「~♪」
「ご機嫌だね、白石さん」
「!草薙さん!」
鼻歌を歌う杏に話しかければ彼女はぱあ!と表情を明るくさせた。
「だって、草薙さんから誕生日プレゼント貰ったんだもーん!嬉しいに決まってるじゃん!」
杏がニコニコと言う。
そんなに?と寧々も笑った。
ちなみに中身はオススメのヘッドフォンだ…寧々もネットゲームをする時に愛用している。
「喜んでもらえたなら良かった」
「えへへ、たくさん使うね、草薙さんっ!」
「うん。…わたしも、白石さんからもらった喉ケアスプレーのセット、ちゃんと使ってるよ。すごく良いね」
「本当?!良かったぁ!!」
ホッとしたような彼女は益々嬉しそうに笑った。
「やっぱり、贈った物が喜ばれるのって、良いね!」
「うん、そうだね」
同意する寧々に、杏も頬を緩ませる。
随分まあ楽しそうに。
「…白石さん?」
「ん?なぁに、草薙さん!」
「…他に…嬉しいこと、あったの?」
首を傾げて聞いてから、その質問は失礼かとも思った。
今日は誕生日なのだし、嬉しくてもまあさもありなんといったところだろう。
だが、彼女は、「わかるー?」と両頬を手で押さえた。
「だって、草薙さんとまた同い年に戻ったんだもん!」
「…えっ?」
杏のそれに思わず目を見開く。
彼女は今なんと?
「ほら、草薙さんって、1週間限定だけど私よりお姉さんだったじゃん?置いていかれた感じでちょっと寂しかったんだよね!」
ブスくれる彼女に、思わず笑ってしまった。
「…ふふっ」
「あー!笑った!草薙さんは置いてく方だから分かんないんだよ!」
「…ご、ごめんね…」
もー!と文句を言う杏に笑いつつ謝る。
だって、思ったより可愛い理由だったから。
「わたしの、次の誕生日が来るまでは置いていかないよ、白石さん」
「…草薙さん……」
ぎゅっと手を握って微笑む寧々に、杏は向日葵に似た瞳を丸くする。
それから、ふにゃっと笑った。
「うんっ!!次の誕生日まで離さないでね、草薙さんっ!」


(笑う、クマノミみたいに無邪気な彼女に、人魚姫は)



(うっかり恋よりお姉さんが芽生えてしまいそう!)


「…わたし、同級生でいられるかな…」
「えっ、何、何の話?!!」

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