鬱的花言葉で1日1題2章・レイロナ(イカリソウ/西洋昼顔・フラハイ/フラフロSSS

ロナードがいない。
「ロナード?」
がらんどうの部屋に呼びかけても、返事は返って来なかった。
・・・どこだ?
何処に行ったんだ、ロナードは。

いない。
何処を探してもいない。
ふと、『あの時』の事が蘇って、背筋がぞわっとした。
『あの時』・・・ロナードが俺の前から姿を消した時。
魔植、エルディア落下、そして冤罪故の逃亡・・・。
全部だ。
全部ロナードは俺の前から勝手に姿を消した。
どうして?
どうしてなんだ?
俺はこんなにもロナードを・・・!
「・・・レイナス?」
「!ロナード!」
呼びかけられたそれに振り向くと、ロナードが大量の書類を持って突っ立っていた。
小さく首を傾げて、不思議そうに。
「今までどこにいたんだ?!!」
「・・・怒鳴るな。カイゼル王の所だ」
ロナードが嫌な顔をしてみせる。
「それにしても随分遅くなかったか?」
「ああ。渡すものがあったからライの所に寄って、その後・・・」
睨む俺にロナードは何でもないように答えた。
・・・俺がこんなにも心配してるのに。
なんで、お前は。
「・・・?レイナス?」
「・・・理不尽だとは思わない?ロナード」
「は?」
きょとんとするロナードに俺は笑いかける。
閉じ込めちゃえよ、と誰かが笑った。
(「閉じ込める?俺が?ロナードを?」)
(『いいじゃん。お前がやらなきゃ誰がやるんだ?』)
(「・・・けど」)
(『鳥の様に飛んでいってしまうのが心配なら鳥籠に入れてしまえばいい。そう思わないか?なあレイナス』)
「・・・そうだな」
「?・・・レイナス?」
ロナードの青い目に俺が映る。
俺だけが。
嗚呼、何て至高!!
「・・・ごめんね、ロナード」
「・・・なっ・・・ぁ、レイ、ナ・・・!!」
両手が塞がっているロナードに向かって、双剣を振り上げた。

バサバサと書類がロナードの腕から滑り落ちる。
傾いたロナードの体を受け止め抱きしめて、俺は嗤った。

大丈夫、お前はこんなことじゃ死なないよ。

俺が治して、閉じ込めて、ずっと一緒にいてあげる。


なあロナード。

俺はさ、お前の眸が、髪が、心が・・・お前の総てが欲しいんだよ。

ロナード、俺は。
お前を手放したくない。
(・・・君を、離さない。)





俺にとっての幸せは


あいつにとっての不運で重い愛


ーー
レイロナ・君を離さない/不運な愛

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