鬱的花言葉で1日1題2章・七陽(朝鮮朝顔/花蘇芳・鳩彼SSS

暖かい風が吹く。
・・・今日も、怠惰な生活を送ってしまいました。
「・・・しまいました、じゃないでしょ?」
「いたっ」
ぼすっと手刀を落とされてぼくは恨みがましい目を向ける。
「痛いよぅ、埋音くん〜!」
振り仰いだ先に居たのは呆れた目でぼくを見下ろす、埋音くんだった。
「僕は君の味方だけど、授業をサボる事に賛成したわけじゃないよ?」
「うぅ〜、そうだけどぉ〜!!」
腕を組む埋音くんにぼくは抗議の声をあげる。
最近ちょっと埋音くんが厳しいよ〜!
「・・・。・・・大丈夫。君には僕がいるんだから」
「埋音くん・・・」
優しく埋音くんが笑う。
やっぱり埋音くんは優しいね。
ぼくだけの・・・社会から締め出されたぼくだけの、味方。
(例えそれが偽りだとしても)

埋音くん、ねぇ埋音くん。


ぼくはね。


・・・今のこの、作られたぬるい幸せに浸っていたいんだ。



キッチンを片付けていた埋音くんの背後に立つ。
「・・・埋音くん?」
「なに・・・。・・・え?」
にこりとぼくは笑う。
ごめんね、知っちゃったんだよ〜。
・・・きみがぼくを騙してるってこと。
優しく笑うその顔が偽りだってこと。
でも、ね。
その魅力に取り付かれてしまったのも事実で。
「埋音くんは、裏切ったりしないよね?」
「・・・」
「ぼくと一緒にいてくれるでしょう?」
ずっと、と彼に囁く。
驚いたような顔をしていた彼がゆっくりと口を開いた。
「・・・そうだね。ずっと一緒にいるよ」
偽りの魅力を振りまいて埋音くんが笑う。
(ああ、ほらまたそうやって)
毒の花の様に笑む埋音くんに、ぼくも笑いかけた。



もし例えきみがぼくを裏切ったとして

きみはぼくを裏切ったことによって死んでしまうよ



だから、ぼくと一緒にいよう?


ずっと、ずぅっと・・・






ーー
七陽・偽りの魅力/裏切り・裏切りのもたらす死

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