さて、本日は節分である。
…節分より重要な行事があると思うのだが…それを言うと怒られてしまうのでザクロは口を噤んでいる…わざわざ怒られに行く必要もあるまい。
「?どした、忍霧」
「…いや……」
きょとんとするのは、カイコクである。
1年の行事の中で一番節分が好きだという彼は朝からこの豆撒きを楽しみにしていた。
そんな楽しいものだろうか、と思うのも野暮なのだろう。
「…なあ、鬼ヶ崎」
「なんでェ」
「その、貴様が持っている袋は…?」
ザクロの問いに、ああ、とカイコクが笑った。
「今年は餅撒きがあるだろ?」
「…ああ」
「とりあえずこれくらいでかきゃ山程入るかと思ってねェ」
うきうきとそう言うカイコクに、思わずぽかんとしてしまう。
「…餅が欲しいのか?」
「餅はあるだけありゃいいだろ」
「鬼ヶ崎はそんなに餅好きだったか…?」
「いや?普通くらいだねェ」
「では何故…」
聞きかけたザクロはふと、餅まきの由来を思い出す。
節分の際の餅まきは福をもたらすのだと。
「福が欲しいのか?」
「さぁねぇ?」
くすりと彼が笑う。
なら、ザクロが渡してやるのに。
そう思うがきっとカイコクは自分で掴みたがるだろう。
彼はそういう男だ。
だから。
「なら、手伝ってやろう」
「え?」
「袋の取っ手の片方、持ってやる。口を大きく開けていた方が沢山入るのでは?」
「…ははっ、違いねェな」
カイコクが笑う。
綺麗な笑顔で。


それは、餅まきの前からなんだか幸せそうだった。


「福を沢山貰うのも良いだろう。…貴様はお誕生日様なのだからな」
「…そうかい」

name
email
url
comment