小坂家で小説ー!

カタカタというキーボードを打つ音が部屋に響く。
白い画面に浮かぶ黒い文字、その前で手を頬に当てて考えているのはキヨテルだ。
マスターである敦のPCを借り、明日の授業教材を作っている真っ最中である。
ふとそんな彼の目の前に鮮やかな紫の髪が広がった。
「・・・?」
「なに食べてるんだ?先生」
振り仰いだキヨテルにそう笑いかけたのはがくぽであった。
「ああ、ポッキーですよ。リリィさんがくれたんです」
向日葵色の長い髪を翻して「せんせー、あげるー!」と笑顔で渡しに来てくれたリリィは今は別の部屋でグミとユキと三人でおやつタイムを楽しんでいる頃だろう。
そう告げるとふぅん、と言い、がくぽは少し考えるように上を向いた。
それに少し疑問を抱きつつもキヨテルはポッキーの先を含んでパソコンに向き直る。
がくぽの事は気になるが、プリントを作成してしまわなければ明日の授業に間に合わない。
その間がくぽは何も言わずにキヨテルを見てるだけだ。
キヨテルがキーボードを打つ音だけが辺りに響く。
たまに手を止めてポッキーを奥に押しやるキヨテルをがくぽは見つめるだけで。
「・・・あの、何です」
か、と言葉を紡ぐ前にがくぽの唇が降りてくる。
ぽかんとしている間に半分くらいあったポッキーがなくなっていた。
「・・・食べたいなら貰ってくればいいでしょう」
「そういう問題ではないんだがな」
首を傾げるキヨテルにがくぽはそう言って笑う。

キヨテルがその笑いの意味を知るまで数十分もかからない。



ーー
がくキヨSS!
ポッキーの日!(過ぎたけど)

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