「…今年は直球で行こうと思うんだけど」
「…うん?」
放課後、公園に呼び出した彼女にそう言えば、少し首を傾げた。
お互いの休日が奇跡的に合い、もうここしかない、と志歩は急ピッチで準備をしたのだ。
あまり回りくどいこともしていられない。
「どうしたの、日野森さん」
「今日、桐谷さんの誕生日でしょ」
不思議そうな遥に笑いかけると彼女はきれいな目を丸くさせた。
「…覚えててくれたんだ…」
「当たり前でしょ。大切な…恋人だからね」
「!…うん」
ふわふわと微笑む遥をベンチに案内し、はい、と用意したプレゼントを渡す。
「誕生日おめでとう、桐谷さん」
「ふふ、ありがとう。開けても良い?」
「勿論」
嬉しそうな頷くと、彼女は何だろう、なんて言いながら包みを解いた。
「…これ!秋限定フェニーくん!」
「そう。…ちなみに私とお揃い」
目を輝かせる遥に、自分も買ったそれを見せる。
ちなみに持っているものが違う…志歩のフェニーくんが洋梨、遥が持っているのがぶどうだ、もう持っていたらどうしようかと思っていたが杞憂だったようだ。
「ありがとう、日野森さんっ!」
「わっ、どういたしまして」
抱き着いてくる彼女を抱きとめ、志歩は笑う。
遥が喜んでくれたなら良かったな、と思った。
たまには直球勝負も悪くないな、と志歩は息を吐く。


小細工なんか一切ない、真っ直ぐな愛を、貴女に!


「愛してるよ、桐谷さん」
「…ふふ、私もだよ…日野森さん」

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