デート(ねんへし燭ワンドロSSS

「みつ!でーとしないか!!」
唐突なねんどろいど長谷部のそれに、言われたねんどろいど光忠はぽかんと彼を見上げ、書類仕事も一段落し、お茶休憩に入っていたへし切長谷部が含んだそれを噴出した。
「…きたないぞ、でかいの」
「なっ、おま…!」
途端に嫌そうな顔を作るねんどろいど長谷部に長谷部が食って掛かろうとする。
それを無視し、ねんどろいど長谷部は小さな手をねんどろいど光忠に向かって差し出した。
「いくぞ、みつ!」
「…!」
ぱあっと表情を輝かせ、ねんどろいど光忠はその手を掴む。
頷き、ぐいと引っ張って走り出した。
「…。…どっちかと言えば逃避行なんじゃないか?」
呆れたような長谷部の声を背後に聞きながら部屋を出、廊下を走る。
程なくして速さを緩め、一つの部屋の前で崩れ落ちた。
二人とも荒い息で…特にねんどろいど光忠はねんどろいど長谷部の機動についていくのがやっとのようで…それでも顔を見合わせ笑う。
「だいじょうぶか?」
その言葉にねんどろいど光忠はにっこりと笑って見せた。
息を整え、襖をそっと叩く。
はぁい、という返事のあと、それはからりと開いた。
「いらっしゃい」
そう笑うのはこの部屋の主、大和守安定である。
「今昼寝中だから、しぃ、ね」
口の前に指を一本立てて笑う彼を真似、二人もしぃ、と指を立てた。
部屋には入れば、なるほど、加州清光とねんどろいど清光、そしてねんどろいど安定が寝息を立てている。
それを起こさぬよう進み、窓を開けてもらった。
「…!」
ねんどろいど光忠が嬉しそうに笑む。
窓から見える、秋桜は二人が大好きな風景だ。
暫く堪能した後、礼を言って部屋を出て次の部屋に向かう。
「待ってたよ」
にっこり笑うのは燭台切光忠だ。
黒い前掛けをした彼がいるのは所謂台所で。
「できているか」
「勿論。光忠特性餡蜜だよ」
聞けば、すっと二人ぶんの餡蜜を出してくれた。
それを持って縁側に向かう。
「みつ!」
「…?」
「たのしいか?」
「…!♡」



大好きな風景を見て大好きな甘味を大好きな人と共に食べる。

それって素敵なことじゃないか!


(二人一緒ならいつだってどこだって!!)

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