イチャイチャ10題・指を絡める(グミリリ

「うぅ〜」
スタジオの外、カラコロという音と一緒にリリィちゃんの悔しそうな声が響く。
「やっぱり慣れないよぅ〜!!」
「でもさっきより綺麗に歩けてるよ?」
弱音を吐くリリィちゃんにそう言ってにっこりと笑いかけた。
そんなあたしが着てるのは綺麗な緑の浴衣にピンクの朝顔模様が入った浴衣、隣のリリィちゃんは長い髪を右側に全部寄せて、鮮やかなレモン色に可愛いお花の刺繍入りの浴衣を着てる。
実は今度の新曲が和風ロックで、PVで浴衣を着るんだって。
その前にお祭りもあるしあればいいよな、なんてマスターが全員分の浴衣を用意してくれたの。
曲を歌うのはあたし達だけなんだけど・・・お祭りには浴衣だろってマスターが。
で、普通にお祭りとかに行く分にはいいんだけど、PVで浴衣を着て踊るあたし達は色々と慣れておいたほうがいいじゃない?
だから今歩き方の練習をしてるんだけど・・・。
「でもすぐに着崩れてくるし下駄も慣れないし・・・」
文句を言いながらもカラコロと音をさせながら隣を歩くリリィちゃん。
時々転びそうになるのを寸でであたしが支える。
いつも思うけどリリィちゃんって本当に頑張り屋さんなんだよね。
声をあげたりはするけど絶対に途中で投げ出したりしないんだから。
「ねぇねはどうして綺麗に歩けるの?」
むぅ、とした表情のリリィちゃんがあたしを見上げる。
も〜リリィちゃんは可愛いなぁ。
「あたしは浴衣2年目だもん」
笑いかけると、そっかぁって納得したように言った。
アドバイスにも何にもなってないんだけど・・・リリィちゃんって純粋だよね・・・。
「あたしも来年にはねぇねみたいに綺麗に歩けるかな?」
「もちろん!あたしも去年はそんなだったし、リリィちゃんも大丈夫っ」
「・・・ありがと、ねぇね」
不安気なリリィちゃんに元気付けるように言うとリリィちゃんはにこっと笑った。
・・・やっぱり、リリィちゃんって可愛い。
そういえばあたしもユキちゃんも去年は歩き方練習なんてしなかったなぁ。
なんか、自然に覚えちゃったんだよね。
・・・あ。
「そうだっ!!」
ぽんっと手を打っていきなり声をあげたあたしに隣のリリィちゃんがびくっと身体を震わせた。
「なっ、何、ねぇね!!」
ビックリした様にあたしを見るリリィちゃんの手をぎゅっと握る。
「ねぇ、お祭り行こ!!!」




「・・・うわぁ、すっごい人・・・」
ぽかんとしたリリィちゃんの声。
近所で花火大会があるっていうから来てみたんだけど・・・やっぱり凄い人。
マスターは来週にある方に皆で行こうって言ってたから、今日は見るだけ。
人がいる所で歩く方が早く慣れるよね。
「・・・なんか・・・はぐれちゃいそう・・・」
少し不安そうに言うリリィちゃん。
「じゃあこうしたらはぐれないんじゃない?」
「え・・・っ」
にこっと笑いかけて驚くリリィちゃんの手を取る。
そのまま組むようにして指を絡めた。
「ねっ、ねぇね!」
「恋人繋ぎー」
声をあげるリリィちゃんの顔を覗きこむようにして笑う。
すぐに顔を紅くしちゃうリリィちゃんはやっぱり可愛い。
「恥ずかしいじゃない・・・。誰かに見られたらどうするの?ねぇね」
「大丈夫大丈夫。もうすぐ暗くなるし、こんなに人がいるんだから分からないって」
「そうかなぁ・・・」
「そうなのっ。ほら、7時までに戻らなきゃマスター達心配しちゃう」
まだちょっと不安そうなリリィちゃんの手を引っ張った。
「行こっ!」
「・・・あっ、待って、ねぇね!!」
はぐれないように、絡めた指が外れないように、ぎゅっと力を込める。



カラコロカラコロ。

響く二人分の下駄の音、絡めた指から伝わる貴女の体温。







・・・と、その時。

「・・・あ・・・」
「うわぁ・・・」
突然響き渡った爆音と、降り注ぐ光・・・そう、今年初めて見る花火は。
「綺麗・・・」
うっとりたした声でリリィちゃんが呟いた。
凄く綺麗で・・・ううん、花火も綺麗だけどその光に照らされたリリィちゃんの方がもっと綺麗で。
「ねぇね、ありがとっ!」
飛び切りの笑顔でそう言うリリィちゃんが可愛すぎて。
・・・こういうの、反則って言うんだっけ?
「リリィちゃん」
「何?ねぇね」
不思議そうに首を傾げるリリィちゃん。
あたしの可愛くて綺麗で・・・大好きな妹。
「大好き」
そう囁いたあたしは組んだ彼女の指にそっと口付けた。





・・・これからもずっとずっと・・・一緒に花火を見ようね、リリィちゃん。

ーーー
百合っ子!
夏祭りでグミリリです。
あんまり夏祭り感ないですけど・・・;
いちゃいちゃ!

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