降臨節小夜曲(天使物語・ザーイス

一年の始まりを祝う祭りがある・・・そういうのは知っていた。
天界で行われていた、ナイトスター双子が行う「神を祝う終焉の舞い」と、それから。

純真たる天使が行う、新年をそして人々を祝う、祝福の舞い。


「・・・だからってなんで俺が!」
「似合ってるわよ?イスファル」
「ホント、ぴったりー!」
声を荒げるイスファルに穏やかにそう言ったのは御前天使・サリエルのニア、そしてその妹のラナであった。
揃いの白い衣装に身を包みきゃっきゃとイスファルを着せ替えるのに勤しんでいる。
「そろそろ諦めたら?」
くすくす笑いながら言うのはライ・ナイトスター。
こちらは守護天使・ゼルエルで、いつもの戦闘衣装に身を包んでいた。
今日はニアとラナの守護が目的だからだろう。
諦められないとぶすくれるイスファルを笑いながらもなだめていた。
「こっちの準備終わりましたー・・・あら」
そう言いながら入ってきたのはオレンジの髪がまぶしいグレース・ピーロンドである。
ライの部下である彼女もまた、戦闘衣装であった。
「似合ってるわね、イスファル」
「嬉しくない」
「そうかしら、誇るべきよ」
ねえ?と彼女が振り返る。
目線の先をたどっていけばそこには。
「・・・ザード・・・?」
ぽかんと口を開けて立っているザードが、いた。


「びっくりしたよ。あんたが今年のイケニエ?」
「そうらしいな」
赤いスカートのようなズボンのようなそれ・・・巫女服というらしい・・・の裾を少し持ち上げてザードの言葉に頷く。
外から音が聞こえてくるのを見るに、もう舞いは始まっているらしい。

「ルナに押し切られたんだ」
イスファルのそれにザードがああ、と言って苦笑した。

「あの」
遠慮がちな声に振り向くとそこにはミルト・レヴァンステラがいた。
彼女もまた神であり、戦天使・ミカエルであるセイリオスの付き人である。
「そろそろですよ、イスファルさん」
ピンクの髪を揺らし、ミルトが笑う。

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