大天使レイナス×悪魔ロナード

相反する力を持つ、穢れのない黒を纏った彼を
白く塗りつぶしたいと思った







最初に出会ったのは果たしてどこだったか。
一般兵を装って声をかけたレイナスに言葉少ないながら知りたい情報全てをさらけ出したのは彼の方だ。
案外悪魔とは危機管理能力が薄いなとぼんやり思いながら、やっと見つけた彼に安堵さえ覚える。
嗚呼、この日をどれ程待ち望んだことだろう。
黒い羽根、それと合わせた黒衣、さらりと靡く蒼の長い髪は魔力の強さを表していて。
美しいとしか形容出来ない彼をただただ壊したいと思った。
壊して、乞わして、自分だけのものにする。
闇に堕ちた天使は堕天使と呼ばれるけれど、はて聖に屈した悪魔はなんと呼ぶのだろう、とどうでもいいことに思考を巡らせた。
「し、ね・・・屑」
ギリギリと睨む彼の蒼の目が心地好い。
森にいた彼を拉致し、廃墟と化した小屋に監禁して幾日。
人間ならとうに発狂して良さそうなものだが如何せん彼らは人ではなかった。
睨む彼は巨大な魔力を持つ悪魔。
一方のこちら・・・レイナスは天使だった。
神に遣えし上流天使。
悪魔を拉致するなど、訳はない。
「口が悪いんじゃない?まあそんなお前も可愛いんだけどさ」
「・・・だま、れ」
「俺にそんな口きいていいと思ってるんだ?」
くすくす笑いながら、痛いのは嫌だろ?と囁いた。
びくりと彼の体が跳ねる。
しかしそれも一瞬。
悪魔はすぐに気丈な態度を取った。
「さっさと、殺すがいい」
「どうしてそう極端なの」
はあ、とレイナスは溜め息を吐き出す。
「俺はお前を殺さない。強いて言えば・・・そうだな」
睨む悪魔ににこりと笑いかけた。
そうして。
「お前を、壊したい」
処刑宣告を、彼に囁く。
悪魔らしからぬきょとんと顔を見せたのはほんの僅か。
すぐに彼は侮蔑の表情を浮かべた。
「馬鹿馬鹿しい。お前ごときが、俺を壊せるとでも?」
「出来るよ」
笑顔を見せて、剣を振りかぶる。
「・・・!!!ぅあ・・・!!!」
「はい、次は右足ー」
「・・・!!!!!!」
両の足を傷つけ枷をつけた。
持ち上げて彼の羽根の側に固定する。
それから彼の衣服を取り去った。
邪魔だったから力を使っても良かったのだけど、敢えて力任せに引きちぎる。
少しは怯えてくれるかと思ったが彼は睨むだけだった。
なんだ、つまらない。
そう思いながらレイナスは下半身の服を脱いだ。
「野蛮だな、天使は」
「その天使に犯されるんだけど、ね!」
笑って、彼の秘部に無理矢理突っ込む。
悪魔の、声なき悲鳴が上がった。
そのまま数回揺さぶっても彼は反応しない。
どうやら心を殺しているようだ。
それならば。
「・・・ね、え!」
レイナスが悪魔に微笑む。
「お前の双子の弟、可愛いね。セイリオスだっけ?」
「・・・?!」
初めて彼が狼狽した。
・・・後少し。
「お前がダメならあの子を犯しちゃおうかなぁ」
「セイリオスには手を出すな!!!」
彼が睨む。
先ほどとは違った目で。
レイナスにすがるように。
「・・・じゃあ、俺のものになって」
天使は囁く。
甘い言葉を。
悪魔がのめる交換条件を。
「・・・っ、ク、ソ・・・が・・・!」
悔しげな色を滲ませる彼に、レイナスは口付けた。
どちらが悪魔かわからない。
そう、自嘲して。
「なぁ、好き。大好き。お前もだろ?」
揺さぶって、問いかけて、段々と光をなくす目に笑いかける。
もうちょっと、後少し、と伸ばした手を引き寄せた。
ふと小さく喘ぐ彼の羽根を見る。
先端が白に染まっていた。
それを確認したレイナスは、歪に口元を歪ませる。


嗚呼、やっと捕まえた。



もう逃がさないと抱き締めて、悪魔の力を内から奪う様己の精を吐き出して。
宵闇から引きずり出して捕らえられた悪魔に。
レイナスは囁く。
届かない、言葉を。

「愛してるよ、ロナード」

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