鬱的花言葉で1日1題2章・フレユリ(ピナス/ふきのとう・TOVSSS

お前は貪欲だ。


そういったのは誰だっただろうか。
ただ一心に国の平和を守りたくて、僕は強くなった。
・・・いや、国のためじゃない。
ユーリ、君のためだ。
君のために僕は軍に入り、法に縛られて生きてきた。
・・・それなのに。
その君は僕の事なんて何一つ考えずに自由に生きているよね。
本当に羨ましい。
僕はいろんなことを我慢してるのに。
ギルドとして自由に生きる君と、帝都に縛られた僕。
僕としてはそれでも良かったんだ。
自由に憧れないわけじゃない。
でもこういう生き方だってアリだろう?
それにね。
ユーリ、君と全く会えないわけじゃなかったから。

・・・でも。


「フレンは意外に貪欲だよな」
「そうかい?」
ある時、珍しく路地裏で、ユーリが掘り出し物だという酒を飲み交わしていた時のことだった。
楽しそうにそう言うユーリに僕は笑う。
・・・でも心の中では動揺していた。
今、なんて?
僕が、貪欲?
「なんていうか・・・自分の意見ははっきり言うし、我慢してそうに見えて案外・・・」
「ユーリッ!!!」
可愛らしく言葉を紡ぐ彼を僕は大声で制止した。
・・・もう、もう沢山だ。
「うわ、なんだ・・・え?」
「ねぇ、ユーリ」
僕は優しく笑いかける。
ねぇ、ねぇユーリ。
君にはそんな風に見えてたの?
騎士団を辞めて、僕の傍から離れて、君は変わってしまったね。
「・・・フレン?」
「君には処罰を受けてもらうよ」
「はぁ?!何を行き成り・・・。・・・?!」
呆れたような顔をしていたユーリは突然目を見開いて身体のバランスを崩した。
どさりと僕の腕の中に倒れこんできたユーリを抱きとめて僕は嗤う。
ユーリ、ねぇユーリ。
僕の心は壊れてしまったんだよ。

・・・君のせいで。


君の一言がなかったら。

君のあの行動がなかったら。

僕は壊れずにすんだのにね。


ねぇ、ユーリ。


だから。


「責任とってよ。・・・僕の愛しの親友」



長い、夜空と同じ色の髪に口づける。
貪欲・・・貪欲、か。
そうだね。
もっと、自分に正直でも構わないよねぇ?




罪状は僕をこんな風にした事、それに伴う刑罰は・・・

僕の元での終身刑


「さぁ、刑を執行するよ、ユーリ」



(君を手に入れるためなら法を捻じ曲げても良いと、そう思ったんだ)




ーー
フレユリ・貪欲/処罰は行わねばならない

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