着せ替え(ねんへし燭ワンドロSSS

唐突に、本当に唐突に言うがうちの本丸の主は審神者を任される以前は「でざいなー」をやっていた。
服を仕立てて売る仕事だそうだ。
今も審神者業の傍ら、趣味としてそれは続けているらしい。
その相手(被害ともいう)になるのは初期刀の加州清光か近衛の燭台切光忠なのだけれど。
「あ、見てくれ、長谷部!」
「何でしょうか、ある、じ…?」
たまたま主の部屋を通りかかった時、眼を輝かせて呼び止められ、部屋に入ればいつもとは違った格好の…。
「…ねん光?」
そこにいたのはねん光…ねんどろいど光忠だった。
ぱあっと表情を輝かせて俺に近づいてきたねん光は所謂振り袖を着ていて。
…これは女性用…だろう、恐らく。
主のことは尊敬しているがどうにもこの趣味はよくわからない。
「…燭台切に怒られますよ」
「いやぁ、光忠が着てくれないからさあ」
俺のそれに主が笑って言う。
…光忠にも着せる気だったのか。
「他にも色々あるぞー。浴衣だろ、ドレスだろ、メイド服だろ、和風メイドだろ、ワンピースだろ」
主が嬉々として衣装を見せてくるが…何故全て女性者なのだろうか。
「…みつ?!」
すっとんきょうな声に振り向けばねん…ねんどろいど長谷部があんぐりと口を開けてこちらを見ていた。
「。!!?」
「おお、ねんへし、お前の衣装もあるぞー」
主の明るいそれを無視し、ねんがすたすたとこちらに来てねん光を抱き締める。
それからこちらを睨んできた。
「…みつをきせかえにんぎょうにするのはやめていただきたい!」



他の衣装も素敵だけれど、やっぱり普段の君が好き!

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