1時間目は国語、プリントを黙々とやる。
2時間目は数学、今日は何の課題だったか。
3時間目は英語、案外得意らしい。
4時間目は美術。
白紙の紙を不思議そうに見るのがおかしかった。
「ひっ」
突然ついたテレビに怯える光忠。
流れる絵画に青ざめ後ずさる彼女を俺は捕まえた。
「!は、せべ、…くん」
「ただいま、光忠」
くすくすと笑う。
「今日は水彩画だ」
 そう告げて、どさりとソファに押し倒した。
 嫌々と彼女が首を振る。
 1ヵ月もこんな生活を続けているのだから、早く
慣れれば良いものを。
 嘆息しつつも学校から持ち帰った筆をすっと肌に滑らせる。
 まあいつまで経っても生娘のような反応なのは
良い事だ。
 ビッチ、とかいうのはもっての外だからな。
「ひぅ…!!や、やだあ!!」
「嫌がってないで画面を見ろ。今日は絵画鑑賞だと美術教師が言っていたぞ」
「や、やだ…こんなの、やぁ…」
 キツく目を閉じて首をいっぱいに振る光忠。
 画面に映っていたのは彼女の痴態だった。
 幾枚も途切れることなく切り替わっていく。
 ぐいと顎を上げ、画面を見るよう命じた。
 閉じられた金の目が薄く開く。
 長い前髪で隠されたもう片方でも見る様にと嫌がる黒髪を上げてやった。
 久しく見ていなかった…紫の目。
 ああ、いつだって綺麗だ、この目は。
 笑って、その目を画面に向けさせた。
「ぁ…あ…」
 カタカタと躰を震わせる光忠の下半身に筆を滑らせる。
 にちゅりとわざわざ音を立てて彼女に聞かせた。
 聞きたくないと先程より強くその目を閉じる。
「恥ずかしくはないのか?ん?」
「ぁあぅ、やあ…!!!」
「自分の痴態を見て興奮するなど…変態だな?光忠」
「ちが、ちがぅうう…!ぼ、くは…ふや?!ぁあん!」
 否定するように首を振る光忠に仕置きだとばかり弱い所を責め立てた。
 その度に細い躰が面白いように跳ねる。
「ふぁ、あ…やぅ…くすぐった…ひんっ」
 胸をたぷたぷと揺らしながらそこを筆で愛撫すると光忠は再び涙に濡れた目を開いた。
 ぽろぽろと零れるそれを筆先で掬い取る。
「嘘は良くないな?光忠」
「ごめ、ごめんなさ、ひゃぅうう!!」
「仕置きだ」
 冷酷に告げ、さんざ、乳首をくすぐってやり、息も絶え絶えになったところで、その穂先をクリトリスへと向けた。
「いやぁ…ふぇっ、やだっ、やめてっ、やめてぇぇぇ!!」
 ロクに抵抗も出来ない癖に彼女は嫌々と首を振る。
 小さな突起を押しつぶすとガタガタと震え出した。
 切り替わる映像の描写を耳元で囁きながら
花弁を幾度も撫で擦る。
「やあ、も、う…あ、ああ!!!」
 ビクン!と大きく跳ねて光忠は絶頂した。
 ぎゅうと己の躰を抱きしめる光忠に「昼飯だぞ」と言う。
 その言葉にのろのろと腰を起こし、キッチンへと向かった彼女は素肌にエプロンを付け、料理を始めた。
 5時間目の家庭科と前後するが…まあいい。
「?!や、何…」
 背後から近付いてシンクに躰を押し付けた。
「長谷部くん、やめ…!あぅっ」
「言ったよな?俺は『先生』だと」
「うぅ、長谷部、先生…もうやめ…ひっ」
「口の悪い子は仕置きだ」
「そ、そんな、ぁ、や、ぁんん!!!」
 深く口付け、オリーブオイルを垂らして暴く。
 嫌がる彼女を組み敷き、何度も貪り食った。
「は、ぁん、や、もう、無理ぃ…」
「お前が悪いんだろう?光忠」
「長谷部、くんなんか、きら、嫌い…ひっ?!」
 ぐずぐず泣く光忠を冷たい目で見下す。
 …ああ、何故学習しないんだろうな?お前は。
「食事の時間だ」
「な、なに…いぎっ?!…や、やめて、そんなの挿入らな…やああ!!!」
 首を振って逃げようとする光忠の腰を捕まえて
冷蔵庫にあった野菜を取り出す。
 ぐぷぷ、と音を立てて先程まで挿入れていたそこに茄子を突き挿し、アナルにも細めの人参を挿入れて
やった。
「美味いか?」
「ぁ、あ…」
 放心状態の光忠の腹を撫でながら聞く。
「返事」
「…っ!…お、いひ…です…ぅうう…っ」
 ポロポロと涙を溢し必死に言葉を紡ぐ様子に思わず笑みを浮かべる。
 前に、後ろに野菜を埋め込んで。
 こんなの嫌と泣きじゃくる光忠は煽情的に思えた。
 6時間目は体育だった。
「もう、やめ、て…」
「何を言う。午前中は座学だっただろう?」
 ちゅ、と口付け俺はろくな抵抗をしなくなった光忠を寝室へ運ぶ。
「今日はこれだ」
「ぅああ?!!!」
 四つん這いにさせて、ぴしゃりとそれを光忠の尻に向かって振り下ろした。
 ビクビクと躰を跳ねさせる光忠に何度か打ち付ける。
 たぷん、と豊満な乳が揺れた。
 小気味良い音を響かせ光忠の肌を打つと段々白かったそれに紅い線が入る。
「ひ、ぅうう!!はせ、べく…!」
「物分かりが悪いな。長谷部『先生』だろうが!」
「…っ、せん、せぇ…!長谷部、せんせ…あう、きゃうぅう!!」
 力強く打ち据えてから、嬌声を上げる彼女の
躰をひっくり返した。
 痛みに呻いていたがそんな事は構っていられない。
 何せこちらもそろそろ本当の授業だ。
「お前の仕置きはまた後でだ。…今日の課題を
教えてやる」
「…これ、って」
 涙に濡れた目で光忠がぼんやりとそれを金の目に映す。
 彼女が見ているのは所謂「縄跳び」と呼ばれる代物だった。
 両の手首をそれで縛ってベッドヘッドに固定する。
 足を抱え上げて2本目の縄を膝裏に通した。
 そのグリップにローションを垂らす。
「やだ、なに、ひっ」
 怯えた表情の彼女の後孔をくちくちと解し、
グリップを埋め込んだ。
「やめ、やだっ!!挿入らな…ぅぁあああ!!」
 首を振る光忠を無視して奥まで突き入れる。
 もう一方のグリップにもローションを垂らし今度は前に手を滑らせた。
 先程まで散々犯していたそこにぐぷと音を立ててグリップを埋め込ませる。
「ふやぁぁっ!!」
 ビクビクと彼女の躰が跳ねた。
 何度犯しても処女のような反応だ。
 可愛いな、光忠は。
「こんな太さ、どうということはないだろう?
ほら、もう一本」
「んん!!あ、やだぁ!」
「我侭を言うな。またぶたれたいのか?ん?」
「ひっ…!!ご、ごめんなさ…!」
 ひゅんっと音を立てて縄跳びを振り下ろす。
 新たな涙をにじませた光忠は小さく躰を震わせ、大人しくなった。
「分かればいい」
「やぁ…ひっく、くるし、やぁあ…も、とって、とってぇ…や、ああああ…」
 悲鳴を無視しグリップを3本、4本と増やしていく。
 掻き回せば膣内でガシャガシャと音を立てた。
「…あ…うぁ…」
「俺は仕事に行く。会議もないから5時には帰れるだろう。…いい子にしているんだぞ、光忠」
 ちゅ、と呆けた表情の光忠に口付け、部屋の戸を
閉める。
 そういえば光忠は体育が苦手だった。
…帰ったらしっかり俺が指導してやらんと、な。






































「ねー、長谷部」
「…なんだ」
 機嫌の悪そうなそれに俺は顔も上げずに
返事をした。
「光忠ちゃん、どこが悪いか本当に知らないの」
「知らんと言っておるだろう」
「ふぅん。心配じゃ、無い訳?」
 俺の言葉に機嫌が悪そうなその彼女…加州清光は再度問う。
 疑うようなそれだった。
 体育の授業の後、話があるんだけどと押し切られ、体育教官室に仕方がなく呼び入れる。
 面倒だったが彼女一人の方がまだ扱いやすかった。
 彼氏…加州は「友だちだってば」と言っていた大和守安定が一緒だと後々厄介だろう。
 彼は理論タイプで、どちらかと言えば俺によく似ていた。
 光忠が[表向きに]入院してから約1ヵ月。
 お見舞いに行きたい、せめて寄せ書きだけでもと言い募る級友達を、学校側は「重い病気だから」「蔓延しては困るから」と病名も病院名も一切明かさなかった。
 それはそうだろう。
 学校側とて光忠が何の病気で入院して、どこの病院に入っているかなんてまったく知らないのだから。
「俺が心配したところでどうしようもないだろう」
「それでも担任?!信じらんない!1ヶ月も入院してるって言うのにさ!!」
 加州が怒鳴る。
 そういえば彼女達は仲が良かったのだっけ。
 ああ、全く面倒くさい。
「本当は病気じゃないんじゃないの?」
「…何?」
「光忠ちゃんが入院したと同時期、他のクラスの子が学校を辞めた。それも4人いっぺんに。おかしいと思わない?」
「毎年何人かは学校を辞める。今回は時期が重なっただけだろう」
「それにしたっておかしいでしょ?!…光忠ちゃんはどこも身体なんか悪くなさそうだったし、辞めた子は…男子はともかく、女の子の方は素行で問題になってるって聞いたことなかったよ」
「家庭の事情だ。これ以上はお前に詳しくは教えられん。プライバシーの侵害になる」
「そりゃそうだけど…!」
 加州が言い募る。
 …どこまで知っているのだろう、こいつは。
「ねぇ!」
 再び声を荒げた、その途端チャイムが鳴る。
 彼女に背を向けて俺は言い放った。
「時間だ、加州」
「待ってよ、まだ…」
「休み時間は終わったはずだが?」
「っ。…分かった」
 キッと睨み、体育教官室を出て行く。
 パタパタという音が遠ざかり、俺はパソコンの蓋を開けた。
 画面には俺の部屋の各所が映っている。
 スマホと連動している…隠しカメラのそれだった。
 俺がいない間はこのカメラで監視をする。
 いつでも何をしているか分かる寸法だ。
 最初は逃げ出そうとして大変だったな。
 まあ今は諦め、大人しく与えられた課題をやってはいるが。
 俺も授業がない時には家に戻って直接教えてやっている。
 体育専科だが意外に何とかなるものだ。
 光忠は、俺が教えてやらんと。
 教師なんぞやめてもよかったが、暫くは
生活を維持する為にもこのままで居る必要があった。
 さて彼女はどうしているのかとカメラの
位置を切り替えていく。
「…は?」
 無情にも最後の画面になり俺は小さな声を漏らした。
 普段…もっといえば先程まで映っていた光忠が…いない。
 逃げたか。
「くそっ」
 悪態を吐き出し、教官室を出て車に向かう。
 マンションまでは車で10分。
 逃げたのならまだ近くにいる筈だ。
 彼女の服は全て捨てたし靴も無い筈だった。
 縄跳びだってきつく結んだ筈で絶対に取れないと確信出来る。
 だのにどうやって。
 車を飛ばし、近所を捜索する。
 まずは見つけ出すことに専念しよう。
話はそれからだ。
しかし、どこにも見当たらない。
全くどこへ行ったのだか。
完全に逃げられは…しないというのに。
取り敢えず、とスマホを見ればバスルームの映像に彼女の姿があった。
逃げたわけでは、無いのだろうか。
隠しカメラに死角はなかったはずだけれど。
そう思いながらマンションに戻る。
「光忠!」
 蹴破るようにドアを開け玄関に飛び込んだ。
 トイレの前にへたんと座り込んだ光忠が怯えた
ように俺を見上げる。
「…せべ、せ…長谷部、せんせぇ…!」
 震えた声で光忠が俺を呼んだ。
 絶対に『先生』と自分から呼ぼうともしなかった光忠が。
「…どうした」
 努めて穏やかに聞いてやる。
 ゆっくり抱きしめてやるとぎゅっと縋りついてきた。
 そこらに脱ぎ捨てられた俺のコートと足の裏は汚れている事から、外に出た事を如実に示していた。
 外に出たのに逃げなかったのか。
 それに笑みをこぼしてから頭を撫でてやる。
 堕ちたのだ、と。
 彼女は漸く自分の元に。
 だから外に出た事は不問にしてやった。
 ガタガタ震える光忠の小さな裸を撫でる。
「どうした、何があった?」
「…せん、先生、どうしよう…赤ちゃん、
出来ちゃったよぅ…!!」
「赤ちゃん?」
 彼女の一言に目を見開く。
 こくりと頷き、彼女は涙を溢した。
「お願い、僕を捨てないで…!!嫌いに、
ならないでぇ…!!」
 俺の身体に縋りついてさめざめと泣く。
 そういえばここに連れて来てから生理が
きていないっけ。
近くに妊娠検査薬の箱が落ちていたのはこれを買いに行くためか。
大方、生理が来ず、怖くなって買いに走ったに違いなかった。
俺が、以前に「子どもは好きじゃない」とか言ったから。
子どもを孕んだ自分は捨てられると勘違いしてリスクも考えずに買いに行ったのだろう。
 …ああ、なんて愚かな。
「捨てない」
「…ぇ?」
「捨てるものか。俺の子を孕んでくれたんだろう?…良くやったな」
 きょとんとする光忠の頬を撫でる。
 本当?と舌足らずな声で光忠が言った。
「僕の事、嫌いにならない?…捨てたり、しない?」
「無論だ。お腹の子も、お前も、大切にするさ」
 笑いかけ、ふわりと抱き上げる。
 リビングに運び、毛布とある物を持ってきてやった。
「腹を冷やしてはならないだろう?…今度
服を買いに行かないとな」
「…う、ん」
「此処に、もう一つ命があるのか。…不思議な気分だ」
 くすくすと笑って手を光忠の腹部に持っていく。
 本当ならこのままぐっと力を込めてしまいたかった。
 この箱庭に俺たち二人以外の人間なんていらない。
 それをしないのは彼女に依存させるためだった。
 ドロドロに優しくして、最後に堕とす。
 絶望した光忠に対しそこでまた優しくする、そうすれば。
 俺は笑みを隠して小瓶を差し出した。
「光忠、これを」
「…これ、は?」
「お腹の子どもを安定させる薬だ。初めての妊娠なのだからな、何でもする。二人で乗り越えような?」
「…うれしい…」
 とろ、と光忠が笑む。
 彼女に渡した小瓶は堕胎薬だった。
 それを知らず、光忠はただ笑む。
 妊娠したその事実を否定されないと知って。
 俺は小さく嗤う。
 そうして、ありがとう、と囁いた。
 あの時の…忌々しい雌に向かって。
 俺の光忠をこうまで堕としてくれてありがとう。
 光忠に恐怖と絶望を埋め込んでくれてありがとう。
 …俺に光忠を独占する機会を与えてくれてありがとう。
「長谷部、先生?」
「どうした、光忠」
 ふわりとした声に俺は光忠の頬を撫でる。
 柔らかく笑う彼女はまるで聖母の様だった。
「僕、本当はね…」
 光忠の声が風に溶ける。
 白い錠剤が入った小瓶が、カランと音を立てた。
(終)

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