どうもこんばんは、本日の主役こと鏡音レンです。
おれは、今廊下を全力ダッシュしている訳で。
なんで、おれがこんな、走っているかといえば。
「………セーーフっっ!!!」
楽屋として与えられた部屋に飛び込んだ。
そこに。
「…ギリギリアウトじゃない?」
くすくすと笑う、愛しい人。
「まだ日付変わってないからセーフセーフ」
「そう?まあレンがそう言うなら」
ふわふわと、兄さんが笑う。
…さっきまであんな真面目な顔してたのになぁ。
「…兄さん、それ可愛いな」
「え?どれ?」
きょとんとした兄さんがくるりと舞う。
着替えないでいてくれた、衣装の燕尾が風に踊った。
「髪結んでんの。尻尾みたい」
「…ああ、これ」
青い髪を手に取れば、兄さんはまた笑う。
俺も気に入ってるんだ、と。
「レンとお揃いっぽいし」
「…ホント、そういうとこさぁ」
ご機嫌な兄さんにとやかく言わないけど…いや、マジで可愛いな、この人…!!
「?レン?」
「なんでもなーい」
首を傾げる兄さんに、おれはそう答えてソファに座った。
不思議そうにこちらを見ていた兄さんが、あ、と声を上げてから冷蔵庫から取り出した何かとグラスを手に持って隣に座る。
「え、まさか酒…?!」
「レンはまだ14歳でしょ」
「それ言ったらおれ永遠に酒飲めねぇじゃん」
「飲まなくていいよ…」
ぶすくれるおれにくすくすと兄さんが笑いながらグラスにシャンメリーを注いでくれた。
ちぇ、可愛い顔してさ。
「ふふ、誕生日おめでとう、レン」
「ん、ありがと」
チン、とグラス同士を軽く合わせる。
今年最後のシンフォニーコンサートがおれの(後、リンの)誕生日と重なったから、ちょっとだけ楽屋を貸してもらったんだ。
兄さんと二人きりでお祝いしたかったからさ。
「流石にケーキは怒られるかな…」
「え、あんの?」
「あるよ。小さいやつ。朝作ってきたんだ」
「…家にでかいのもなかった…??」
「あるけど…。あれは家族でお祝いする用だから」
一瞬迷った末にまた立ち上がって冷蔵庫から箱を取り出す。
「スタッフさんには一緒に怒られてくれる?」
「何でだよ、おれ、お誕生日様なのに」
「じゃあケーキはなしと言う事で…」
「…それとこれとは話が違うじゃん…!」
箱を仕舞いに行こうとする兄さんの服をギュッと掴んだ。
もー、と困ったように笑う兄さんがまた座り直す。
兄さんの手作りケーキ、みすみす逃す訳にはいかないもんな。
「うわ、すっげぇ!ケーキの上に小さいおれがいる!」
出てきたケーキの上にいる人形…マジパンだっけ?に思わず声が出た。
相変わらず器用だなぁ、うちの兄さん。
「…あれ?兄さんもいるじゃん。リボン付いてるし」
「…」
「あ、マフラーがリボンになってるのかこれ。凝ってるー」
「……」
「…あの。兄さん?これってつまり…」
「……言わせないでよ…」
耳を赤くする兄さん…。
えー、なにもー、うちの兄さんは天使だった…??
「愛してる!」
「え、うわっ、ちょっと、レン!」
抱きつきながらソファに押し倒す。
いやぁ、可愛い兄さんが悪いんだからな?
「待って、日付!日付変わってるから!」
「あー…。…ここまできたらちょっともだいぶも変わらんくね?」
「変わるよ!!大体、衣装汚したら怒られ…!」
「…へぇえ、衣装汚すようなことさせてくれんの?」
「……っ!この、酔っぱらい!」
顔真っ赤の兄さんがおれに向かってそう叫んだ。
ったく、シャンメリーじゃ酔わんっつーの。
「一緒に怒られよーな、兄さん♡」
にやりと笑って押し倒した兄さんに口付ける。
ちょっと遅れたけど…最高の誕生日になりそうだ。
「…流石の初音さんも楽屋ではしないよ、レンくん」
「…はーんせーしてまーす」
(スタッフさんには怒られなかったものの、兄さんにめちゃくちゃ拗ねられてしまったのは、また別の話)
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