ゆるゆる監禁アカカイ

すぅすぅと、カイコクさんの寝息が隣で聞こえる。
彼をここに監禁して、8日目の朝。
最初は俺なんかに隙なんて見せなかったカイコクさんだけれど、今は違った。
「おはよーございまーす」
声をかけて身体を揺らしたところで、彼の形の良い眉がぴくりと動いたもののその目は開くことがない。
少し気を許してくれているのかと嬉しくなった。
まあ、昨日無理させすぎたのかもしれないですけどね!
「カイコクさぁん、朝ごはんですよー!」
「…ぃ、りで…?」
数分声をかけ続けているとようやっとぽやん、とした表情でカイコクさんが目を覚ます。
「あっ、おはようございます、カイコクさん!」
「…ん……」
ふわふわとまだ夢見心地なカイコクさんの身体を起こし…とさりと前へ倒した。
「…ぅ、え……?」
じゃらりと手錠が嵌まった手首から延びる鎖を柱から解く。
もちろん、解放するわけじゃないけれど。
「…な、に…すんでぇ…」
漸く思考が回ってきたのか、ゾッとした顔でカイコクさんが振り仰ごうとした。
その、綺麗な顎を捉え、持ってきていた温めの…いつものお茶を口移しで飲ませる。
「んっ、んぐ、んんぅーっ!」
嫌がって振り解こうとするカイコクさんの頭をガッチリと押さえれば、諦めたのか彼は口に含まされたそれをこくり、と嚥下した。
飲まないって選択肢もあるはずなのに、全く優しいんですから!
「…ふ、はぁ……」
「…【カイ】」
口を離し、とろんとするカイコクさんの【催眠】を説いた。
びくんっ、と大きく跳ねた躰はそれだけで甘く蕩けていく。
「…や、やぁ……っ!き、の…さんざ…ヤった…!!」
「昨日は昨日、今日は今日です」
にっこりと笑いかける俺を映す黒曜石には、恐怖とほんの少しの期待が混じっていた。
調教の成果でしょうか、なんて俺は嬉しくなってみたりして。
「…【カイ】、今日は、これで遊びましょう」
「…な…ぇ……?」
彼の目に絶望が色濃く染まる。
俺がカイコクさんに見せたのは赤い縄だった。
解いた鎖を天井にかけて、躰を持ち上げる。
「…や、め…っ!はな、し…っ!」
「暴れないで下さい?…綺麗な肌に傷がついてしまうでしょう?」
俺は微笑いながらじたじた暴れるカイコクさんの躰に縄をかけていった。
片方の足に枷をつけて手と同じように天井に吊るす。
「でーきた!いやぁ、初めてにしては上手いですよね!俺、縛りプレイって一回やってみたかったんですよ!」
「…っ、そ、うかい…。まんぞ、くした…なら…解いてくんなぁ…?」
にこにこと笑う俺に、普段のカイコクさんに戻りつつある彼が引き攣った笑みをこちらに向けた。
「…ダメですよ?」
「…ぇ……?」
その頬を撫であげて俺は笑う。
【カイ】、と囁いていつものカイコクさんを崩した。
その名で呼ばれた時だけ、カイコクさんは催眠という名称の呪いを解かれて素直になる。
ここにいるのは、普段よりもずっと幼く快楽に従順な【カイ】。
「ねぇ、【カイ】?君は快楽を受けると必ず丸まるんです。まるで、それを見せないように。…だから」
「ふぁっ?!ゃ、ぁ…!」
つぅ、とカイコクさんの背を指でなぞる。
大きく跳ねた彼は嫌だと涙を零した。
烏羽色の短い髪がサラサラと揺れる。
「今日はそれを封じてみました。…ああ、汚れるのも嫌でしょうからここにも縄をかけておきますね」
「…ぁ、あ……!」
緩く勃ち上がったカイコクさんの、根本を縛り上げる。
ぎしり、と縄が音を立てた。
白い肌に食い込む、赤い縄とのコントラストはとても綺麗。
「…ぃ、りで…やだ…ぁ……」
「よぅく似合ってますよ?」
俺はそう言って、見せつけるようにカイコクさんの目線に入るよう大量の玩具をぶちまけた。
アナルバイブや尿道バイブ、ローター等などが辺りに散らばる。
嫌だ、と喉奥で呟くカイコクさんにそっと口付けて俺は笑った。
だってねぇ、今日の暁はとうに去ってしまったのだから。

「さぁて、どれで遊びたいですか?…【カイ】」

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