リクエスト・ほのぼの(鳩彼SSS・岩坂

昼休み、午後の授業まで後5分と言ったこの時間帯。
「嫌ですよ」
珍しく坂咲君が先ほど綺麗にしたばかりのベッドに腰を据えてこちらを睨んでいた。
・・・まあ、彼に睨まれるのは今に始まった事でもありませんがね。
「保健委員長の責務も果たさないのですか、貴方は」
「これの何処が保健委員の仕事だっていうんです?岩峰先生」
にこり、と坂咲君が笑む。
綺麗なブルーの瞳までは笑っていないようだが・・・私とて時間が無限にあるわけではなかった。
「仕方が無いでしょう。・・・学会の発表なのです」
「だからって何で俺が!!」
そこまで声を荒げたところで、少しトーンを落とす。
一応そこで寝ている『彼ら』に気を使ったようだ。
「・・・ミルとカクの世話をしなければならないんですか・・・」
むぅ、と何処か不満そうにこちらを見る坂咲君。
「一緒に連れて行くわけにもいかないでしょう」
「それは・・・そうですけど」
「まあ、貴方が他に適任を連れてきてくれれば私はそれで構いませんが?」
詰まる彼にそういうと、ついに黙りこくってしまった。
坂咲君でも思い当たるような鳥物はいなかったらしい。
「・・・分かりました。・・・その代わり」
諦めたように溜め息をついたかと思うと彼は立ち上がりながらこちらに指を突きつけてきた。
「お土産、期待してますね?・・・岩峰先生」
にこ、と彼が微笑む。
それはもう、驚くほど綺麗に。
・・・まあそれくらいはしましょうか。
「貴方の期待値に応えられる様最低限の努力はしましょう」
突きつけられたそれを掴み、私は笑みを見せる彼に口付けた。

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