○○しないと出られない部屋、そのまたおまけのアキカイの場合(カイコク受け)

Q「あっきーは、好いている相手の身体にキスをするならどこにするのかな」
A「俺は……そうだなぁ」

カイコクがこちらを睨む。
以前にもこんなことがあったなぁ、とぼんやり思いながらにこりと笑った。
まあ、あの時は【入出アカツキ】だったのだけれど。
「キス、させてよ。カイコクさん」
「嫌、でぇ」
硬い声のカイコクに、小さく溜息を吐く。
ここは、【鬼ヶ崎カイコクにキスをしないと出られない部屋】だ。
悪趣味な部屋だけが残ったのだなぁと思う。
「しなきゃ一生ここに二人きりだけど。このまま心中でもする?」
「…っ。俺ァ男でぇ!男にキス、だなんてまっぴらごめんだ!」
「…【入出アカツキ】にはさせたのに?」
声を荒らげる彼にそう言えば、びくんっと身体を震えさせた。
視線を落とすカイコクに、可愛いなぁと笑う。
「カイコクさん。アカツキはどこにキス、してくれたの」
「…っ!…し、ってる…くせに…!」
するりと頬を撫でれば悔しそうにカイコクがこちらを睨んだ。
だから、「うん」と笑顔を見せる。
「知ってるよ。…駆堂アンヤは目蓋、逢河マキノは首筋、忍霧ザクロは肩口。…そして、入出アカツキは、手首」
「…」
「目蓋は憧憬、首筋は執着、肩口は愛顧、手首は欲望」
「…っ!!」
相手からキスされる場所は、それぞれ意味を持つのだと言ってやればカイコクは怯えた目でこちらを見つめた。
まるで、現実を突きつけるな、という風に。
皆の思いを、わざわざ声に出して見せつけるな、と。
「カイコクさんは、知っていた…そうだろ?」
「…そ、れが…なんだって……」
「ずるいなぁ。俺だってカイコクさんに思いを伝えたいのに」
にこにこと笑って追い詰める。
彼は存外優しいのだ。
きちんと、【入出アカツキは信用ならない】と気付いていて、絆されてしまった。
「ねぇ、カイコクさん。『ダメ、ですか?』」
「…っ!お前さんはっ!入出じゃ、ねぇ!」
間髪無く否定するから、少しばかり驚く。
そして…嬉しいな、と思った。
「なら、俺は俺としてお願いするね、カイコクさん」
「…」
「キス、させてよ。ここから出たいだろ?」
「…分かった」
硬い声の彼が了承を出す。
それを聞き…座っていたカイコクの、すらりと伸びた足を取った。
「っ!」
服の上から、太腿にキスを落とす。
カシャンという、小さな音が耳に届いた。
「意味、分かるよね。カイコクさん」
「…。…俺は、お前さんの思い通りにゃなんねぇよ」
睨みながらカイコクが身体を起こす。
そうこなくては、と…アキラは、笑みを浮かべた。


心を開かない、野良猫のような彼を……自分のものにしたいのだから。
(それは、アカツキとはまた違った…濁った欲望…支配欲)

name
email
url
comment