類冬ワンドロ・お揃い/お菓子

珍しいものを買ったなぁと思う。
新商品なんだって、と瑞希が言っていたから少し興味を持っただけだ。
…コーヒー味の、新製品のクッキー。
コンビニで見かけて、気付いたらレジに向かっていた。
別に甘いものは嫌いではなかったし、どんなものかも興味があったのである。
「…神代、先輩?」
「…。…やあ、青柳くん」
コンビニを出ると冬弥とばったり会い、奇遇だねとにこりと笑った。
「はい、奇遇ですね。…、それ…」
彼もふわりと微笑んだが、類が持っているものに目を留める。
「ああ、これかい?瑞希から新製品だと教えてもらってから気になっていてねぇ」
「…そうなんですか」
類のそれに冬弥が小さく笑った。
そうして。
何かをカバンから取り出したかと思えば柔らかく表情を崩す。
「…それ」
「…お揃い、ですね」
類が買ったものと同じクッキーを見せ、彼は嬉しそうに笑った。
「ふふっ、そうだねぇ」
微笑み、類は買ったばかりのクッキーを差し出す。
「味もパッケージも同じだけれど…交換、するかい?」
「…!はい!」
同じクッキーを交換し、二人で笑いあった。
それは同じようで全く違うものであるから。


お揃いのお菓子を持っているという、特別感は。


類と冬弥だけが知っている秘密の話。

name
email
url
comment