ボーカロイドはたんぽぽの夢を見るか

「ぜぇったい、セイヨウタンポポ!」
「はぁ?!ニホンタンポポだろ!!」
ぎゃーぎゃーと二人の声が響く。
間で見ている彼は困惑顔だ。
隣ではピンク色の髪の少女がそれを揺らしている。
「ただいまぁ。……あら、何の喧嘩?」
「あ、お帰り、めーちゃん」
「お帰りなさい、メイコ姉様」
買い物を終えて帰ってきたらしいメイコがぎゃんぎゃんと喧嘩するリンとレンを見てきょとんとした。
カイトとルカが、メイコを見上げて少し困った顔をする。
「今度、カイト兄様のイベントがあるでしょう?」
「ああ、あるわね」
「…それで、そのイベントのイメージキャラクターの名前がたんぽぽくん、っていうんだけどね」
「そういえばそんな名前だったわねぇ。春らしくて良い名前じゃない。…イベントにはちょっと時期がズレてる気がしないでもないけど」
「あら、六月でも綿毛はありますわ。カイト兄様の素敵な歌や作品が綿毛に乗って皆様の元に届く、と思えばぴったりだと思いますけれど」
メイコが小さく上を向くとルカが微笑んだ。
なるほどね、とメイコが頷く。
「それで?それが何の争いに発展する訳?」
ただそれは解決したが他がわからない、と、首をひねるメイコに、カイトとルカが顔を見合わせた。
「えっと……そのたんぽぽくんがセイヨウタンポポかニホンタンポポかで揉めてる…?」
「……物凄くどうでも良かったわね……」
小さく首を傾げるカイトに、うーん、とメイコが笑う。
「どうでも良くないよぅ!セイヨウタンポポだと、ほら、明るい感じの歌のおにいさん!って感じするじゃん!」
「そうだよ、メイ姉ぇ!ニホンタンポポだと優しくて、おれにだけ内緒だよってちょっとおまけとかしてくれるミステリアスな喫茶店のマスターって感じすんじゃん!」
「それ、レンの性癖でしょー?!!」
「うっせ、性癖で何が悪い!!」
「…楽しそうねぇ……」
二人のそれに、メイコが呆れたように言った。
深刻な内容ではなかった、と分かったのもあるのだろう。
「ま、程々にしなさいよー」
「止めてよ、めーちゃん!」
ひらひらと手を振るメイコに、カイトが本当に困ったように言った。
彼がこの呼び方をするのはパニックになった時だけなので、今回は手に負えない出来事らしい。
「…大丈夫だよ、お兄ちゃん」
眉を下げるカイトの背後から手が伸びた。
「えっ、うわっ、ミク?!」
「クローバーな初音さんはお兄ちゃんがニホンタンポポでもセイヨウタンポポでも、必ず幸せにしてあげるからね」
ぎゅっと抱きしめるミクに、カイトが驚いた声を上げる。
「はぁああ?!!何やってんだよ、ミク姉ぇ!」
「いーなー!リンも!リンもやる!!」
「やんな!!」
ミクのそれに、リンがわぁい!と手を挙げた。
レンがそれに噛み付く。
だがそれを無視し、リンがきゅっと腕に抱きついた。
「タンポポなカイ兄ぃには、カタバミのリンがずっと一緒にいてあげるからね!」
「あはは、ありがとう、リン」
リンのそれにカイトがニコニコと頭を撫でる。
ふふん!とリンが勝ち誇った笑みをレンに向けた。
「えー!初音さんはー?クローバーだよ?幸せの象徴だよ?」
「うんうん、ミクもありがとう」
「カタバミも三つ葉だよー?」
「リンちゃん、カタバミはマメ科なんだよ?四つ葉にはなれないんだよ?」
「えー?!そうなの?!!」
リンがミクのそれに驚いた声を出す。
「いいんじゃん?ちっさいし、リンにぴったり」
「ちょっと、レン?!!」
はん、と暴言を吐くレンに、リンが声を荒らげた。
「ふふ、でもカタバミはあなたと共に、という花言葉もあるんですよ?」
ふわふわとルカがリンに言う。
「本当?!やったぁ、ルカたん物知りー!」
「クローバーは?!ルカちゃん、クローバーは?!」
「えっと、愛、や、希望、などでしょうか」
ミクのそれに、思い出すようにルカが言った。
いつの間にやらルカの花言葉講座になっている。
「じゃあ私はツツジにするわ!」
買い物をした品物を片付け終わったらしいメイコが戻ってきて言った。
「めーちゃんまで…」
「…メイ姉ぇがツツジ…?」
「何よぅ、レン。文句あるの?」
もー、とカイトが言い、レンが首を傾げる。
にっこりとメイコがレンに微笑んだ。
「なんでもないでーす」
「あら、ツツジには赤のツツジもありますわ。花言葉は熱い想い、だったと思います」
「本当?私にぴったりね!」
ルカの言葉にメイコも上機嫌だ。
「カイト、私の熱い想いを受け取って!なんてね!」
「めーちゃん、話をややこしくしないで…」
楽しそうなメイコにカイトが困ったように言う。
「ふふ。カイト兄様のたんぽぽも、幸せ、や、真心の愛、愛の神託という花言葉があるんですのよ」
「へえ!お兄ちゃんにぴったりだね!」
「そう…かな?」
「うん!愛の神託とかたんぽぽのカイ兄ぃっぽい!」
ミクやリンが不思議そうなカイトに言った。
メイコも、「確かにねぇ」と笑う。
「じゃあルカはオオイヌノフグリかな?」
「え?」
カイトのそれにルカがきょとりと目を瞬かせる。
「えー?ルカたんはハルジオンじゃない?」
「ハルジオンは追憶の愛、ですのよ、リン姉様」
「そーなの?!オオイヌノフグリは?」
「えっと…信頼や清らか、でしたでしょうか…」
「あー、ルカたんだぁ…」
「ルカちゃんだねぇ…」
「ルカだわぁ……」
「えっ、えっ」
三人のそれにルカが慌てた。
話の流れが彼女に移ったのを感じたらしいカイトがそっとそこから抜け出してくる。
「ふう…。もう、レンが変な喧嘩するから…レン?」
レンの隣に来たカイトが、無言で何かを考え込むレンに首を傾げた。
その手をがしっと掴んだ。
「わっ、レン?!」
「たんぽぽの兄さんに!菜の花のおれが!花言葉を捧げるから!!これからも隣にいてくれ!!」
真剣なそれにぽかんとしていたカイトが笑う。
「え、ちょ、兄さん??」
「…ふふ、レンは菜の花だよねぇ……」
楽しそうな彼に、レンが焦ったようにカイトを見る。
「うん、じゃあ俺の花言葉はレンに捧げるね?」
「…っ!!お、ま…!…ったく」
笑いすぎたらしいカイトが、涙を拭いながら微笑んだ。
レンは目を見開き、赤面する。
はぁあ、とため息を吐いた。
「その言葉、後悔すんなよ?」
握った手にレンがキスを落とす。


ふわふわと笑うたんぽぽの彼は


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