サンドリオン×ローザ・ブルー(ボカロSSS・カイカイ

さらりと靡く黒っぽい蒼の髪、風にはためく蒼紫のケープ、仮面の下に隠れた愁いを帯びる青い瞳。
全てが美しかった。
そして僕は・・・そんな彼に。
・・・そう、有体に言えば、恋をした。



「ローザ・ブルー」
「なんだ、ちび」
呼びかけると彼・・・ローザ・ブルーがそう毒づいて振り向いた。
まったくもって口が悪い。
そんなところも素敵なのだけれど。
「今日も綺麗ですね、姫」
「誰が姫だ。・・・で?今日は何の用・・・」
「ああ、そうそう」
機嫌が悪そうな彼に僕は微笑んで・・・花束を差し出す。
「僕と、結婚してください」
「断る」
・・・あれ。
思っていたのと違う。
本当ならばもっと戸惑うとかされると思ったのに、狼狽すらしない。
にべもないそれに僕は差し出したそれを下す。
「そうすれば落ちるって聞いたんですけどねー」
「・・・誰から聞いた、そんな話」
「ホワイトブレザー」
「・・・。・・・なるほど」
僕の答えに、ローザ・ブルーが小さく溜息をつく。
「そんなに単純な手に引っかかるとは思えないが」
「思いが通じたんでしょう。426回目にOK貰えたと言っていました」
「・・・。・・・そうか」
「ああ、それにスノーマンもそれで車掌を落としたと」
「・・・何回目に?」
「意外と早かったと聞きましたよ」
「何だそれ、流行ってるのか」
「さあ?」
首をかしげると仮面の向こうの目が少し眇められたのが分かった。
そう言えば誰が始めたんだろう、こんなこと。
「まあ、花に罪はないが」
「でしょう?」
笑う僕から花を受け取ろうとローザ・ブルーが顔を近づける。
その隙を狙って、僕は彼の口唇にキスをした。
ぼふんと音がする。
「・・・は?」
「漸くこの格好で会えましたね、姫」
ぽかんとする彼の前に膝まずいて綺麗な手に口づける。
彼と同じになった頭身で、彼に微笑んだ。
「キスをすると頭身が戻るんですよ」
「・・・。聞いたことないぞ、そんな絡繰り」
「でしょうね。僕も初めて知りました」
「・・・そもそも、貴様らの頭身は『これ』が元じゃないだろう」
「いいじゃないですか、細かいことは」
意外と足掻くなあなんて思いながら僕はローザ・ブルーを抱き寄せる。
驚く彼に小さく笑って見せた。
「さあ、仮面を外して・・・え」
手を伸ばした瞬間、引っ張られて触れるだけのキスをされる。
軽い音の中で「ふざけるな」という声が聞こえた気がした。
「貴様が俺の仮面を触るのは100年早い」
元に戻った僕にくすりとローザ・ブルーが笑う。
まったく、手ごわいんだから。
でも、そうでなくちゃ面白くない。
「僕はしつこいですよ?」
「そうか」


コートの裾を翻す彼に僕は慌ててついていく。
頭身が違っても構わない。
どんな手を使ってでも。
僕は、彼をものにして見せると・・・決めた。


可愛い僕のシンデレラ



仮面の向こう側を僕に見せておくれよ!

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