鬱的花言葉で1日1題3章・アルロナ(ムシトリナデシコ/トリカブト・フラフロSSS

愛しい人に似ている、彼がいた

彼の所為で、愛しい人は俺の前から姿を消した



なあ、どうしてくれる??
なあ、どうしてくれるんだ?
・・・なあ、ロナード




「おい」
「・・・。・・・ああ」
声をかけると彼は小さく微笑んでこちらを向いた。
・・・よく似た顔でこうも違うとは。
「呼び出してすまなかったな、ロナード」
「構わん。お前こそ大丈夫なのか?」
首を傾げるロナードに俺は苦笑する。
「ああ。ミルザに知り合いはいない」

「・・・。人間嫌いなところは似てるかな」
「・・・なんだ、それ」
くすくすとロナードが笑う。
「それで?こんな話をするために呼び出したわけではないだろう?」
首をかしげるロナード。
・・・こんな話、なぁ。
ああ、ロナードにとっては【こんな話】だろう。
だが。
「?大丈夫か、アルバート」
「・・・ああ。大丈夫だ」
笑って・・・不思議そうなロナードに拳を叩きこんだ。
「・・・ぅ、あ・・・?」
「ほう。不意打ちでも立っていられるか」
「・・・アル、バート・・・?」
睨むロナードをせせら笑う。
敵意が感じられなかったのか?
嗚呼、なんて馬鹿な。
「すまないな、ロナード」
「・・・うぐ、あ・・・」
反撃する暇も与えずに斬り伏せる。
・・・殺さないようにするのは難しいものだな。

「・・・知らなかったのか?ロナード=ナイトスター」
蒼い髪を弄びながら俺は嗤う。
ミルザに伝わる、とある噂。
「牢獄塔に入った人間は、必ずと言っていいほどどこかへ消えると」
ロナードの身体を抱きかかえる。
綺麗な長髪がさらりと揺れた。
「・・・お前がいなければあいつはもっと幸せになれたんだ」



罠にかかった、ロナードに刑罰を

(闇に隠れた彼に、幸福を)


ふと目線を下げる。
嗚呼、なんだ、ここにいたのか。
歪んだ笑みで彼の濃い髪をなでた。
腕の中、寝息を立てる彼の名は。




ーー

アルロナ・罠/人間嫌い・刑罰・敵意

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