吸血鬼ルカちゃんとミクさんと!()ミクルカ

はてさて、これはどういう状況だろうか。
サーモンピンクの長いふわふわした髪、たゆんとゆれる胸はタキシードに詰め込まれてる。
サファイヤみたいな綺麗な目が私を困った様に見つめていて…後は、そう。
私は、この綺麗なヒトに押し倒されて、いた。
「えっと…サキュバスさん?」
「きゅっ、吸血鬼、ですっ!!」
…吸血鬼だったみたい。
気が弱いのかめちゃくちゃおどおどしている彼女は、開け放った窓から入ってきた…かと思ったら馬乗りになってあろう事か「すみません、血を分けてくださいませんか?!」って言ったのだ。
いやぁ、私なら問答無用で戴いちゃうけどなぁ。
それとも人間と吸血鬼の違いってやつだろうか。
「…や、やっぱり頂けないでしょうか…」
…や、性格の差、かな。
だって、血液が貰えそうにないからってしゅんとしちゃう吸血鬼なんて、聞いたこと無いもん。
「ねえ」
「は、はいっ!」
私の呼びかけにびくん、と跳ねた。
「貴女、名前は?」
「…る、ルカですわ。巡音ルカ」
「そ。私は初音ミク、宜しくね」
にっこり笑うと途端に困った表情になる。
どうかしたのかな?
…ああ、どういう意味のよろしく、か分からなかったのか。
「血、飲んで良いよ」
「?!良いんですか?」
「え、必要だから来たんでしょ?」
「…はい、はい!ありがとう御座います!実はお腹が減って仕方がなかったんですの!」
ぱぁあ、と嬉しそうに笑う吸血鬼、ルカ。
失礼します、と長い私の髪の毛を払って、かぷりと首筋に噛み付いた。
痛いのかなって思ったけど、そうでもなくて。
なんならこないだ受けた血液検査のそれのが痛かったくらい。
「ご馳走、様でした」
なーんて考えていたら小さく言ったルカがそっと離れた。
「おいしかった?」
「はい、とても!」
にこにこ笑うルカに、それは良かったと笑って…今度は私がルカを押し倒す。
「きゃっ。…ええと、ミクさん?」
「知ってる?商売の基本はギブアンドテイク。私ばっかり渡すんじゃ損になるでしょ?」
吃驚した顔をするルカに私はにこにこ笑いながら馬乗りになった。
「…そ、そうです、わね…?」
「だから、私の血をあげる代わりにルカちゃんを頂戴?」
「え?え??」
わたわたするルカに私はちゅ、と口付ける。
「?!ふぇ?あ、あの…??」
「えへへー。実はひと目見た時からタイプだったんだー♡じぃっくり味わって食べてあげるね、ルカ♡♡」
「ひぃい?!!や、やめてくださいぃい!や、ぁ、んー!!」
途端に怯えるルカに今度は深く口付けた。
その後、宣言通りじっくりたっぷり食べられてしまったルカは、疲れきった躰を癒やす為に私の血を飲んでその代償にまた食べられるというループを繰り返す羽目になるなんて…まだ知らない。

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