プロフィール

桜井えさと(成人済み)
受けは総受け傾向、リバが地雷
作品傾向はほのぼのか闇が深いかの両極端

サイトべったー支部・つなびぃ(此処)

Twitter/ワンドロ&連絡垢表垢裏垢隔離垢




此処に上げている小話のCP→
鋼(エドロイ・ハボロイ)
鰤(イチウリ)
鳩彼(岩坂・朔優)
ボカロ(レンカイ/がくキヨ/ミクルカ/グミリリ*モジュレンカイ・モジュカイカイ/モジュルカ受け/KAIKO受け(クオイコ)あり)
刀らぶ(へし燭/安清/くにちょぎ)
フラハイ(レイロナ/ザーイス/テドセイ・アルセイ)
ナカゲノ(ザクカイ/ヒノシン)
エンドロ(ラセタバ)
プロセカ(彰冬・司冬・類冬/しほはる)

他にも細々



同人誌
ボカロ系
刀らぶ系
Insomnia (Full Screen Edition)
¥1,139
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¥88,000

アメイズランクレット

「~♪」
「ご機嫌だね、白石さん」
「!草薙さん!」
鼻歌を歌う杏に話しかければ彼女はぱあ!と表情を明るくさせた。
「だって、草薙さんから誕生日プレゼント貰ったんだもーん!嬉しいに決まってるじゃん!」
杏がニコニコと言う。
そんなに?と寧々も笑った。
ちなみに中身はオススメのヘッドフォンだ…寧々もネットゲームをする時に愛用している。
「喜んでもらえたなら良かった」
「えへへ、たくさん使うね、草薙さんっ!」
「うん。…わたしも、白石さんからもらった喉ケアスプレーのセット、ちゃんと使ってるよ。すごく良いね」
「本当?!良かったぁ!!」
ホッとしたような彼女は益々嬉しそうに笑った。
「やっぱり、贈った物が喜ばれるのって、良いね!」
「うん、そうだね」
同意する寧々に、杏も頬を緩ませる。
随分まあ楽しそうに。
「…白石さん?」
「ん?なぁに、草薙さん!」
「…他に…嬉しいこと、あったの?」
首を傾げて聞いてから、その質問は失礼かとも思った。
今日は誕生日なのだし、嬉しくてもまあさもありなんといったところだろう。
だが、彼女は、「わかるー?」と両頬を手で押さえた。
「だって、草薙さんとまた同い年に戻ったんだもん!」
「…えっ?」
杏のそれに思わず目を見開く。
彼女は今なんと?
「ほら、草薙さんって、1週間限定だけど私よりお姉さんだったじゃん?置いていかれた感じでちょっと寂しかったんだよね!」
ブスくれる彼女に、思わず笑ってしまった。
「…ふふっ」
「あー!笑った!草薙さんは置いてく方だから分かんないんだよ!」
「…ご、ごめんね…」
もー!と文句を言う杏に笑いつつ謝る。
だって、思ったより可愛い理由だったから。
「わたしの、次の誕生日が来るまでは置いていかないよ、白石さん」
「…草薙さん……」
ぎゅっと手を握って微笑む寧々に、杏は向日葵に似た瞳を丸くする。
それから、ふにゃっと笑った。
「うんっ!!次の誕生日まで離さないでね、草薙さんっ!」


(笑う、クマノミみたいに無邪気な彼女に、人魚姫は)



(うっかり恋よりお姉さんが芽生えてしまいそう!)


「…わたし、同級生でいられるかな…」
「えっ、何、何の話?!!」

ねねあん

「草薙さーーん!」
「…わっ、白石さん」
背後から聞こえる元気な声と、伝わる衝撃に驚きながらも寧々は彼女の名を呼んだ。
「おはよう。今日も元気だね」
「えへへ、おはよっ。まあ、元気が取り柄みたいなトコありますからー?」
「…なに、それ」
何故だか自信満々な杏に、くすくすと寧々は笑う。
明るくて元気で、まるで向日葵みたいだな、なんて思った。
最初は寧々の苦手なタイプかとも思ったのだけれど、何事にも真剣に取り組んで、何より歌に本気な彼女のことを、つい目で追ってしまうようになってしまったのである。
まあ、目で追うより先に杏が見つけて手を降ってくれるのだけれど。
「?草薙さん?」
「ううん、何も。それより今日は早いね?委員会だっけ」
首を傾げる寧々に、杏は手を叩いた。
「あ、そうそう!実は草薙さんに会うために早く来たんだよね」
「…えっ、わたし?」
屈託なく笑う彼女に、寧々はきょとんとする。
何かあったっけ、と思うより先に杏がカバンから何かを取り出した。
「はいっ、誕生日おめでと!草薙さん!!」
「…!あ、ありがとう…!」
何故か寧々より嬉しそうな杏からそれを受け取る。
「白石さん、覚えててくれたんだ…」
「あったり前じゃーん!だって草薙さんの誕生日だもんね!」
「何、それ…。…でも嬉しいな」
くす、と笑う寧々に、杏も嬉しそうだ。
「…それに、白石さんのタイプにちょっと近付いた気がするし」
「へ?」
目を丸くする杏に、寧々は首を傾げる。
「だって、白石さんのタイプって、大人のお姉さん、でしょ?」
「…待って、それ誰から……っ!!」
わー!と顔を紅くする杏に、寧々は内緒、と笑ってみせた。
「大人、はともかく…わたし、白石さんより一つお姉さんだからね」
「…1週間だけじゃーん!!」
ドヤ顔をして見せれば杏が不貞腐れた顔をする。
目が合って、思わずふは、と二人で笑ってしまった。
「これからもっと白石さんのタイプになるよ、わたし」
「あはは、何それー!…でも、楽しみにしてるね、草薙さん!」
向日葵みたいに眩しい笑顔の彼女に、寧々は目を眇める。

たかが1週間、されど1週間。


今日が誕生日で良かったな、と初めて思った。


(だって、貴女の理想に近づけるから)

「わわっ!」
「…っと、白石さん、大丈夫?…白石さん?」
「…私、これ以上格好良くなった草薙さんに耐えられるかな…」
「えっ」

ペンギンカフェ デート

「神代先輩」
「…おや、青柳くん」
下校途中、冬弥が声をかけてきて、類は振り向いて微笑みかける。
「…お疲れ様です。それから、その」
少し言い淀んだ彼は、ふわりと微笑んだ。
「…お誕生日おめでとうございます」
「…ああ、ありがとう」
冬弥からの真っ直ぐなお祝いの言葉に類も表情を緩ませる。
「ふふ、さっきもお祝いしてくれたのに」
「…直接伝えたかったので」
「そうかい。とても嬉しかったよ。どうもありがとう」
「いえ。…先輩に直接言葉を届けることができて俺も嬉しいです」
冬弥がはにかんだ。
少し前ではなかなか考えられないほどに穏やかな表情を浮かべる彼に、類は目を細める。
「?神代先輩?」
「いや?…青柳くんが楽しそうだな、と思ってね」
「…そう、でしょうか?」
彼が首を傾げた。
綺麗な髪がさらりと揺れた。
「…。…もしかしたら…」
「?もしかしたら?」
少し考える冬弥が僅かに微笑む。
それにどきりと胸を高鳴らせつつ、類も首を傾けた。
「…神代先輩、少し付き合っていただいても良いでしょうか」
「勿論」
手を差し出す冬弥のそれを取る。
何やら何処かに連れて行ってくれるようだ。
楽しみだな、と類は笑う。
そこから他愛もない…最近行ったイベントの話、ショーの話、仲間の話など…をし、たまにはこんな穏やかな時間も悪くないな、と思いながら手を引かれるがまま歩いていた。
…その時。
「先輩」
冬弥がふっと指をさす。
その先には夕方と夜を混ぜたような色が広がっていた。
「…これ、は」
「先輩と同じ色だなと、思いまして」
綺麗な笑みを、冬弥が浮かべる。
「お誕生日の神代先輩に、どうしても見せたかったんです」
「…ありがとう、青柳くん。…とても、綺麗だね」 


彼からのプレゼントは…


とても穏やかで、忘れることができない…景色。



(人はそれを、幸福と……呼ぶのだろうね)

たんぽぽアンソロ後日談

「ただいまぁ」
暑い外から帰ったおれは玄関から部屋の中に声を投げる。
「お帰りなさい、レン兄様」
すぐにパタパタとルカ姉ぇがキッチンから出てきてくれた。
「お買い物ありがとうございます。大変だったでしょう?」
「んや、別に。…ルカ姉ぇ、アイス何でもいいっつってたから2種のピーチにしたよ」
「まあ、ありがとうございます」
「…初音さんの冷凍小ねぎは?」
「冷凍小ねぎは買ったけど、晩御飯で使うっつってたよな??」
奥から出てきたミク姉ぇに答えながら袋の中からアイスを取り出す。
んえー、と何とも言えない声を出す電子の歌姫にルカ姉ぇがくすくす笑った。
「…なぁ、兄さんは?」
諦めてチョコミントアイスを取り出したミク姉ぇと、他のものを冷蔵庫に片付けに行こうとしていたルカ姉ぇに聞いてみる。
ルカ姉ぇが「カイト兄様ですか?」と首を傾げ、ミク姉ぇがアイスで上を指した。
「お兄ちゃんなら、綿毛の抜け殻になってるよ」



「…そういうことか」
階段を登った先、兄さんの部屋の中で。
ぽやっと外を見ている兄さんは、あのイベントの衣装を着ていた。
…よっぽど嬉しかったんだな。
「…にーいさん」
「…レン」
よ、っておれは兄さんの眼前にミルクティアイスを差し出す。
ありがとう、と、はにかんだ兄さんがそれを受け取ってくれた。
「んで?珍しくセンチメンタルじゃん」
「…そう…かも」
えへへ、と兄さんが笑う。
まあ、分からなくもないけどさ?
「…会場中が青くてね、そこにいる全員が『KAITO』のことが好きなんだなぁって、すごく嬉しくて」
「…うん」
「終わっちゃうのが何だか寂しくて…この衣装着ていたら、まだ終わらないでいてくれるかな、って…」
曖昧な笑みの兄さんが、気持ちを吐露しながらリボンを弄る。
「気持ちは分かるけどさぁ」
珍しい兄さんを見たなぁなんて思いながら、おれはチョコバナナアイスを口に含んだ。
甘いそれは夏にぴったりだ。
「…綿毛だって風に乗って次の花を咲かせに行くわけじゃん」
「…」
「だからさ、たんぽぽくんにだって、次の花(イベント)が待ってるかもしんねーよ?」
おれは笑う。
兄さんの、青い瞳が見開かれた。
夏の空より深い青。
…すごく綺麗な、青。
「…そう、だね」
「そうそう」
兄さんが笑う。
やっぱ兄さんには笑顔が似合うよな!
「…レンってたまに凄くロマンチストだよねぇ」
「いいだろ、別に」
「ふふ。ありがとう、レン」
「…どーいたしまして」
微笑んだ兄さんもやっとアイスの蓋を開ける。
溶けてる!なんて叫ぶ兄さんに、おれはふは、と笑った。

たんぽぽは大成功の大輪を咲かせ、ミライに向けて綿毛を飛ばす。

その先に、新たな花が咲きますように、なんて、願ってみたりして。


(おれのたんぽぽには、いつまでも笑ってて欲しいからな!)





「ってか、これ個人イベントだろ?凄いよなぁ。うちのマスター、金も人望もないから無理だもんな」
「…本当のことでも傷付くことは言っちゃだめだよ?レン」

「…彰人。今日は俺の生誕祭だな」
「…はぁ、まあ…そうスね」
唐突なそれに、彰人は頷いた。
碧の国の第三王子である冬弥、それを守護するのが護衛騎士の彰人の仕事である。
そうして今日は彼が17歳の誕生日だ。
内部分裂を起こしたばかりで、大々的な祭りが行われている訳ではないが…城は普段より明るく賑やかだった。
まるで、平和な時代が戻った時のように。
「…それで…城下町では祭りが行われているのだろう?」
「んぐっ。…誰に聞いたんスか、それ」
ワクワクしている冬弥に、彰人は思わず詰まる。
内部分裂なんて国民にとっては何の関係もない事象だ。
だからこそ、冬弥王子の生誕祭、と称して城下町ではささやかな祭りが行われている。
今まで行っていた花祭りより規模は小さいが…今の所問題なく執り行われている、と報告も受けていた。
いい事だ。
とても…良い事なのに。
「とある人の伝でな。…それで、俺の生誕を祝う祭りに俺が参加しないというのもいかがなものだろう」
「…いや……さっき参加してきたでしょう。パレードに」
「…。…馬車から手を振るのは参加とは言わない」
彰人のそれに冬弥は不貞腐れる。
彼は行きたいのだ、城下町に…一般参加者として。
ただそれはあまりにも危険ではないだろうか。
そう言おうとする彰人に冬弥が「駄目だろうか?」と問うた。
目を潤ませる冬弥に再び詰まる。
どうも彰人はその目に弱いのだ…昔から。
はぁ、と盛大にため息を吐き出す。
「…とりあえず…団長から許可が貰えりゃ…良いッスよ」


結果から言えば、団長から許可が取れた。
…取れてしまった。
団長の司曰く、「彰人が護ってくれるならば構わないぞ?」とのことで。
…内部分裂したばかりというのに軽すぎないだろうか。
まあそこまで信頼してくれている、ということなのだろうけれど。
「彰人!」
きらきらした表情で、変装した冬弥が呼ぶ。
「見てくれ!珍しい食べ物が置いてる!」
「…城下町じゃポピュラースよ、それ」
彰人のそれに冬弥は目を見開いた。
知らなかった、というから思わず笑ってしまう。
「食ってみますか?」
「!良いのか?」
「その為に来たんスよね?」
まるで子どもみたいな冬弥に苦笑しながら、彼が欲しがったそれを2つ買った。
「ほいよ、兄ちゃん!デートかい?」
「デっ…!ちげぇよ」
店の女主人から朗らかに聞かれ、彰人は否定してしまう。
「?違うのか?彰人」
いつの間にか隣に来ていた冬弥が首を傾げた。
まさか本人に違うともそうとも言えないから、ぶっきらぼうに買ったそれを渡す。
「おい、兄ちゃん!デートなら装飾品も見てってくれ!」
「あぁ?!!」
別の露天商が声をかけてきて、思わず過剰に反応してしまった。
隣では冬弥がくすくすと笑っている。
最近ではあまり見なくなったそれにまあいいかと彰人は息を吐いた。
「彰人!音楽がかかっている!」
「あー…。…踊りますか?」
「良いのか?!!」
「…ま、誕生日であるアンタの願いですからね」
目を輝かせる冬弥に手を差し出す。
乗せられた手をぐいとつかみ、彰人はステップを踏んだ。


春の空、まるでセカイに二人きり


いつまでもそれが続きますようにと…彰人は信じてもいない神に祈った




『楽しいデートで良かったですね、冬弥王子』
「ああ。君がアドバイスをくれたおかげだ。ありがとう、水の歌姫・遥」

今年もやっぱりお誕生日会議 サイド

5月某所。
冬弥の誕生日が近づいた…ある日。
「やっほー、冬弥!」
「こんにちは、青柳くん」
明るい声に顔を上げた冬弥が目を丸くする。
「白石!それに、桐谷さんまで」
「ふふ、呼び出されちゃいました」
驚きの声を上げる冬弥に、遥がいたずらっ子の笑みを浮かべた。
「…ご迷惑をおかけしてすみません」
「いえいえ。私は全然」
「ねーねー、私も呼び出されたんだけど!」
「ありがとうございます。白石も、すまないな」
申し訳なさそうな冬弥に、杏も機嫌をなおしたらしく、ブイサインを出してみせる。
「ま、冬弥の為だもんね!」
「なんで杏がドヤ顔なの。…そういえば、青柳くんのお誕生日なんでしたっけ」
呆れ顔な遥が、小さく首を傾げた。
キレイな髪が揺れる。
はい、と頷く冬弥に、杏が横から「もう、凄いんだよ!」と笑った。
「冬弥をびっくりさせようって、お誕生日会議が開かれるんだから!」
「お誕生日会議」
「…はい。彰人も司先輩も神代先輩も…とても一生懸命で」
去年のそれを思い出しているのか少し楽しそうな冬弥に、なるほど、と遥も笑う。
「でも、会議の場に来ていていいんですか?」
「…秘密にしすぎると失敗するから、近くにはいてほしいそうです」 
「抜け駆け防止もあるし、ね!」
「…なるほど」
遥の疑問に答える冬弥と杏に、空色の髪を揺らした彼女は頷いた。
その少し向こうでは彰人と司、類、それから志歩と寧々が何やら話し合っている。
「いやぁ、まさか日野森さんまで呼んでくるとは思わなかったなぁ!」
「そうだな。草薙はともかく…少々意外だった」
「ああ、それなら私の方に咲希から連絡があったんだ。『お兄ちゃんが悩んでるから、そのお手伝いをしてほしいの!』って」
「…あー…。天馬先輩はそれで行ったんだ…。ちなみに、神代先輩は瑞希に頼みたかったみたいだけど、絵名さんも絡んできそうだったから彰人が全力で止めたらしいよ」
「…彰人……」
杏のそれに、冬弥が眉を顰めた。
明るく笑い飛ばした杏は、「まあそれで私と草薙さんに話が回ってきたんだよね。協力してほしいことがあるって!」と言う。
「まあ、草薙さんは鳳さんに聞いて知ってたみたいだけど」
「…もしかして、俺の誕生日会議はそれなりの人数が知っているのだろうか…」
悩む冬弥に、杏と遥は顔を見合わせて笑った。
幸せな悩みだなぁと。
「愛されてるね、冬弥!」
「愛されてますね、青柳くん」
杏と遥のそれに僅かに目を見張った冬弥が、そうだな、と細める。
その瞳に映るは、お誕生日会議を開く彼ら。
「とても贅沢な悩みだと…俺も、思う」



灰色の瞳が青に染まる。

柔らかな光を浴びて。


それはきっと彼を愛する人が紡ぐアイノウタ、そのお陰。


お誕生日会議は、まだまだ続く!


「しかし、随分時間がかかっているな。難航しているのか…?」
「ま、それだけ真剣ってことでしょ!」
「ふふ、期待値も高まる、ということで…ね?」

遠い距離と近い声

今日は司の誕生日である。
その日の夜かかってきたのは、愛しい彼からで。
「冬弥か!どうした?」
ごろんとベッドに寝転びながら司は冬弥に問う。
昼間も電話をくれたのに、珍しいなと思った。
『いえ。…少し、声が聴きたくなってしまって』
わくわく感を滲ませた彼の声に、司も思わず笑ってしまう。
実は冬弥は今アメリカにいるのだ。
だから、きっと。
『司先輩がどんなお祝いをされたのか…気になってしまって』
「なるほど。では聞かせてやろうではないか!」
司は電話に向かって高らかに…すると、妹から注意されるので少しトーンを落として宣言する。
それから、今日合ったことを順繰りに話してやった。
冬弥は聞き上手で、良いリアクションをしてくれるから、ついついたくさん話してしまう。
「…と、まあとても良い1日だったぞ!」
『それは、素晴らしい1日でしたね』
「ああ!締め括りに、冬弥からこうして電話ももらったしなぁ」
遠い地にいる彼に、司は言った。
早く会いたいが一生会えないわけではない。
彼だって目標のために頑張っているのだ。

ボーカロイドはたんぽぽの夢を見るか

「ぜぇったい、セイヨウタンポポ!」
「はぁ?!ニホンタンポポだろ!!」
ぎゃーぎゃーと二人の声が響く。
間で見ている彼は困惑顔だ。
隣ではピンク色の髪の少女がそれを揺らしている。
「ただいまぁ。……あら、何の喧嘩?」
「あ、お帰り、めーちゃん」
「お帰りなさい、メイコ姉様」
買い物を終えて帰ってきたらしいメイコがぎゃんぎゃんと喧嘩するリンとレンを見てきょとんとした。
カイトとルカが、メイコを見上げて少し困った顔をする。
「今度、カイト兄様のイベントがあるでしょう?」
「ああ、あるわね」
「…それで、そのイベントのイメージキャラクターの名前がたんぽぽくん、っていうんだけどね」
「そういえばそんな名前だったわねぇ。春らしくて良い名前じゃない。…イベントにはちょっと時期がズレてる気がしないでもないけど」
「あら、六月でも綿毛はありますわ。カイト兄様の素敵な歌や作品が綿毛に乗って皆様の元に届く、と思えばぴったりだと思いますけれど」
メイコが小さく上を向くとルカが微笑んだ。
なるほどね、とメイコが頷く。
「それで?それが何の争いに発展する訳?」
ただそれは解決したが他がわからない、と、首をひねるメイコに、カイトとルカが顔を見合わせた。
「えっと……そのたんぽぽくんがセイヨウタンポポかニホンタンポポかで揉めてる…?」
「……物凄くどうでも良かったわね……」
小さく首を傾げるカイトに、うーん、とメイコが笑う。
「どうでも良くないよぅ!セイヨウタンポポだと、ほら、明るい感じの歌のおにいさん!って感じするじゃん!」
「そうだよ、メイ姉ぇ!ニホンタンポポだと優しくて、おれにだけ内緒だよってちょっとおまけとかしてくれるミステリアスな喫茶店のマスターって感じすんじゃん!」
「それ、レンの性癖でしょー?!!」
「うっせ、性癖で何が悪い!!」
「…楽しそうねぇ……」
二人のそれに、メイコが呆れたように言った。
深刻な内容ではなかった、と分かったのもあるのだろう。
「ま、程々にしなさいよー」
「止めてよ、めーちゃん!」
ひらひらと手を振るメイコに、カイトが本当に困ったように言った。
彼がこの呼び方をするのはパニックになった時だけなので、今回は手に負えない出来事らしい。
「…大丈夫だよ、お兄ちゃん」
眉を下げるカイトの背後から手が伸びた。
「えっ、うわっ、ミク?!」
「クローバーな初音さんはお兄ちゃんがニホンタンポポでもセイヨウタンポポでも、必ず幸せにしてあげるからね」
ぎゅっと抱きしめるミクに、カイトが驚いた声を上げる。
「はぁああ?!!何やってんだよ、ミク姉ぇ!」
「いーなー!リンも!リンもやる!!」
「やんな!!」
ミクのそれに、リンがわぁい!と手を挙げた。
レンがそれに噛み付く。
だがそれを無視し、リンがきゅっと腕に抱きついた。
「タンポポなカイ兄ぃには、カタバミのリンがずっと一緒にいてあげるからね!」
「あはは、ありがとう、リン」
リンのそれにカイトがニコニコと頭を撫でる。
ふふん!とリンが勝ち誇った笑みをレンに向けた。
「えー!初音さんはー?クローバーだよ?幸せの象徴だよ?」
「うんうん、ミクもありがとう」
「カタバミも三つ葉だよー?」
「リンちゃん、カタバミはマメ科なんだよ?四つ葉にはなれないんだよ?」
「えー?!そうなの?!!」
リンがミクのそれに驚いた声を出す。
「いいんじゃん?ちっさいし、リンにぴったり」
「ちょっと、レン?!!」
はん、と暴言を吐くレンに、リンが声を荒らげた。
「ふふ、でもカタバミはあなたと共に、という花言葉もあるんですよ?」
ふわふわとルカがリンに言う。
「本当?!やったぁ、ルカたん物知りー!」
「クローバーは?!ルカちゃん、クローバーは?!」
「えっと、愛、や、希望、などでしょうか」
ミクのそれに、思い出すようにルカが言った。
いつの間にやらルカの花言葉講座になっている。
「じゃあ私はツツジにするわ!」
買い物をした品物を片付け終わったらしいメイコが戻ってきて言った。
「めーちゃんまで…」
「…メイ姉ぇがツツジ…?」
「何よぅ、レン。文句あるの?」
もー、とカイトが言い、レンが首を傾げる。
にっこりとメイコがレンに微笑んだ。
「なんでもないでーす」
「あら、ツツジには赤のツツジもありますわ。花言葉は熱い想い、だったと思います」
「本当?私にぴったりね!」
ルカの言葉にメイコも上機嫌だ。
「カイト、私の熱い想いを受け取って!なんてね!」
「めーちゃん、話をややこしくしないで…」
楽しそうなメイコにカイトが困ったように言う。
「ふふ。カイト兄様のたんぽぽも、幸せ、や、真心の愛、愛の神託という花言葉があるんですのよ」
「へえ!お兄ちゃんにぴったりだね!」
「そう…かな?」
「うん!愛の神託とかたんぽぽのカイ兄ぃっぽい!」
ミクやリンが不思議そうなカイトに言った。
メイコも、「確かにねぇ」と笑う。
「じゃあルカはオオイヌノフグリかな?」
「え?」
カイトのそれにルカがきょとりと目を瞬かせる。
「えー?ルカたんはハルジオンじゃない?」
「ハルジオンは追憶の愛、ですのよ、リン姉様」
「そーなの?!オオイヌノフグリは?」
「えっと…信頼や清らか、でしたでしょうか…」
「あー、ルカたんだぁ…」
「ルカちゃんだねぇ…」
「ルカだわぁ……」
「えっ、えっ」
三人のそれにルカが慌てた。
話の流れが彼女に移ったのを感じたらしいカイトがそっとそこから抜け出してくる。
「ふう…。もう、レンが変な喧嘩するから…レン?」
レンの隣に来たカイトが、無言で何かを考え込むレンに首を傾げた。
その手をがしっと掴んだ。
「わっ、レン?!」
「たんぽぽの兄さんに!菜の花のおれが!花言葉を捧げるから!!これからも隣にいてくれ!!」
真剣なそれにぽかんとしていたカイトが笑う。
「え、ちょ、兄さん??」
「…ふふ、レンは菜の花だよねぇ……」
楽しそうな彼に、レンが焦ったようにカイトを見る。
「うん、じゃあ俺の花言葉はレンに捧げるね?」
「…っ!!お、ま…!…ったく」
笑いすぎたらしいカイトが、涙を拭いながら微笑んだ。
レンは目を見開き、赤面する。
はぁあ、とため息を吐いた。
「その言葉、後悔すんなよ?」
握った手にレンがキスを落とす。


ふわふわと笑うたんぽぽの彼は


春の空に映えるような

プロフィール

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受けは総受け傾向、リバが地雷
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鰤(イチウリ)
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他にも細々



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¥118,000
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¥88,000
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¥88,000

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