ワンドロ・ライブ/相棒

身体を包む圧倒的な圧は

ぞくぞくするほどの快感


わぁ!とステージを彩る歓声と、迎え来る熱気が彰人を襲う。
それは他のメンバーも感じているはずだった。
やはり、ライブは良いな、と思う。
それはこの相棒がいてこそだと、改めて思い知った。
一人ではだめなのだ。
それは、彰人だけではなく、…横に立つ冬弥も。
「冬弥!!」
「…ああ」
手を挙げると額に浮かんだ汗を拭い、彼がふわりと笑んだ。
パァン、と響くハイタッチ。
ニッと笑いかけると冬弥も同じように笑う。
陳腐な言葉で言えば「楽しそう」な冬弥に彰人は、ライブは良い、と子どもじみた感想しか浮かばなかった。
ライブは良い。
普段涼し気な冬弥が汗だくで笑うから。
ライブは良い。
冬弥の圧倒的な声が届けられるから。
ライブは良い。
…絶対的相棒が、こちらを見て手を伸ばしてくれるから。
夢を叶えたいと彰人から伸ばした手は躊躇なく結ばれた。
突っ走る彰人に、頼ってくれ、と冬弥は言ってくれたのだ。
彰人が手を伸ばしてくれたから、と。
今度沈んだ時は冬弥が引き上げてくれると言ってくれたのである。
『相棒だからな』
笑う冬弥はキラキラしていて。
眩しいな、と思ったのだ。


アンコールの声がする。
行こっか!と杏とこはねが駆け出した。
「…彰人」
冬弥が手を伸ばす。
「おう!!」
その手を彰人は強く握った。


オレは、相棒と一緒なら…いや、相棒と一緒じゃないと夢は叶えられないと思うんだ。


(それは俺も同じだと彼が笑った)

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