イチャイチャ10題・抱きつく(エドハボロイ

「いい加減大人気ねぇんじゃねぇの?少尉」
「大将こそ、年上は敬うモンッスよ?」
オレがそう言うとハボック少尉もそう返した。
もちろんお互い目は笑ってない訳で。
・・・当たり前だよな。
大佐は・・・オレの大佐はぜってぇ渡さねぇ!!


事が起きたのはつい30分前。
東方司令部に報告書を出しに来たオレはいつも通り執務室を訪ねた・・・訳だけど、そこに目的の人が居なくて。
どーせサボリだろー・・・とか軽く考えてぶらぶら探してた・・・オレが間違ってた・・・。
「・・・んでいねぇんだよ、あんのボケ大佐!!」
マジで何処探してもいなくて、軍部の色んな人に聞いても見つからなくてさ・・・。
・・・あいつは猫か・・・。
ま、デスクに置きっぱにしねぇで律儀に探し回ってるオレもオレだけど。
「・・・ん?」
資料室の片隅に見覚えのある黒髪が見えた気がしてひょこ、と覗き込む。
・・・と。
「・・・何してんの?」
「・・・サボリの片棒担ぎ・・・ッスかね」
思わず呆れた声で聞くと、にへらっと笑ったハボック少尉がそう言ってきた。
大佐はというと座った状態の少尉にもたれかかるようにして熟睡中。
・・・いい大人が何やってんだか。
「怒られてもしんねーぞ、中尉に」
「中尉は一応知ってるんスけどね。今日はお偉いさんが来てるらしくて・・・堂々と仮眠室使えないんスよねぇ・・・」
「・・・ああ」
少尉の言葉にオレは漸く納得する。
そういやぁ中央から何人かお偉いさんが来てたっけ。
大佐が見えねぇからてんわやんわっぽいけど、それは一部だけなんだろうな。
実際、そこ以外は普通に機能してるみてぇだから・・・いかに大佐に頼ってるかが分かる。
・・・ま、そんな大佐は今は少尉の腕の中でお休み中だけど。
「大佐ってマジ童顔だよな」
「それ本人に言ったら殺されるッスよ」
しみじみと寝顔を見て呟くオレに少尉が苦笑した。
「オレが言ってもお前が言うなって言われるだけだしなー」
「・・・なるほど、年下特権ッスね」
「嬉しくないけどね」
大佐の寝顔を見ながらそんな会話をする。
男二人で何やってんだって感じだ。
「そういや大将、何か用があったんじゃ・・・?」
「ん?ああ、報告書出しに来ただけ」
大佐の顔も見たかったし、と付け加えると少尉がにやりと笑った。
「じゃあもう用は済みましたよね?」
「・・・あ?」
思わず見上げると少尉はにっこりと笑顔を浮かべて。
「これ以上大将と喋ってると大佐が起きちまいますんで」
「・・・あぁあっ?!」
言葉の持つ意味に一瞬固まったけど・・・早く帰れってことだよな?
それ、オレが邪魔ってことじゃねぇか!!!
・・・んにゃろう・・・少尉め!
大佐が寝てなかったら喧嘩売るトコだけど・・・オレだってちょっとは成長してるんだぜ?
落ち着いて対応する事だって覚えたし。
そう、落ち着いて・・・。
「・・・少尉こそ、仕事に戻った方がいいんじゃねぇの?オレ代わってやろうか」
「大将には無理ッスよ。・・・身長的に」
「誰が豆粒チビかっ!!」
落ち着いて、ってことはすっかり飛んで思わず怒鳴ってた。
途端大佐の顔が歪む。
「ほら、これ以上煩くするといくら大佐でも起きますって」
少尉が後ろから大佐に抱きついた。
くそっ・・・見せ付ける気かよ!
「・・・ッ少尉が大人しく代わってくれればいいんじゃね?」
言いながらオレも前から大佐に抱きつく。
途端、ばちりと火花が散った・・・ような気がした。




・・・で、冒頭に至る訳で。
何があれって全部小声なのが悲しいよな。
「一応オレだって少尉より格上なんだけど」
「俺は大佐の『狗』なんで」
にこ、と少尉が笑う。
オレもそれに笑い返して。
「・・・大佐はオレのだ」
「いーや、俺のもんです」
「少尉なんかに渡さねぇ!!」
「俺だって大将には渡しません!」
「・・・さい」
「「・・・え?」」
ぎゃーぎゃーと言い合ってたオレ等を遮ったのは低い声・・・で・・・。
「・・・貴様らいい加減にしろ!!!!」
さっきまですっげぇ穏やかに寝てたとは思えないくらいの顔と声で大佐が怒鳴る。
・・・やっべ、大佐がいるの忘れてヒートアップしてた・・・。
「・・・や、やだなぁ、大佐を愛してるって証拠ッスよ、ね、大将」
「お、おう!大佐のこと好きだからじゃん、な、少尉!」
さっきまで言い争ってたとは思わないくらいの連係プレーでお互いをフォローしあう。
「・・・まったく・・・。仲良いのかなんなのかはっきりしろ。私の睡眠に関わってくるだろう」
偉そうに言う割にはそういう拍子抜けする事で。
・・・大佐は幼児か・・・。
「・・・まあ、この状況は悪くはないがな」
「え?」
「大佐、それって・・・」
前後から抱きついてるオレ等に意味深にそう言うと大佐はまた眠りに落ちていった。
よっぽど疲れてんだな・・・じゃなくて!
オレは?!期待してるオレ等の立場は?!!
「・・・大佐に期待する方が間違ってるよな」
「・・・そうッスね」
思わず目が合った少尉と苦笑しあう。

ま、今日はこんくらいにしといてやるよ。

少尉が枕代わりならオレは布団ってな。





けど、ぜってぇ大佐は渡さねぇから!!!

覚悟してろよ、少尉!!!!

ーーー
本編終わってから初めてぐらいな勢いで書いたエドハボロイ。
サンドイッチ状態の総もて大佐です(笑)
金髪コンビ久しぶりに楽しかった!!

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