Q、冬弥の好きなところは?/司冬

無邪気に聞いてくる妹の咲希に、司は首を傾げた。
随分唐突だな、と思っていれば、彼女はニコニコ笑いながら、「気になるんだもん!」と言う。
「そうか?身内の恋愛話だぞ?」
「いーの!!だって、とーやくんってステキなとこたっくさんあるじゃない?その中でもお兄ちゃんがどこを好きになったのか知りたくて!」
「…まあそれは一理あるな」
司のそれに咲希はうんうん!と頷いた。
彼女もただ興味本位で聞いているわけではないらしい。
ならば真剣に答えてやるのが道理だろう。
冬弥の好きなところ。
幼い頃に会った時から変わらない、それ。
「そうだな。…一つ、挙げるとすれば」
「すれば?」
咲希が首を傾げる。
司はへにゃ、と笑い、立ち上がった。
お兄ちゃん?!と驚いた声を聞きながら司は自室に帰る。
部屋を出る前、一つ小さな笑みを零して。
「オレは冬弥の目が好きだ」


咲希であろうとその理由は教えるわけにはいかない。

幼い頃から胸に秘めた、それは小さな恋心。
(そんなキレイなものでないことくらい、司は知っているけれど!)

小さく笑みをこぼす。

だってそれは。

「オレだけの宝物だから、な」

name
email
url
comment