戦場のハッピーバースデー(イチウリ・鰤SSS

3年も一緒にいた仲間、恋人、その彼と


一緒に過ごす、戦場での


「なあ、石田」
虚を斬る。
咆哮が辺りに響く。
「何?黒崎」
背後で一緒に戦っていた彼の弓が虚を貫いた。
背中合わせの戦い、もう慣れたものである。
「お前、今日誕生日だろ」
「そうだね」
このような状況でする話ではない。
そうは思う。
相変らず色気がねぇ、と一護は苦笑した。
だが。
ずっと背中を合わせて戦っていられる相手だからこそ、出来る話でもある。
それに、この方が自分達らしい。
「この戦い終わったら、結婚しねぇか!」
振り返りながら雨竜に言い、小さな箱を投げた。
思わず、と言ったようにそれを受け取った雨竜の驚いた表情が目に映る。
「何故?」
「何で?お前が18の誕生日だから!」
雨竜の問いに返しながら目の前の相手を切り捨てる。
ムードもへったくれもあったものではない。
「・・・。・・・プロポーズかい?君らしいね」
「だろ?・・・ああ、その箱、中身ねぇけどな」
くすりと笑った雨竜が箱を開く前に一護は忠告の言葉をかけた。
「え?あ、ホントだ」
楽しそうに笑いながら雨竜は再び虚に弓を向ける。
「・・・で?返事は?」
「そうだね。・・・考えててあげても、いいよ」
一護のそれに、いつもなら「ふざけるな」「馬鹿にしているのか」と辛辣な言葉をかける雨竜が珍しくそう言った。
今日は機嫌がいいのか、それとも。
「君が、ここの敵を全て倒せれば・・・ね」
「はっ、上等!」
綺麗に微笑む雨竜に一護もニッと笑う。
襲い掛かる敵に一護は斬魂刀を振り被った。
「箱の中身、現世に戻ったら買ってやるよ」
「へえ?・・・僕を婿にもらう前に目の前の敵を何とかして欲しいもんだけど」
「ざけんな。後、お前が嫁だっつの」
非日常な空間でする、これまた特別な会話。
これが、一番自分達らしい、と思う。
一護の黒と、雨竜の白が舞うこの場所で。

君の特別な日に

君に一生の愛を誓う



ーー
雨竜たん誕!

name
email
url
comment