今日は誕生日だ。
クラスメイトたちが祝ってくれて、なんだかこそばゆい様な、照れくさいような気がしながら、その渦中にいた訳だが。
「…」
1通のメッセージが届く。
それにふと笑みを浮かべ、「ちょっと」と一声かけて教室の外に出た。
…咲希やえむは何故だか残念そうな顔をしていたが。
「…こんにちは、お嬢さん?」
「ひゃっ!…日野森さん!」
隠れて待っている遥がバレバレで、そっと背後から声をかけただけなのだが…思ったより驚かれてしまった。
「…ごめん、桐谷さん。そんな驚くとは思ってなくて」
「もう…。日野森さん、そういうところあるよね」
「どういうところ?」
少し拗ねたような遥に、くすくす笑う。
天下のスーパーアイドル様も、存外可愛いところがあるのだ。
自分たちと同じ…手の届く少女だと。
「笑ってばっかりだと、このベースしかあげないからね?」
「ごめんごめん…。…ベース?」
手渡された小さなミニチュアのベースに、志歩は謝りながら首を傾げる。
遥からもらえるものは何だって嬉しいが…。
何故ベースなのだろう。
いや、志歩がバンドでやっている担当楽器がベースだから…だとしても…。
疑問符を浮かべる志歩に、今度は遥がいたずらっぽい笑顔を浮かべる。
「桐谷さん?」
「ふふ。頑張って選んだから可愛がってあげてほしいな?」
「え?…あ!」
じゃん、と手渡されたのは、イエローグリーン色のマフラーをしたフェニーくんだ。
「可愛い…!いいの?」
「勿論。…お誕生日おめでとう、日野森さん」
にこにこの遥の手を、フェニーくんごと包む。
「ありがとう、ずっと…大切にするね」
「…うん」
志歩の真剣なそれに、遥が蕩けるような笑みを見せた。
「実は、私もお揃いなんだ…私のフェニーくんはマイクを持ってるんだよ」
「桐谷さんのも可愛い…」
「ありがとう!フェニーくんにマフラーしてあげるのすっごく可愛かったから、日野森さんにも知ってほしくて!」
遥の早口に志歩は大きく頷く。
大好きな貴女が大好きなフェニーくんで祝ってくれる…なんて素敵な誕生日!!




「あ、志歩ちゃん!あのねあのね!ハピハピなびっくりどっかんニュース、聞いちゃった!」
「あーっ!!!しほちゃん!はるかちゃんにプロポーズしたってホント?!!」
「待ってそれどこからの情報なの?!!」

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