今日のおやつ(へし燭SSS・ワンドロお題)*大太刀長谷部×織田時代光忠

からり。
透明な硝子瓶に入れた小さなそれが音を立てる。
「国重さま!」
無邪気なそれに顔をそちらに向ければ人形のように愛らしい刀がかけてくるのが見えた。
ずるずると黒い着流しを引きずらせてくる小さな一振り、名を光忠と言う。
「国重さま!今日のおやつはなんでしょう!!」
俺の顔を見るなりそういう光忠に思わず吹き出した。
「あ、あれ?」
「光忠よ、何か他に言うことは?」
「あ、おはようございます、国重さま!」
「良い子だ」
ぱっと求める答えを導きだした光忠の、烏羽のような髪をくしゃりと撫でる。
嬉しそうな表情の少年を抱き上げ、膝の上に乗せた。
「今日はこれだ」
「!こんぺとー、ですね!」
からりと瓶を振れば自信に満ちた表情で振り仰ぐ。
「おしい。金平糖、だ」
小さく笑って瓶の蓋を開けてやった。
手を出せと言えば慌てて小さな掌を上に向ける。
そこに零れ落ちるは金平糖。
紫の、小さなそれ。
「こん、ぺーとは綺麗ですね!国重さまと同じ色をしています」
「そうか?この淡い色はお前の様相をしているが」
一粒つまみ上げ、口のなかに放り込む。
ほら、刺がありながら脆く、中身は甘ったるいところまでそっくりだ。
透明な瓶の中に一粒だけ残した、金平糖がからからと音を立てた。

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