エクストラステージ:ひとり鬼ごっこ(ナカゲノ男子×カイ♀)

「ひっ、ゔ…ぅう…ゔ…っ!」
あれからどれくらい経ったのだろうか。
道具から解放されたと思っていた彼女を待っていたのはグロテスクな触手だった。
体力の無くなった躰を蹂躙する触手から逃げ、先程はなかった扉の前でへたり込む。
あと少しなのに。
あと少しなのに出られない。
扉の鍵はパカが持っているから開きようもないのだ。
そんなこと…知っていたはずなのに。
「…カイコッちゃん?」
優しい声に緩慢に上を向く。
開いたドアの向こうにはマキノが立っていた。
何故彼がここに、と回らない頭で思う。
「…あ、い…かわ?」
「…よか、った」
弱々しく名を呼べば、ふわり、と抱きしめられた。
「…探した、よ」
「…うん」
触れる、人肌に安心して身を任せた…瞬間。
「ぅう?!!んぐ、ぅ…!」
何かを飲まされ、カイコクは目を丸くする。
マキノの行動が割と突拍子もないのは今更だが…これは何なのだろう。
不安げに目を揺らすが、マキノは微笑むだけだった。
こくん、とそれを嚥下すれば彼は偉いね、と頭を撫でる。
背を駆ける悪寒にカイコクはマキノを見上げた。
彼は、こんな笑みを浮かべる少年だったろうか?
「…待ってて」
「…?!ま、って…逢河…!」
手を伸ばすがマキノはそれを振り切って駆け出す。
追いかけようにも躰が動かなかった。
「…んだよ、マキノが先に見つけてたのかよ」
「…く、どう?」
「そういうルールだろう?…まったく、何故そんなところにいるんだ、貴様は」
「…おし、ぎり」
程なくしてやって来た二人はよく知る彼等で。
それなのに、怖い、と思った。
「んじゃーマキノからな」
「…は……?」
アンヤのそれにカイコクは目を白黒させる。
「…なん、の…話…でぇ…」
「なあ、鬼ヶ崎。俺達は怒っているんだ。一人で行動して、あまつさえ触手や玩具に躰を好き放題されて」
「…そ、れは!!」
ザクロの淡々とした言葉に、彼女は縋るように見上げた。
だが、彼等は非情で。
「んぐぅ?!!」
「…お仕置き、だよ。…カイコッちゃん」
言い訳さえ聞くまいと開いた口に性器がぶち込まれる。
喉を突くそれに咽る隙も与えず、マキノはカイコクの頭を掴む。
「…なら俺はこちらだ」
「オメー悪趣味だよな」
ケラケラ笑うアンヤが膣を、少しムッとするザクロがアヌスをくちくちと弄りだした。
嫌だ、と悲鳴も上げられない。
「~~~っ!!!」
唐突に声なき悲鳴が霧散した。
入り込んできた2本の性器は彼女のそれぞれの穴を蹂躙する。
怖い、痛い、なんで、どうして。
味方だと思っていた彼らの裏切りはカイコクの心を壊すのに十分で。
「…ぅぐ、ぁ、ひっ、ぁっ、ご、めん…なさ…っ!げほっ、ぉごっ、ふぁっ、あっ、あ…!!」
喘ぎ、恐怖の心を押し殺しながら謝罪し、もう止めてと懇願する。
「なぁ、鬼オンナ。オメーさ、勘違いしてねぇ?」
「…ぅ、え?」
深く突き上げながらアンヤが嗤った。
…彼は、こんなに下衆に笑うだろうか。
「許される事案はとっくに超えている。貴様は同等の立場ではないんだ。…鬼ヶ崎」
結腸を抉じ開けながらザクロが囁く。
…彼はこんなに酷い事を言うだろうか。
擡げる疑問は少し考えれば分かるはずなのに今は彼等に従うしかなくて。
出す、と言う声は…誰のモノ?
「…!!げほっ、ごほっ…ぁあ、あ…ぁ、つ…いぃい!」
ぎゅぅう、と躰を縮こませて悶えるカイコクに、容赦なく刺激が襲う。
「ぃやっ!や、め、…ねが、ぃい!!ぃきたく、ねぇ…やっ、ぁあ、あぁあァ!!」
クリトリスや乳首をこねくり回され、彼女はびくっびくっと躰を震わせた。
無理矢理潮を吹かされボロボロと涙が落ちる。
引き抜かれ、ぐったりとしたカイコクの綺麗な髪を掴んだのは…ザクロだった。
「舐めろ」
「…お、しぎ、りぃ…も、無理でぇ…!」
「何故一回で終わると?俺達は3人居るのに」
泣き言を訴える彼女にくすくす、とザクロが嗤う。
それは言外に、このループは終わらせない、と伝えていて。
拒否権などもちろん無くて。
…カイコクの…細く白い手は、助けを求めるその手は、ふわりと浮かび、そのまま落ちた。


それからどれくらい経ったか。
あれから順々に犯され、部屋にあった大量の玩具を全て使われ…意識は朦朧とするカイコクの元に一人の少年がやってくる。
いつのまにか3人はいなかった。
「…い、りで…?」
ボロボロに…精神的にも肉体的にもボロボロになった彼女がそちらを見る。
「…カイコクさん」
「…。…お前さん、も…俺、を…犯す、のかい…?」
近づく彼、アカツキに、彼女はどこか諦めた目を向けた。
そんなカイコクを、アカツキは抱きしめる。
「…よく、頑張りましたね」
「…ぇ」
「待たせて、ごめんなさい」
ゆっくりとアカツキは彼女を撫でた。
腕の中のカイコクは気が抜けたようにそれを享受する。
「もう、大丈夫ですよ?俺が…いますから」
「…っ!…ゔぅうっ…!…も、う…いや…だぁ…っ!!」
ボロボロと涙が溢れるのが止められなかった。
恐怖に歪み切った感情は理性を振り切って涙となる。
「た、すけに…来てっ、くれたって…思っだ、のに…!」
「…はい」
「…おし、ぎりもっ!くど、うも!!…あ、いか、わまで…わたっ、わたし、おれ…っ!!」
「…はい」
一人称がぐちゃぐちゃになるほど追い詰められた彼女の頭をアカツキがそっと撫でた。
抱き上げられたカイコクはどこかの部屋に連れて来られる。
どこだろう、なんて思う暇もなく、ただただ安堵だけが身体を包んだ。
「あれはね、夢ですよ」
トサリとベッドに寝かされ、カイコクは蕩けた声で「…夢?」と聞き返す。
「そう、夢です」
優しく笑うアカツキが、揺らめく彼女の手を取った。
不安げに見上げるカイコクに、カイコクさんは存外甘えっ子ですねぇ、なんて笑う。
「全部、夢なんです。…不器用な忍霧ザクロも、ぶっきらぼうな駆堂アンヤも、優しい逢河マキノも…無邪気な笑顔を見せる入出アカツキも全部…ね」
「…ぇ?」
嗤う、彼にカイコクは固まる。
何を言っているのかと怯えた目を見せた。
「自分に甘い、綺麗なだけの夢は楽しかった?…『カイコクさん』」
「…っ!!!…誰だ、きさ…ま…!」
その言葉に目を見開き、彼女は彼から距離を取ろうとする。
だがそれは無謀なことでしかなくて。
「…マダラメ、とでも呼んでもらおうかな。可愛い俺のお人形さん?」
「…マダ、ラメ…??」
躰を押さえ込むアカツキ…「   」にカイコクは敵意の篭った目を向ける。
「君は俺に捕まった。…ひとりかくれんぼって知ってる?降霊術の一種らしいんだけど。捕まったら元の世界には戻れない」
「…お、れは…!」
「一緒だよ。…素直になればまた甘い夢を魅せてあげる。君もあっちが好きだろ?…カイコクさん」
くすくす、と彼が嗤った。
ふざけるな、と叫ぶ声は広い部屋に響く事なく消える。
彼、がカイコクの躰を無理矢理に暴いたから。
とうに限界を越えていた彼女はすぐに敵意を怯えに変えて泣きじゃくった。
「や"ぁあぁあっ!す、け…て…っ!ぃぎっ、!ゔぁああっ!!もぉ゙やめ゙でぇ゙!!!離じでぇく、んなああ"ぁ!ごめっ、ごめんらざぁっ、ゆぅじでっ、ゆるじでぇえ!!!」
「苦い現実と甘い夢、君はどちらを取るんですか?」
くすくす、と……アキラ、が笑う。
汚い悲鳴を上げる彼女を追い詰めながら。
傷付いた足は小さくバタつき、綺麗な白を赤く染める。
「…血は嫌いだ」
それを見つめながらアキラは光の無くなったカイコクに笑いかけた。
囁く言葉に彼女は音無しくなる。
良い子、とカイコクの頭を撫でるのは果たして誰だったのだろうか。

(鬼ごっこの相手は一体誰だったの?


それは…ー)

name
email
url
comment