ピピッと、何かアラームのようなものが鳴った。
何だろうかと首を傾げていれば、共にお茶を飲んでいた彼が唐突に引き出しを開ける。
「ん」
「…は?何…」
小さく、しかし丁寧にラッピングされた箱を手渡され、ザクロはぽかんとしてしまった。
プレゼントであろうことは見て分かる。
それは分かる、が、何かプレゼントを貰うような事など…。
「…お前さん、もしやと思うが忘れてんのかい?」
「いや…忘れてるも何も俺は鬼ヶ崎からプレゼントを貰うようなことなど何もないと思うが…?」
「…マジか」
首を傾げたまま言えば、カイコクは呆れたような驚いたような声を出す。
「…人のは覚えてるくせにな」
「何の話…。…あ」
小さなそれに眉を顰め…一つの解に思い当たった。
寒い寒いと彼がキレ始めるこの時期、去年はパカが浮かれた格好をしていたからギリギリ思い出したそれ。
「…誕生日か、俺の」
「ようやっと思い出したかい?」
絞り出した答えは正解だったようで、カイコクがふは、と笑う。
クリスマスだと言わなかったのは合格点だったようだ。
…彼は、クリスマスがあまり好きではないようだから。
「おめっとさん、忍霧」
「ああ。…ありがとう、鬼ヶ崎」
改めて差し出されたそれを受け取る。
小さな箱の中身はこれまた小さな…。
「ピアス…いや、ピンバッジ、か?」
「んや、ちげぇな。…マスクピアスだ」
紫と真紅の石飾りが施された、繊細なアクセサリー。
ザクロが普段からマスクを手放せない理由を、カイコクは知っているから。
「…そうか。大切にする」
「ん」
短い答えだが彼は満足したらしい。
目元を緩ませ、大役は終わったと湯呑みを持ち上げた。
きっと、彼の中の非日常はこれで終わりなのだろう。
いつもと変わらない…ゲノムタワーの中の日常へと戻るのだ。
彼も…自分も。

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