「ルカちゃん、ルカちゃん、ルカちゃぁあん!!!」
収録から帰ってきた私はそのままリビングに飛び込んだ。
「…あら、ミク姉様、お帰りなさ…きゃっ?!」
「お誕生日おめでとー!!!!」
ソファにいたルカちゃんに抱きついてお祝いすれば、目を丸くしたルカちゃんが、まあ、と笑った。
「ふふ、ありがとうございます、ミク姉様」
「今年はちゃんと覚えてたんだねぇ、ミク」
「あったり前よ!」
髪の毛を拭きながらそう言うお兄ちゃんに私は胸を張る。
去年までの初音さんとは違うんだから!
「ちゃあんとプレゼントもあるんだからね!はい、どうぞ!」
取り出したそれを手渡すとルカちゃんは、ありがとうございます、と微笑む。
それから袋からそれを取り出して…キョトンとした顔をした。
「えっと…【初音ミクを1日自由に出来る券】…?」
「………絶対今考えたやつじゃん」
「レンくんシャラップ」
読み上げるルカちゃんに、呆れた顔でレンくんが言う。
思わず黙らせてしまったけど、待って、レンくんどっから出たの。
「ふふ、私は嬉しいですわ。ありがとうございます、ミク姉様」
「えへへ、どういたしまして!」
嬉しそうに微笑むルカちゃんに私も笑って返す。
ルカちゃんが幸せだと私も幸せだよー!
「…巻き込ミクルカされる前に退散しよ、兄さん」
「もうだいぶ巻き込まれてる気はしないでもないけど…」
くすくす笑うお兄ちゃんの背を押すレンくん。
自分たちだって巻き込むじゃんねー。
それを微笑ましげに見ていたルカちゃんがふと聞いてきた。
「…これ、早速使っても宜しいでしょうか?」
「良いけど…何に使うの?」
首を傾げる私にルカちゃんは、ふふ、と笑う。
「ミク姉様とデートしたくて」
「そ、そんなんで良いの?!」
控えめなお願いに素っ頓狂な声を上げた。
もっと無茶言っても良いのに!
「勿論。ミク姉様と行きたい場所がたくさんありますの」
「そんな、券使わなくても行くよ?!」
「いえ。…ミク姉様がくれた券を使って私の誕生日デートをする…きっと忘れられない日になりますわ」
「…ルカちゃん…!!」
ふわふわと笑う愛しい妹兼恋人に、私は抱き着いた。
「もうっ、ルカちゃん大好き!」
「私もですわ、ミク姉様」
嬉しそうに言うルカちゃんから離れて、私は跪く。
それから綺麗な手を取って口付けた。
「何処へでもエスコートするよ、お姫様?」


桃色の髪を揺らす、私の大切なお姫様。

そんな可愛い人の誕生日。



「ふふ、ありがとうございます。…では、ミク姉様が出ている映画を見てみたくて…!」
「私がいるのに他のミク観るの?!!」
「まあ、ミク姉様ったら。私のミク姉様はただ一人だけですわ」
「…ルカちゃん……!!」

こうやって、プランを立ててる時から、とっても幸せなのです!






「…あ、そいやぁさ、MEIKO姉ぇが、明日は早いから五月蝿くしてたらミク姉ぇでも関係なく処すってー」
「……レンくん。それ、もっと早く言ってくれない?!!!」

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