パンケーキ彰冬のエロ

クーポンに載っていたホテルは、ライブハウスがあった場所から更に路地裏奥に入った所だった。
大体そんなもんか、と入り口を潜る。
タッチパネルで部屋を選んでいれば「…慣れているんだな」と冬弥が言った。
「…初めてだよ、馬鹿」
「…」
「…あーもー、予行演習!!お前といつか来るかもって思ってサイトとか見てたんだよ!来たのは初めて!」
疑るような目に白状すれば、ふっとそれが緩む。
「…そうか」
「…おう」
短く返事をし、行くぞ、と腰を抱いた。
堂々としていれば意外とバレないもので、あっさりと部屋に着く。
「…ん、ふ…」
扉を閉めるやいなやお互い待ち望んでいたようにキスをした。
小さな唇を食み、ざらりと歯の裏を舐め、上顎を擽る。
「…ふぁ、あ…あ、き…と!」
「…んだよ」
服を着崩しながら喉仏に口付けていれば、震える声で冬弥が彰人を止めた。
「…先に…シャワー…を……」
「待てる訳ねぇだろ」
「…ライブの後、だから…!」
さらさらと綺麗な髪を乱して嫌がる冬弥をひょいと抱き上げ、ベッドに投げる。
息を詰める冬弥の動きを封じながら彰人はバサバサと服を脱いでいった。
「…っ!彰人!」
「…ライブの後だから、ヤりてぇんだけど」
「…!」
声を荒らげる冬弥に低く言えば綺麗な瞳が大きく見開かれる。
「…汚い、だろう…」
「んなことねぇよ」
ふい、と目を逸らす冬弥の、むき出しにされた鎖骨を舐め上げた。
短く喘ぐ冬弥に、「声、出せ」と囁く。
「そんな、こと…ひっ、ぅ…あ!」
普段とは違う、上ずったそれにゾクゾクとした。
自分が出させている声だというのが堪らない。
服を脱がせながら色んなところに口付け舐め上げ、くったりと力が抜けた冬弥の、足を持ち上げた。
その頃には冬弥のモノもすっかり勃ち上がっていて思わずニヤリと笑う。
先走りを指に絡め、それを後孔に挿し入れた。
「んぅ…!」
「痛いか?」
「…へ…き……」
無理したように笑おうとするからそっと唇に口付ける。
「無理すんな」
そう声をかけると、彼は小さく微笑んだ。
本音を言えば無理にでも暴いて奥を突いてやりたいが、冬弥を傷付けるのは本望ではない。
しばらく軽く口付けながら指を軽く動かしていたが、冬弥がぎゅう、と抱きついてきた。
もう良いのか、と先程よりも強く動かす。
「ふぁ?!ぁっ、う、や…っ?!」
ある一点を擦り上げた途端、びくびくっ!と躰が揺れた。
ここか、と重点的に追い詰める。
「ぁっ、やぁ、ひ、ぅ…あき、とぉ…!!」
涙目で縋ってくるから「一回イッとけば?」と言ってやった。
しかし、冬弥がふるふると首を振る。
「…いっ、しょ…に…」
「っ!ったく、煽るなって…!」
小さく言われるそれに目を見開き、指を引き抜いた。
コンドームを着け、ひくつく後孔に押し付ける。
「…行くぞ」
「…ぁ……」
ぐぐっと体重をかけ、ナカに突き挿れた。
途端、背を駆け抜ける快楽。
気遣ってやるつもりが、めちゃくちゃにしたいという欲望が勝った。
「…わりぃ」
「ぇ、あ…ふぁ、ああっ!!ぁっぅ、やっ!あきと、あきとぉ…!」
腰を掴み、激しく揺さぶる。
綺麗な声が部屋に響いては霧散した。
ずちゅずちゅという水音と冬弥の表情にどうしようもなく興奮する。
「…出、る…!」
「ぅ、ぁあ…!!」
二人同時に射精し、どちらともなく口付けた。
熱っぽい目で表情を緩める冬弥にまた下半身が膨らむのを感じる。
「…なぁ、もう一回いいよな?冬弥」
「…えっ、ちょ、ま…!!」
囁き、返答を聞くことなく口付けた。
冬弥の躰がベッドに沈み込む。
焦った声は、甘ったるい声に取って代わった。



結局、あの後も何度も何度も冬弥を啼かし、シャワーを浴びる頃には二人ともすっかりドロドロになってしまった。
流石にそのまま帰るわけにはいかない。
それ以前に元々体育は少し、と濁していた冬弥が動けるはずもなく、そのまま泊まることになってしまった。
「いいんじゃないか。パンケーキも食べていないし」
「お前本当に食う気かよ」
「少し、興味がある」
ふふ、と掠れた声で笑う冬弥に、そーかよ、と返事をする。
「つか、家大丈夫なのか?」
「…まあ、友人の家で試験勉強をさせてもらっていたとでも言うさ」
「わっるいなぁ」
「彰人に言われたくはないんだが?」
くすりと笑う冬弥に、そういうトコ、と思いながら注文をした。
全てが機械音声のそれに少し安堵し、水でも、と小さな冷蔵庫の傍に座り込む。
「うわっ」
「…?彰人?」
思わず上げてしまった声に冬弥が不思議そうに首を傾げた。
「…なあ、冬弥…こんなんあったんだけど」
「…やらないぞ」
ロック付きの棚にあったのは所謂バイブというやつで、思わず買ったそれを冬弥の元に持っていく。
綺麗な眉を顰めた彼が珍しく速攻で拒絶した。
「いいだろ…なあ」
「そんな顔をしてもしないものはしない…彰人!!」
冬弥の怒った声を黙らせるように口付ける。

パンケーキが来るまで、後…15分。

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