Q、冬弥の好きなところは?/彰冬

絵名に唐突に聞かれた彰人は、はぁ?と眉を顰める。
なんだ急に、と言わんばかりのそれに、姉である絵名はだからぁ、とペンタブを振った。
「アンタと相棒くん、全然似てないじゃない?タイプ的に。だから、どこが好きになったのかな、って」
「冷やかしかよ、ぜってぇ教えねぇ」
「ちーがうわよ。冷やかしなんかで弟の恋路に首突っ込むと思う?藪蛇にもならないじゃない」
あっさりと言われたそれに、彰人はそれもそうかと嫌そうな顔を崩す。
この姉はこういう帰来があるのだ。
変にいじられるよりは良いかと思うのだが…では一体なんだというのか。
「サークルの子がねー、人はどこを一番に好きになるんだろう、とか言うから」
「あ?何、体の部位の話?」
「まー、そうね。声、とかもその人の一部と考えればそうだろうけど…」
彰人のそれに絵名は少し考えたように言う。
絵名なりの譲歩だろうか、なんとなく癪だった。
だから。
「んじゃあ、目、だな」
それだけを告げ彰人は部屋を出る。
「へ?あ、ちょ、彰人?!」
絵名の声を無視して階段を降りた。
彼女には教えてやらない。
彰人が冬弥の目が好きな理由なんて。

「手に入んなきゃ欲しくなる。…そうだろ?」
小さく笑い、彰人はドアを開ける。
初めて会った時の彼を思い出しながら。

手に入れたそれを離してやるものか、と空に向かって口角を…上げた。

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