ワンドロ/クリスマス・イルミネーション

キラキラ、イルミネーションが輝く。
クリスマスなんだなぁと語彙力のない感想が頭を過ぎった。
「彰人っ、彰人っ」
ちょいちょい、と服を引っ張られる。
あ?と気の抜けた返事をし振り向けばぽや、とした表情の冬弥が彰人をこちらを見ていた。
「なんだよ」
「…セカイにはな、トナカイさんがいるそうだ」
「…へぇー…ん?」
「リンがねー、教えてあげたんだよー!ねー、冬弥くん!」
「…うん」
僅かな疑問に首を傾げるもきゃっほう!とリンが冬弥に抱きついてきてうやむやになる。
いつもより緩んだ表情の冬弥に、いつもならすぐおかしいと思えたのに、まあ良いかと思ったのも、彰人も存外浮かれていたからだ。
こんなに楽しいパーティは久しぶりだから。
現実世界と同じようにセカイでもクリスマスパーティをやりたい!と張り切って準備をしてくれた。
MEIKOやミクが料理を作り、リンやレンが飾り付けをしてくれたパーティは彰人にとっても楽しかったのである。
今は杏とこはねが歌い終わってきゃあきゃあとプレゼント交換をしているところだ。
トナカイがどうとか言っていたリンが走って行ってしまい、二人だけが残された。
「…ふふ」
「どうした?」
「…いや。…幸せだと思ってな」
輝くイルミネーションを見つめ、冬弥が微笑む。
「家族で過ごすクリスマスも…数少ないお祝い事だったから、楽しみではあったが。…こんなに賑やかで楽しいクリスマスは初めてだ」
「そうかよ」
チカチカ、イルミネーションに照らされて微笑む冬弥が眩しく映った。
それだけようやっと返事をすればまた幸せそうに笑む。
彰人にとってはそれだけで充分幸せで。
「…来年も、こうやって集まることが出来たら…嬉しい、な」
「…そうだな」
二人で微笑み、自然に口を寄せ合う。
ライブ会場も眩しく映るけれど、イルミネーションはまた違った柔らかい印象を見せるな、とぼんやり思った。
「…想いの光」
「ん?」
「…何でもない」
小さく呟いた冬弥がふわりと微笑む。
今日はよく笑うな、と彰人も笑った。

何と言ったってクリスマス。
幸せな想いが溢れる…特別な…日。

ツリーの影で二人は幸せなキスを…交わした。


「…あ、彰人。冬弥、さっきシャンメリー飲んでたけど大丈夫だった?」
「…。…んー、可愛いから良いだろ」
「…これ、二人とも弱いやつだね??」

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