人/柱アリ/ス×フラハイで小説!一番目

備考として。
イスファルにはクラウディアに居た頃の様々なトラウマがある(設定)です・・・。
後服装が女物ですが気にしないであげて下さいw


微グロ&キャラ崩壊注意!


ーーー










鬱蒼とした森の中。
「・・・う・・・ん・・・」
黒くくせの強い短髪、紅いドレスに白のドレスエプロンの・・・一人の少女が目を覚ましました。
「・・・ここは・・・って、何だ、これっ」
ぼんやりと辺りを見回していた少女はふと自分の服を見下ろして驚いたように立ち上がり、くるりくるりと回ります。
その度にふわふわと紅いドレスの裾が揺れました。
「お目覚めかしら?イスファル=ランスヴェル」
「・・・誰だ、お前」
突如現れた少女・・・夢にそう呼ばれた少女は回るのを止め、ギリ、と睨みます。
「私は夢よ。此処は私の中。貴方が見ているのは貴方の夢、貴方の願望」
「これが?俺にそんな願望があるとでも?・・・俺は男だ」
夢に向かって吐き捨てるように言うイスファル。
少女ではなく青年だったようです。
「あら。『よくお似合いよ、お姫様?』」
「・・・っ!・・・お、れは・・・お、とこだ、ぞ・・・っ」
「『そうだったわね、貴方は素敵な騎士よ』」
くすりと言う夢にイスファルの顔が強張りました。
「・・・お前・・・何故それを」
「ねえ、魔獣を退治してくれない?」
彼の問いかけを遮って夢は朗らかにそう言いました。
何故、と問いかけようとするイスファルに気付いたのか夢はにこりと笑います。
「貴方が魔獣を倒すたびに悪夢は消えるの。貴方のトラウマは消えるのよ」
「・・・本当、に・・・?」
「えぇ」
ぼんやりと問うイスファルに夢は微笑んで剣を一本渡しました。
取り付かれたように剣を受け取ったイスファルは虚ろな眸でそれを見つめます。
「ほら、イスファル」
「え」
夢の言葉にイスファルは言われるがままに剣を振るいました。
途端に断末魔が響きます。
何時の間にか魔獣が背後にいたのでした。
「危なかったわね!」
にこやかに夢が言います。
「俺、は・・・魔獣を殺す意味が分からない、」
「魔獣は倒すべき存在だわ。それを誰が咎めると言うの?」
「でも、」
「大丈夫、・・・誰も貴方を責めたりしない。責めたり出来ない。だって貴方は良い事をやっているのだから」
剣を握っている手を見つめていたイスファルはその言葉を聞き、急に顔を上げて剣を振るいました。
上がる声と血しぶきにイスファルは吹っ切れたように笑います。
「いいんだよな」
呟いてイスファルは森の中へと足を進めました。
イスファルは踊るように魔獣を斬り殺していきます。
澄んだ空のような眸と白いドレスエプロンが紅く染まっていきました。
「・・・ふふ、あはははっ!!!!」
至極楽しそうに剣を振るイスファルは見境もなく斬り捨てていきます。
魔獣は勿論、唯の動物、草花、・・・、そして、人。
イスファルが歩を進める度、モノが壊れていきました。
・・・どれほど歩いたのでしょう。
ふと立ち止まったイスファルの後ろには紅い路が出来ていました。
「イスファル」
「・・・お前」
目を向けた先、路の横に突っ立っていたのは夢です。
「貴方ねぇ、やり過ぎなの」
呆れたように言葉を投げ、夢は手を振りました。
途端に棘の蔓がイスファルを襲います。
まるで罪人を閉じ込めるが如く囲まれたイスファルを見て夢がにこりと・・・いえ、にたりと笑いました。
「貴方はもう必要ない」
低い声で夢が言い放ちます。
「何、だよ・・・これ・・・っ!ふざけるな!!!」
叫んだイスファルは剣を掴んで蔓を切り捨てようとします。
ところが血染めの剣は何時の間にか錆付き、剣としての役割を失っていました。
それを見た夢は一転してにこっと明るく笑います。
「誰かが気付いてくれるといいわね。・・・生きている内に」
「・・・待て、此処から出せ!!!!俺は・・・お前の言う通りにした、だけなのに・・・っ!!!」
くすりと笑う夢にイスファルは蔓を掴んで叫びました。
刺さる棘も流れる血も気にせず一心不乱に言葉を紡ぎます。
しかしそれを一切無視して、夢はふわりと長い髪を翻らせて背を向けました。
「嫌だ、やめろ、ここから出せ、・・・一人、にしな・・・っ」
悲痛な声を上げるイスファル。
遠くなる夢にイスファルは縋るように、そしてそれが無情にも届かない事を知るとずるずるとへたり込みます。
「・・・ぁあぁあぁあぁぁあああっっ!!!!!」
さながら彼が殺したモノの様に、喉の奥から絞り出すかの如く上がる絶叫に夢は嗤って最期の言葉をかけました。




「・・・さようなら、イスファル(一番目アリス)」

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