ポッキーの日ですね!(ザクカイ

鬼ヶ崎、と呼びかけると、きょとんとした表情で振り向いた。
気の抜けた顔に少し笑いながら、ザクロは小さく開いた口にポッキーを一本突っ込む。
「んむ。…甘ぇ…」
口に入れたものを咀嚼し、綺麗な顔を歪めさせるカイコクが不満そうに見上げてきた。
「食べなければ良いだろう」
「口の中に入れてきたのはお前さんだろ?」
むう、と不満げなカイコクから食べかけのポッキーを取り上げ、マスクを外してから己の口に放り込む。
「咥えてくれるだけで良いんだが」
「はぁあ??」
ぽかん、とするカイコクに2本目のポッキーを咥えさせた。
理解できない、といった顔をしたものの小さく溜息を吐き出して指定した通りにポッキーを咥えて、こちらに向けてくる。
何だかんだでカイコクはザクロに甘いのだ。
…甘いものを食べずに済むのなら別に好きにしろ、という事かもしれないが。
「では」
「ん?!!」
カイコクの肩をしっかりと掴み、ザクロは差し出されたそれを食べ進める。
途中逃げそうになる彼の頭を押さえつけた。
「んぐ、んんぅ!!!」
遂にキスする距離まで近付き、勿論そこで止める筈もなく、深く口付ける。
中に残ったポッキーを掻き出しつつ、上顎を擽りながら口内を味わった。
「…ふ、ぁ……は……」
口を離し、ぽやんとするカイコクにザクロは美味かった、と告げる。
「は、ぅ…え……??」
「鬼ヶ崎、次は何味が良い?選ばせてやるが」
普段は振り回す方のカイコクが振り回されるのは可笑しく、また彼が色っぽい表情をするから。
ポッキーの箱を持ち上げ、ザクロはにこりと笑う。
「まだ、沢山あるからな。楽しみにしておけ?」
ザクロのそれにカイコクはようやっと気付いたというようにカレンダーを見た。
その、日付は。

(今日は11月11日!!)

「誰でぇ、忍霧にポッキーゲーム教えたやつぁ!!!」
「あ、流石に入れ知恵だってバレた」

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