sss!(フラハイ)

全力で駆け寄りたい気持ちを抑えて小走りで階段を上がる。
俺の右手にはスプーンと小皿。
左手には小さな白い箱。
完璧だ。

「ロッナードー!」
「・・・なんだ、レイナス」
勢い良く入っていったっていうのにロナードは本から目も離さずに応答した。
ロナードは割りと何時もそんなだから俺も気にしないでそのすぐ隣に立つ。
「何読んでるんだ?」
「調査報告書だが」
覗き込むと手元にあるのは本じゃなくてファイルだった。
文面から見てエルディアの現状況だとか、そんな感じ。
「・・・俺に何か用か」
「ああ、そうそう」
邪魔なのか・・・まあ邪魔なんだろうけど・・・ふと俺を見上げてくるロナードに、本来の目的を思い出した。
「じゃあんっ、期間限定☆ミルザフルーツ・シュー・ア・ラ・クレームでーす!」
「・・・ほう?」
箱を突き出す俺に、ロナードの表情が柔らかくなる。
この、いかにも軍人然としたお貴族様、ロナード=ナイトスターは甘いものが・・・とりわけミルザフルーツを使ったお菓子が大好きなんだ。
意外、を通り越してただのギャップ萌えだと思う。
「行列が凄かったんだ。中々手に入らないんだぞ?」
「・・・そうか」
ニッと笑いかけた俺にロナードは心底複雑そうな顔をした。
仕事中じゃないのか、って怒りたいけど怒れない、みたいなそんなトコか。
俺はそんなロナードを無視して、普通のシュー・ア・ラ・クレームよりも大きいそれを取り出して持ってきた皿に載せて差し出す。
見上げたロナードがいいのか、っていう顔をしてから小さく微笑んだ。
この笑顔を見たくて買ってきたって言うのもあるけど。
でも今日は。
「あーんvv」
「・・・は?」
大口を開けた俺にロナードがぴたりと止まった。
「いや、だから、あーんv」
「断る」
きっぱり。
即答か、ちくしょう。
「俺が買ってきたのに何のお礼もなしか?それは人としてどうかと思うんだけど」
「俺はお前が理解出来ん」
「なんで!」
「良い歳した男が同じ歳の男に食べさせてもらうのはどうかと思うが」
「俺が望んでるから良いんだよ」
言い切る俺にロナードが小さくため息をついた。
「・・・金を払えば良いか?」
「そんなに嫌か!!」
まさかそう返ってくるとは・・・。
今日のロナードは中々手強いな。
「何でも金で解決しようっていうのはロナードの悪い癖だぞ。俺は金が欲しいんじゃない、ロナード、お前が食べさせてくれればそれで良い」
「何処の悪徳商法だ」
まったく、と小さく呟いたロナードはシュー・ア・ラ・クレームの端をスプーンで掬い上げた。
ほら、とでも言いたげにそれを差し出すロナードに俺は慌てて口を開ける。
ロナードのデレは唐突だからちょっと困るんだよなぁ。
「・・・これでいいか」
頭の隅でそんな事思ってると憮然とした表情のロナードがそう言った。
あ、もう意識が俺じゃないほうにいってる。
しょうがないなぁ、ロナードは。
「ああ。じゃあ次は俺の番」
「は?」
「はい、あーんv」
ぽかんとするロナードからスプーンをひったくって同じようにしてからスプーンを口元に突き出した。
「・・・いい。自分で食える」
「遠慮するなって」
「遠慮ではない、拒絶だ」
「一段階抜かすなよ、意味が大きく変わってくるぞ」
「変わらん。俺にとっては同じだ」
盛大な溜め息と冷たい言葉一つ。
まったくロナードはお堅いんだから。
「ロナード、ほら、落ちるってば、俺食べちゃうぞ!!」
俺がまくし立ててるのを聞いて、ロナードは何かを諦めたのか冷たいまなざしをくれてからしぶしぶといったように口を開けた。
「どう?美味いだろ?」
「・・・そうだな、自分で食べた方がよく分かると思うのだが」
「そうか!はい、じゃあ、あーんv」
「聞いていたか?レイナス」
ロナードのイラッとした声を聞き流して俺は再びスプーンを差し出す。
暫くして諦めを含んだ表情のロナードが口を開けて、食べた直後に苦言を呈す。
俺はそれを聞き流して次のを差し出す。
その繰り返し。

俺たちの攻防は呆れた声の第3者が来るまで続いた。


ーーー
お誕生日でロナと同い年な某様に捧ぐ、自身久々の暴走レイナス×流されロナードです。
第三者は誰でも良いですよ・・・個人的にイスファルだけど←
書けるか不安でしたが何て事はない、うちのレイロナも平常運転でした本当にどうも(ry
・・・人様の誕生日SSSがこれなんだが大丈夫か?

あ、そうだ、寒中見舞い・・・届きましたよぉお・・・ひゃっほう!
マルラグダーナktkr!!!
なんて可愛い神集団・・・ほくほくvv
取り敢えず早めに・・・頑張ります・・・企画のラグダーナ小説をww
お誕生日おめでとうでしたー!

name
email
url
comment