ワンドロ・新生活/同棲

「冬弥ぁ」
「…ん」
新生活…冬弥との同棲生活が始まって、1週間が経った。
今日の朝食当番は彰人だ。
パンをトースターで焼き、目玉焼きとウインナー、出来合いのサラダにコーヒー…彰人は砂糖とミルクを入れるが…を用意し終わった彰人は部屋にいる冬弥を呼ぶ。
随分と慣れたもので、もっと前からこの同棲生活を続けているようだ、と彰人は小さく笑った。
彰人が脱ぎ散らかした服を抱きしめて二度寝をキメている冬弥に彰人はますます口角を上げ、ベッドのスプリングを軋ませた。
「…冬弥、朝だぞ」



「…っつーのはどうよ」
バサ、と生活情報紙を冬弥の前に置いた彰人が笑う。
「…彰人。俺達はまだ高校生なんだが」
「細かいことは気にすんな」
「…後、俺はそんな風に甘えたりは…」
「だーから気にすんなって」
不思議そうな冬弥に彰人はひらひらと手を振った。
存外冬弥が甘えたというのは心の中にそっと仕舞って。
そんな彰人に冬弥はふっと笑う。
「俺と彰人が同棲」
「おう」
噛みしめるような言葉に彰人は自信たっぷりに頷いた。
冬弥はこういう時、否定したりしないのを知っているから。
「…そう、なったら良いな」
「なったら良い、じゃなくて、そうすんだよ」
「…ああ」

はっきりと言い、彰人は笑う。
いつもより彼が柔らかい笑みを浮かべていたのは…二人だけの秘密の話。

「…ねー、KAITO。そういうのってルームシェアっていうんじゃ…」
「しっ。二人が幸せなんだから茶々を入れちゃだめだよ、レン」

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