隔週ワンドロ・コンビニ/おやつ

じぃっと冬弥が何かを見ていた。
何を見ているのだろうと同じように覗き混んで見れば、手元には彼のスマホがあって。
「…何見てんだ?」
「…!彰人か」
驚いた表情を見せた冬弥がホッと息を吐く。
これだ、と見せてくれたのは大手コンビニエンスストアのスマホサイトであった。
「あー?春限定、コーヒー風味のパンケーキ…?」
「ああ。彰人はパンケーキ、好きだろう?」
「そりゃ好きだけど。お前は好きでもねぇだろ」
「?嫌いでも、ないが」
頭をがしがしと掻く彰人に、冬弥は首を傾げる。
こういうところがあるのだ、彼は。
「彰人が好きなものは、俺も食べてみたい」
「わーったわーった。んじゃ、帰りはコンビニデートだな」
「ああ」
笑いながら彰人は手を差し出す。
前まではコンビニの存在も知らなかったのになぁと乗せられたそれを握った。
彰人が教えたコンビニデート、は冬弥もいたく気に入ったらしい。
たまにこうして冬弥から誘ってくるようになった。
無駄遣いはあまりしないが、おやつだと練習やセカイに持っていくのも楽しいようだ。
おやつなのだから、自分が好きなものを買えば良いのに。
「冬弥、チーズケーキ味のクッキーだとよ」
「…それも良いな、買ってみよう」
楽しそうに冬弥が言う。
まあ彼が楽しそうなら良いか、と思った。


彰人もまた、彼とのコンビニデートは楽しいのだから。

「…にしても、男子高校生のおやつがこれってどうなんだよ…」
「?何か問題でもあるのか?」
「…いや、まあ…ねぇけどさ」

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