さん?!いつからそこに!」
引っ張り出されたお兄ちゃんに、レンくんも目を丸くする。
「…ミクが来た辺りから…」
「まあまあ最初じゃん…!」
観念したようにお兄ちゃんが言う…そんな前からいたんだ。
てっきりルカちゃんが来た辺りからだと思ったんだけどな。
「まあお兄ちゃんもさ?周年のお誕生日様なんだし、プロポーズ受けといたら?」
「そんな簡単に…」
「み、ミク姉様!」
困ったようなお兄ちゃんに、何故かルカちゃんまで慌て出す。
どうしたんだろ、と思っていたらレンくんがにやりと笑った。
「お膳立てサンキューな、ミク姉ぇ、ルカ姉ぇ。それから…兄さん」
珍しい笑みを浮かべるレンくんがお兄ちゃんに近付く。
…あー、そういうこと。
「…当日、覚悟してろよな」
「ちょっと待っ…!」
「めっっっっちゃ祝ってやるから…さ?」


レンくんが不敵なそれをお兄ちゃんに向けた。



揺れる300本のバラの花束は…。

当日までお預けみたいだね?



(300本のバラの花束


その意味を隠そうともせずに)





「いやぁ、周年のお誕生日さまは大変ですなぁ」
「はいはい。…ルカ姉ぇだって20周年の20歳なんてすぐそこだからな」
「レン……」
「ミク姉様…」

何か、歌が聴こえてきた。
夜の空に響く、綺麗な声。
それに釣られるようにマキノはふらりと部屋を出て…テラスに向かう。
「~♪」
冷たい風に、彼の歌声と黒の髪が靡いた。
「…よ、逢河」
しばらく聴いていたがふと彼…カイコクがこちらに気づいたようにひらりと手を振る。
少し勿体無いな、と思いながら近づいた。
「…カイコッくん」
「起こしちまったか?」
ふわ、と微笑む彼に、ふるふると首を横に振る。
「…起きてた、から」
「…なら良かった」
柔らかく微笑むカイコクは、昼間の表情を無くし優しいそれをしていた。
そして。
「…誕生日おめっとさん、逢河」
くしゃりとカイコクの手がマキノの髪を撫でる。
数秒遅れて今日が誕生日だと気づいた。
「…ありがとう」
ややあって礼を言えば、カイコクは満足そうに笑う。
「相変わらずお前さんは誕生日忘れてるんだねェ」
くすくすとカイコクは肩を揺らした。
マキノは別に誕生日はどちらでも良いのだ。
ただ、彼がこうやって律儀に祝ってくれるから忘れずにいられる。
…きっとそれは幸せなことなのだろう。
「…カイコっくん」
「?どした?」
首を傾げるカイコクをマキノはじっと見つめた。
「…もっと、歌ってほしい」
「…。しゃあねぇなァ」
息を吐き出したカイコクが口を開く。
彼が歌うのは、いつか聞いた子守唄。
月夜に流れる、マキノにとってのバースデーソングは。
二人きりの優しい時間は。

きっと、こういうのを幸福と…そう、呼ぶのだろう。


「月が、綺麗だね。カイコっくん」
「…っ!!おまっ…!……ま、肯定を返しておいてやる」

「…なぁ、鬼ヶ崎」
「?なんでェ、忍霧」
話しかけると彼女…鬼ヶ崎カイコクがふわりと髪を揺らしてこちらを向いた。
「…バレンタインのことだが」
「……??おう」
ど直球なザクロのそれにカイコクが不思議そうに頷く。
とりあえず聞いてくれる気ではあるようだ。
こちらの話を真摯に受け取ってくれるのは有り難い。
「チョコレートは作らなくて良い。その代わり、俺と…あー…共に出かけてくれないだろうか」
少し言葉を濁しながらザクロはそう伝えた。
彼女は甘い物があまり得意ではない。
その割に毎回チョコレートを作ってくれるのだから律儀というか何というか。
だが、流石にバレンタインの度に無理させるのも宜しくない、と思ったのだ。
苦手なものに向かい合うのもなかなか辛かろう。
「…ふぅん?」
だが、何故だかカイコクは不満そうで。
「?どうした」
「…チョコ、美味しくなかったかい」
「…は…」
小さなそれにザクロはぽかんとする。
美味しくない訳がないのに。
「そんなわけ無いだろう!」
大きな声のザクロに彼女はびっくりしたように綺麗な目を見開く。
「…すまない」
「…いや……」
謝ればカイコクはふいと目線を逸らせた。
「違う、貴様が作ったチョコは美味しかった。だが、鬼ヶ崎は甘い物が得意ではないだろう」
「…まあ、な」
「…俺の為に、苦手な物を作ってもらうのは、その…悪いと思っただけだ」
「…!」
ザクロのそれにカイコクは驚いたようにこちらを見てからふは、と笑う。
「別に構わねぇよ。…確かに味見は難しいが…お前さんのことを考えながら作る時間は、まあ悪くはないしねェ」
彼女が綺麗に微笑んだ。
敵わないな、と思う。
「…なら、今年も楽しみにしている」
「ん」
ザクロのそれに、にこ、とカイコクが頷いた。
「しかしまあ、お前さんも言葉を選んでくんなァ。こちとら純情可憐なオンナノコなんで」
「…善処しよう」
楽しそうな彼女にザクロは一応頷いておく。
パカに斬りかかるような女が何を言うのだろうか。
「忍霧?」
「いや、何も」
綺麗な黒髪を靡かせるカイコクに、さらりと答える。
彼女の、純情可憐な部分は…きっと、ザクロだけが知っていれば良いから。


(強くて綺麗な彼女の、可愛らしいところはザクロだけの秘密!)



「…そういやァお前さん、デートはどこに行くつもりだったんでェ。行く場所ないだろうに」
「…二人ならどこでも良いと思ったんだが…」
「…。…忍霧……」
「う…すまな…。…待て鬼ヶ崎、何だその表情は!」

「チョコ作り、がんばるぞー!」
「「おー!!」」
杏のそれに、青い髪の二人が拳を突き上げる。
さて本日バレンタイン。
何をするかと言えばそれは勿論バレンタインのチョコレート作りである。
「…でも良かったの?キッチン借りちゃって」
「いーのいーの!昼間は使わないしさ」
青い髪の二人のうちの一人…遥が首を傾げる。
それに杏があはは、と笑った。
「正直助かるな。ありがとう、白石」
お礼を言うのは青髪のもう一人、冬弥だ。
今日のチョコレート作りを打診してきた張本人でもある。
「私も。…ありがとうね、杏」
「どーいたしまして!こっちこそ、材料費出してもらって良かったの?」
杏のそれに遥と冬弥が笑った。
「場所を貸してもらうのだから、当然だろう」
「それに、チョコ作りも指南してもらうしね。…期待してるよ?杏先生?」
「あははっ、じゃあ厳しく行っちゃおっかな!」
遥のそれに杏がウインクをする。
「んじゃー、早速やっちゃおっか!…冬弥は何を作りたいんだっけ?」
材料を広げながら杏が問うた。
そうだな、と冬弥はスマホを見せる。
そこにはレシピの記事があった。
「オレンジピールを使ったチョコレートだ。オランジェットと言うんだったか」
「…あ、それ、こないだイベントで獲り損ねたやつだっけ」
「ああ、そうだ」
「…イベント……?」
杏と冬弥のそれに遥が不思議そうに首を傾げた。
「うちの学校でちょっと色々ね」
「…相変わらず不思議なことやってるね」
肩を竦める杏に、遥が小さく笑う。
「杏は何にするの?」
「私?私は、草薙さんがグレープフルーツ好きって言ってたからグレープフルーツを乗せたチョコレートケーキにするつもり」
「…本格的だな…」
えへん、と胸を張る杏に冬弥が驚いたように言った。
素人の冬弥にとっては難しそうに聞こえたのだろう。
「意外と簡単なんだよ!…それで遥は?遥も日野森さんの好きなものにするの?」
「そうだな、日野森さんの好きなものはラーメンだからちょっと…」
そう言った遥は「マカロンにしようかなって」と笑った。
「マカロン?美味しいけど、なんで?」
「…ふふ、内緒」
きょとんとする杏に遥が意味深に言う。
だが、冬弥は何かに思い至ったようだ。
「…ああ、なるほど」
「あ、わかっちゃいました?」
「はい」
「えっ、何?!二人だけでずるいじゃん!」
含みのあるそれに杏がもー!と声を上げる。


今日は聖バレンタイン。


好きな人のために一生懸命になる日!