甘酸っぱい(ねんへし燭ワンドロSSS

目の端を橙色がころりと転がった。
何かと振り向けば蜜柑が落ちていて。
はて何故蜜柑が?と疑問に思えばその後ろからねんどろいど光忠がひょこりと顔を出した。
「お前か、ねん光」
「♡」
指で頭を撫でてやれば嬉しそうに笑む。
どうやら書類仕事を片付けている俺に光忠が休憩をしようと寄越したものらしかった。
「ねん!ねん光が来たぞ」
「…?みつ!」
俺の書類を数えていたねんが慌てたようにやってくる。
「わざわざきてくれたのか。すまない」
「!!♡」
微笑ましくやり取りする二人を見ながら蜜柑を剥いてやった。
少し休憩しろ、と差し出せば二人は嬉しそうに蜜柑を手に取る。

「みかんというものは、みつににてるな」
蜜柑を頬張りながらねんが言う。

(甘くて、ほんの少し酸っぱくて、幸せな彼に似てる)

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