睡姦ザクカイ

「…ん、ぅ……」
頭が重い。
それ以上に下半身が重かった。
「…ん…?」
夢現の中、脳が快楽を告げていて、俺は疑問をもたげる。
確かに最近、ゲームやら何やらで処理はしていなかったが…。
淫夢を見ている訳でもないし…いや、何を持ってして夢というのかは分からないが…ともかく目を開けてみなければ…と重たい瞼を開いた…刹那。
「お、おひぃふぁ」
もごもごとした声がする。
「おはよーさん、忍霧♡」
「……は?」
ぷは、と【それ】から口を離し、綺麗な笑みを浮かべるのは…紆余曲折あって恋人になった鬼ヶ崎であった。
…いや、それはいいんだ、それは。
「…何をしてるんだ、貴様は」
俺の股の間から顔を出す鬼ヶ崎に胡乱気な目を向ける。
「ん?いや、若い忍霧クンにちったぁサービスしてやろうかな、と」
「…その割には手首を縛られているようだが??」
「流石になぁ、俺だって自分がいっとう可愛いんでぇ」
「本音は」
「…嫌がらせ?」
にこっと鬼ヶ崎が笑みを浮かべた。
思わず溜息を吐き出す。
「あのなぁ…」
「おっと、お説教は後でな、忍霧♡」
「うぁっ?!」
小言でも、と口を開く俺から出たのは短い悲鳴。
ちゅ、と鬼ヶ崎が先端に口付けたからだ。
「おい、ばか、やめろ!」
「なんでぇ、気持ち良くなりてぇだろ?」
きょとんとした顔の鬼ヶ崎に俺は声を荒らげる。
確かに身体は快楽を望んではいるが…鬼ヶ崎の手の上なのは腹が立つな。
と、鬼ヶ崎が、なんつったか、と少し上を向く。
ああ、そうそう、と何かを思い出したらしい鬼ヶ崎が笑って。
「ご奉仕するにゃん?」
へにゃ、と笑う鬼ヶ崎。
…は?
「…。…なんでぇ、何か間違っ…?!!」
あれ?と言わんばかりの鬼ヶ崎を引き上げる。
目を見開く鬼ヶ崎に今度は俺が笑う番で。
「は?!!ちょ、忍霧?!目が怖いっつーかなんでお前さん手枷取れて…?!」
「…ご奉仕、してくれるんだろう?」
慌てる鬼ヶ崎に、なあ?と笑ってマスクをずり下ろす。
「待て待ておしぎー…っ!」
引きかける鬼ヶ崎の頭を引き寄せて口付けた。

どうせ、入出か路々森からの入れ知恵だろう。
だが、なら逆に利用するのも手ではないだろうか?

せっかくあちらから誘ってきたのだから。
据膳食わぬは男の恥。
ならば、しっかり食わせていただかないと、な…鬼ヶ崎?

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