休日(へし燭SSS・ワンドロお題) *現パロ・リアルへし燭

『休日にすみません。久しぶりに会えませんか』
そう、彼からlineが来たのは3月も終わりのことだった。
彼は元職場の同僚で、この春から別の学校に移動になった長船先生だ。
俺より4つ下の23歳でそれなりに・・・まあプライベートで共に出かけるくらいには・・・仲が良い。
『久しぶりだな。何処か行きたいところでも?』
笑うと意外に可愛らしい彼を思い出しながらそう返した。
『特には・・・あ』
その次のメッセージに俺は少し固まる。
端から見れば何とも微妙な顔をしていたに違いない。
『ユニバ○サル・スタジオ行きませんか?』




「長谷部先生」
「ん」
ふわりと笑って駆け寄ってくる彼は可愛らしく、思わず笑みを溢した。
いつか見たようなタータンチェックのシャツに白のセーター、それにジーンズ、という格好はよく彼に似合っている。
「久しぶりだな」
「はい」
にこにこと笑う彼に、何故この時間?と聞けば混まないんですよ、とあっさり答えた。
そういえば前に、「夜のユニ○は楽に乗り物に乗れるんですよ」と女性講師に言っていたか。
「今の時期、そっちは忙しいんじゃないのか」
「だって、休日じゃないと会えないでしょう」
異動したばかりなら忙しかろうと聞けば、少し寂しげに彼が笑む。
そうだ、もう彼とは休日しか会えないのだ。
なら。
「昼は会えんが夜に会えば問題ないんじゃないか?」
「え?」
きょとんとする長船先生を引き寄せる。
驚いた表情の彼ににやりと笑ってから囁いた。
「勉強、教えてやるからうちに来い」
「・・・!」
綺麗な目を見開いて、彼は頬を赤くする。
それから嬉しそうに、はい、と微笑んだ。
「長谷部先生、意外と大胆なんですね」
「なんだ、知らなかったのか?」
困ったように笑う彼にそう言えば、長谷部先生、とくすくす笑う。
「もう同僚でもないのだし、先生はやめてくれ」
「え、でも」
「いいから」
そう言うと少し下を向いた。
「長船くん?」
「でも、長谷部さんって呼ぶのもあれだし、長谷部先輩・・・?」
そんな考え込まなくても、と声をかけようとした・・・その時。
「あ、国重さん!」
「?!」
ぱっと顔を輝かせる長船先生・・・。
いや、可愛らしいけれども!
「あ、ダメですね?!じゃ、じゃあ」
「・・・いや、構わないが」
俺の返答に彼はほっとしたように笑うのだった。

まるでジェットコースターに乗った時のような、そんな、お前と過ごす休日。





「いやでも俺、ジェットコースター乗れませんけどね」
「え、そうなんですか?!私、乗れると思ってましたよ、意外!」
「この間、ユ○バ行きましたけど駄目で」
(やっぱり俺は振り回されるのは性に合わない)

name
email
url
comment