人/柱アリ/ス×フラハイで小説!二番目

ヤンデレ微グロ&キャラ崩壊・腐(レイロナ)注意!



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「・・・ん・・・」
小さな小屋の中のベットの上、綺麗な紺髪の青年が身を起こしました。
「・・・此処は、一体」
青年は辺りを見回しながら腰元へ手を持っていき・・・目を見開きます。
「・・・剣が・・・ない・・・?!」
「それはそうだわ。貴方、剣を持つことなんて望んでない」
「っ、誰だっ?!」
突然聞こえた声に青年が振り向きました。
ドアに凭れ掛かっていたのは柔らかな髪の少女、夢です。
「こんにちは、ロナード=ナイトスター。私は夢。宜しくね」
にこりと笑う夢に青年・・・ロナードはギッ、と睨みました。
「夢・・・だと?」
「そうよ。此処は私の中。・・・つまり夢の中ね。此処では貴方の夢が叶うわ」
「・・・信じ難いな」
笑う夢にロナードはにべもありません。
「ふふ、どうとでも。ねぇ、曲を書いて」
「・・・なんだ、行き成り」
明るい声の夢にロナードは眉を顰めました。
「音楽で平和になったら素敵だと思わない?武器は要らない世界よ!」
「・・・な、に・・・?」
「武器を取り上げる?今の貴方なら出来るわ」
貴方の夢だもの、と笑う夢をロナードはぼんやりと見つめます。
「・・・俺、が・・・?」
呟いたかと思った青年は小さく首を振ります。
「俺に曲は書けん。俺は作詞家でも作曲家でもない」
「言ってるでしょう?此処は貴方の夢。貴方が書いた音楽は町中を虜にするわ」
大仰に両手を広げて夢はくるりと回りました。
夢はさらににこりと笑って続けます。
「武器を捨てろという曲を作れば町の人は応える。貴方の曲は街を平和にするのよ!」
「・・・俺の・・・曲が・・・町を、平和に・・・」
虚ろな声で反芻したロナードはそこで初めて笑いました。
「・・・そうだな。武器を持つものは閉じ込めてしまおう。そういう曲を作ればいい。俺の、音楽の町を・・・平和な町にする為に」
綺麗に笑うロナードに夢も微笑みます。
「五線譜はそこよ。曲が出来たら外の彼に言えばいい」
「外?」
夢の言葉に引っかかったのかロナードはきょとんとし、ドアを開けました。
「ロナード!」
途端、凄まじいまでの薔薇の花と明るい声の青年がロナードを迎えます。
小さな小屋には不釣合いな程所狭しと蒼い薔薇が咲き誇り、それは美しいというより少し不気味だと感じる程でした。
「ロナード、曲は出来た?」
にこにこと栗色の髪の青年が問います。
「・・・いや」
「そっか。曲が出来たら俺が薔薇と一緒に町へ持っていくから、ロナードは気にせず曲を書いてくれ」
「あぁ、分かった」
人懐っこそうに笑う青年にロナードも微笑みます。
その脳裏にはもう曲が出来上がっていました。
曲など書いたことが無いと夢に言ったのが嘘の様に曲が浮かんできます。
ロナードはすぐ部屋に入り、曲を書き出しました。
協奏曲、奏鳴曲、練習曲、狂想曲・・・オペラ曲にアカペラ曲、次々と書いては青年に渡します。
栗髪の青年が『ロナードの曲』だと発表するたびに街では大反響が起こり、ロナードはたちまち有名になっていきました。
曲が只の音と化してもロナードの作った物と言うだけで最高傑作と崇められます。
武器は町から消え、犯罪者は一人としていなくなり、町には音楽が溢れました。
夢のような世界だ、と作詞作曲に追われながらロナードは思います。
やがて、ロナードの綺麗な紺の髪が腰まで伸びた頃。
昼も夜の無く『音楽』のかかる町はまるで狂ったかのようでした。
町中はすっかりロナードの『音楽』に魅了されていたのです。
ロナードの方も曲を書くうちにすっかり変わってしまっていました。
それはまるで顔のよく似た別人の様でした。
・・・そんな、ある日。
「なぁロナード」
「・・・なんだ・・・鎮魂歌はまだとちゅ・・・」
珍しく外で曲を作っていたロナードは青年に話しかけられ、上の空で返事をしようとしました。
それを遮るように、ダンッ、という音が響きます。
え、と思う間も無くロナードの身体が傾いでいきました。
「俺でも扱えたよ。便利だな、銃って」
にこり、と栗髪の青年が笑います。
「此の曲を取り上げればロナードは俺の方を見てくれる。俺だけのロナードになってくれる」
どさりと地面に堕ちるロナードを抱すくめる青年は恍惚の表情を浮かべて嗤いました。
ああ、彼に撃たれたのか、と何処か遠くの方でロナードは思います。
「ロナード、ロナード、愛しのロナード」
ロナードの頬を撫でその胸ポケットに挿してある蒼い薔薇が真っ赤に染まっているのを見た青年が一層笑みを深くしました。
「やっと手に入れた紅い薔薇。・・・お前は俺だけのモノだよ」
満足そうに嗤う青年に、ロナードはぼんやりと疑問符を脳裏に浮かべます。
何故、如何して、・・・戯曲(ストーリー)が狂ったのは一体何処から?
それらは一切声にならず、やがて遅れてやってきた痛みにロナードは躰を引きつらせました。
翳む視界、途切れる声、・・・自分が壊れて行くのをまざまざと感じます。
ふと、薄れゆく意識の中口元を歪ませる夢の姿が視界に入りました。
手を伸ばすロナードを見下したように一瞥した夢が口を開きます。
「貴方も要らない」
冷たく言い切った夢は酷く楽しそうに嗤いました。
「薔薇に囲まれて眠れるなんて素敵ね」
楽しそうな声音で夢が嗤い、彼の作ったレクイエムを風に舞わせて言います。
その声はロナードの耳に届くことは決してありませんでしたけれど。


「・・・良い夢を、ロナード(二番目アリス)」

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