鬱的花言葉で1日1題3章・岩坂(ハリエニシダ/黒百合・鳩彼SSS

悲しい目をした綺麗な男。
そんな男を自分のものにできたら。



「くく。威勢よく飛び込んできた割にはあっさり捕まりましたねぇ、カインくん?」
「・・・はっ、貴様に俺の何がわかる」
せせら笑いながら私を睨む彼。
おや、随分と余裕があるのですね。
「学習しませんねぇ、貴方も」
「うるさい!」
「・・・そんなに弟が大切ですか」
嗤うと、彼の瞳がびくりと揺れた。
ああ、当たりか。
本当にわかりやすい。
・・・まあ、ある意味純粋なのかもしれないですがね。
「私に逆らわない方がいい。・・・貴方もそれはよく痛感しているはずですが?」
それとも、と私は嗤う。
「躾が、足りませんでしたか」
引きつった表情をする彼に私は顔を近づけた。
捕えられ、ありとあらゆる拷問を受けても彼はまだ正気を保っていた。
騎士としてのプライドか、はたまた弟を守りたいと願う一心でか。
・・・私にはどうでもよいことだ。
身動きが取れないように縛りつけた彼の、顎を指で持ち上げる。
落ちないのならば堕としてしまえばいい。
私が、この手で。
「弟君は貴方など必要としていないように見えましたが」
「・・・黙れ、ヴァレンシュタイン。この、下劣な悪魔め」
「何とでも。・・・貴方は、その悪魔の下に堕ちるしか、他ないのですから」
囁く私を、彼が見上げる。
「・・・何を、するつもりだ・・・っ!」
「おや、分かりませんでしたか?」
震え声で怒鳴る彼に笑いかけて、私は残酷な答えを突きつけた。
それはまるで死刑宣告のように。
「貴方の手で弟を・・・セエレを殺すよう、私が貴方を変えてあげると言っているのですよ」
嗤う私に、初めて彼が怯えを見せた。
「・・・ぃ、やだ、やめろ、嫌だ、い、や・・・っ!」
逃げられないと分かっているだろうに、彼が激しく身を捩る。
微々たる抵抗を封じ切って、私は嗤った。
嗚呼、もう遅い。
「光栄に思うといい。私が使命を与えてあげましょう」
ぐっと彼の頭を掴む。
白い光が、彼を包む。
「ぅぐあ、あぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
四肢をひきつらせ、彼が悲鳴を上げた。
つ、と蒼い瞳から涙が零れ落ちる。
それは本当に綺麗だと、私はそう感じた。
白い彼が染まっていく。
綺麗な目から光が消える。
「私に、屈従なさい。カイン・・・いえ、ナイトメア・ファンテール」
「・・・御意」
意志の無い彼が私の手に口づけた。



綺麗な彼に呪いをかけた





一生、私に縛られる呪いを











ーー
岩坂・屈従/呪い・恋
*ヴァレンシュタイン×ナイトメア・ファンテール

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