鬱的花言葉で1日1題2章・CA(キンリュウカ/シラン・終プロSSS

いつからだろう。

オレと、A弥がこうやって一緒にいるようになったのは。


人付き合いが苦手なA弥、地味で目立たないA弥。

・・・オレがいないとダメな、A弥。


いつからだろう。
小さい頃は対等な関係だったはずなんだ。
いつからなんだろう。
いつからオレたちの関係は、こんな風になってしまったんだろうか・・・。


学校から帰ってきて、自室のPCをつける。
PCの画面上にはさっき別れたA弥の姿が浮かび上がっていた。
A弥はケータイに何かを打ち込んだ後、珍しく制服を着たままベッドに横たわる。
あーあ、制服にしわが出来ても知らないぞ?
まったくしょうがないなぁ、A弥は。
本当にA弥はオレがいないとダメだよね。
そう笑ってから、俺はカメラの位置を変えた。

・・・本当はこんなこといけないって分かってる。
いつのまにか目を閉じて・・・どうやら眠ってしまったらしいA弥の顔を見つめながらオレは思う。
隠しカメラなんてやりすぎだと、頭では理解してるんだ。
でもしょうがないだろ?
A弥は籠の中の鳥じゃないんだから。

昔はただただA弥が心配で。
A弥はオレが守るんだって思ってた。
今は?
もちろん今だってそうだ。
A弥はオレが守る。
オレが・・・オレが。
でも子どもの頃みたいにA弥はオレの傍にずっといるわけじゃない。
だから、A弥をこうやって見守るにはこの方法しかないんだ。
これはA弥を守るのに必要な事。
そうだ、これはA弥を守るためなんだよ。


(ほんとうに?)

誰かにそう言われた気がしてオレは勢い良く振り返った。
窓に映っていたのは焦ったようなオレの顔。
「・・・なんだ・・・?」
誰もいない空間に問いかける。
確かに声が聞こえたんだけど・・・外の雑音かもしれないな。
『・・・ぅ、あ・・・』
「・・・A弥?」
パソコンの中からA弥の苦しそうな声が聞こえてオレはまたそっちに向き直った。
ぎゅうと身体を丸めて・・・なんだ?
『う、うぅ、うぁ・・・!』
「A弥!」
A弥が怖い思いをしてる。
どうやら夢を見ているらしい。
それも、悪い夢。
オレがA弥を助けなきゃ。
だってあいつにはオレしかいないんだから。
そうだろう?A弥。

ああ、まったく、A弥はしょうがないなぁ!


苦しそうなA弥を起こすべくオレは慌ててケータイを取り上げた・・・。





(花が揺れる、その前を黒猫がすり抜けた


・・・初夏の前、二人の少年は予感を感じていたんだって)

ーー
CA・捩れた関係/不吉な予感

name
email
url
comment