手紙(へし燭SSS・ワンドロお題)*大太刀長谷部×織田時代光忠

縁側にいた長谷部の元に黒い小鳥が飛んでくる。
野鳥は人に慣れないものではなかったろうか。
不思議に思いながらも指を差し出す。
ちゅん、と鳴いた小鳥は臆する様子もなくそこに止まった。
足元では榛色の小鳥がそれを見上げている。
「…ん?」
黒い小鳥の足元に違和感を感じ長谷部は首を傾げた。
小さな紙切れが結んであり、それを取るように跳び跳ねている。
手を伸ばしそれを取り広げ…くすりと笑った。
『国重さまへ』で始まるそれは可愛らしい手紙で。
中身は、最近食べた甘味の話、初めて雪を見た話、それから。
『光忠めはいつも国重さまをお慕いしております』
「…まったく」
長谷部は楽しそうに長い髪を揺らす。
ちら、と黒い着流しが少し向こうの柱から見え隠れした。


さて、返事を書こうか。



可愛らしい少年に、手紙を。

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